子どもと関わる人全員に読んでほしい本。
子どもと関わる人全員に読んでほしい本。
それは児童精神科医 佐々木正美先生の「はじまりは愛着から 人を信じ、自分を信じる子どもに」です。
働いている保育園の方針で、今まで何度も佐々木正美先生の講演に参加したり、著書を読んだりする機会がありました。
(以前、ペットになりたがる子どもたち。という記事でも佐々木先生の著書を取り上げたことがあります。)
佐々木先生との出逢いは私にとって、厳しい母の元で育った子ども時代の記憶が癒され、母を許す気持ちが生まれるきっかけにもなりました。
この本は保育園からの勧めではなく自ら進んで購入を決めました。
人格を形成する過程で、乳幼児期の子どもの「自分自身を大切にする気持ち」が大切なのだと、佐々木先生の思いや考えに私も共感したからです。
長く保育士をしていると、子どもと関わる中で「この関わり方は違ったかな」とか「あの時言いすぎたかな」など、悩んだり反省したりすることがたくさんあります。
若い頃にこの本と出会っていれば、保育で悩んでいた時の良い道しるべになっていたと思います。
そこで、子どもと関わっている人、これから子どもと関わる人、家庭や学校のことで悩んでいる人、いろんな人にぜひおすすめしたいと思い記事を書くことにしました。
今回の記事では、この本の一部を私の好みでピックアップしてレビューしたいと思います。少しでも興味のある方はぜひ本を手に取って最初から最後まで読まれることをお勧めします。
「根拠のない自信」を育てる
誰しも親は、子どもが幸せになってほしいと願っていると思います。
子どもの幸せとは、親を楽にさせてくれるようないい子になることではなく、親が望むような立派な子どもになるわけでもありません。
一番は子ども自身が愛されていると実感することだと思います。
子どもが「自分が愛されている」と実感するためには、乳幼児期に親が子どもの気持ちに寄り添い、要求することをできる限り叶えてあげることが大切だと言います。
親が子どもの要求を叶えてあげることで自分は愛されているという安心感をもち、それが人を信じる気持ちの原動力になっていきます。
そして人を信じて初めて、自分を信じ自分を大切にする気持ちが育まれていくのです。
この「基本的信頼感」が「根拠のない自信」と言うそうです。
逆に「根拠のある自信」とは勉強やスポーツが得意でよくできる、という類の自信のことで他と比べることができるものだそうです。
根拠のない自信を持った子どもは、意欲と感動を持ち、生き生きと生きることができると言います。
ここからは私の体験した話になります。
保育園で5歳児を担当していたある年、いつも生き生きと活動している女の子に出会ったことがあります。
その子は、初めてすることでも失敗を恐れずに何度も挑戦し、その姿がとても輝かしく思えるような子どもでした。
友だちにも優しくすることができて、「先生、何か手伝おうか?」と聞いてくれるとても素敵な子です。
「どうしてこんなにいい子なんだろう」「どこか無理をしていないのかな?」と思い、よくその子のことを観察したことを覚えています。
観察していて気づいたのが、お母さんとの関係がとても良いということでした。
例えば、その子のお母さんはその子がやりたいと思うことを優先してやらせてあげていました。
お母さんが少し時間に焦っている時でも、穏やかに言葉をかけながらずっと待ってあげていました。
お母さんの姿は、子どもを充分に信頼しているという気持ちを伝えることになり、子どもが愛されているという実感につながるのだと感じました。
お母さんと「基本的信頼感」を築いているその子どもは、「根拠のない自信」が育っているためいつも生き生きと過ごしているのだなぁと、この本を読んで納得できました。
話を戻します。
この本には、他にも子どもを無条件で愛することの大切さが書いてあります。
また、それが難しい場面で大人がどういう思いでどう関わっていくと良いのか、佐々木先生の考えや思いが残されています。
この本に書いてあることは、言われてみれば当たり前のことばかりで、子育ての理想と言えると思いますが、実際に自分ができているのかと問われると難しいところがあると思います。
全部をやろうとするのはしんどい部分もありますが、
自分自身と向き合うきっかけにもなるし、取り入れられるところは一つでもやってみると状況が変わってくるかもしれません。
今回は本の一部をピックアップして紹介しましたが、この本の別の話についても、後日レビューできたらいいなと考えています。
子どもと関わる中での不安なことや、悩みを解決するヒントが詰まっていると思うので、興味のある方はぜひ読んでみてほしいです。