まるこ。

恋愛実現党党首。 乙女時々毒舌。 恋愛小説を書いてます。

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最近の記事

民主主義と自由主義

明日のお昼には何が食べたいですかと聞いて 100人中51人が幕の内弁当と言ったらば、 残りの49人も幕の内弁当を食べなくてはいけないのが民主主義。 100人中51人が幕の内弁当と言ったらば、 残りの49人は各自好きな物を食べるのが自由主義。 初めから何が食べたいか聞かないで 100人に幕の内弁当が配られるのが社会主義。 と、書いたわけですが、さて、これのどこが問題か、ということを 発展させていきましょう。 民主主義の場合、51人の人が幕の内弁当を食べたいと言ったので、 幕の内

    • 幸せのカケラ(終)

      ≪エピローグ・侑輝の章≫ 『なっちゃん?』 僕がふと真夜中に目が覚めると、ベッドの横になっちゃんが立っていた。 『どうして?あれ?どうやって?』 と半分寝ぼけて聞くと、人差し指を唇にあてて、 『しーっ』 と、言った。 それからゆっくりと僕を抱いてキスをした。 『・・・泣いてるの?』 なっちゃんの流す涙が、頬を伝わりしょっぱい 味のする キスだった。 『さようなら。侑輝くん。 大好きだった。本当に大好きだった。ずっとそばにいられたら 良かった。ウソじゃないよ。でもさようなら。

      • 幸せのカケラ⑫

        ≪国崎の章≫ 『さっき、何を言いかけたの?』 と僕は奈津美さんの 帰天式の後、車で絵里奈を送りながらそう聞いた。 『さっきって?』 『ほら、陽向が来る前に、僕と別れてからよく考えるって。』 『あぁ、あれね。ねぇ、それより、陽向が言ってたことどう思う?』 『え?あぁ、友達が奈津美さんと一緒にいるってヤツ?』 『そう。ってゆうか・・私も一回奈津美に会ったのよ。新宿で。でもあの時、不思議な気がしたのよ。奈津美が・・こう、なんか光に包まれているっていうか・・。』 『キミも陽向の友達

        • 幸せのカケラ⑪

          ≪陽向の章≫ 木曜日のお祈りの時間、俺は、神津川のことだけを祈っていた。本当はちゃんとお祈りの言葉を唱和しなくてはいけないんだけど、俺の心が神津川のことしか考えられなくなっていた。ごめんなさい、神様。でもお願い。お願いします。どうか、どうか俺と神津川を引き離さないで。神津川がいなくなったら俺は生きていけない。いや、それは大げさかもしれないけど、俺は・・俺は・・。気がついたら礼拝室には俺しかいなくなっていた。急いで階段を駆け下りてカフェに向かう。カフェの自動ドアが開くのももど

        民主主義と自由主義

          幸せのカケラ⑩

          ≪春菜の章≫ 『見てるっつーの』 アタシは空の上から、国崎さんと奥さんと子供を見ていた。 『アタシが死んでから離婚したってしょうがないっつーの』 と、声に出して言ってみる。もう届かないのに。 『アナタのせいで離婚したわけじゃないよ。きっかけだったけど、もしも、アナタと国崎 さんが出会ってなくても、あの二人は離婚する予定だった。もう使命が終わったからね。』 天使が私の横でやっぱり下界をのぞき込みながらそう言った。 『陽向君を産んで育てるっていう使命?』 『そう。そういう人って

          幸せのカケラ⑩

          幸せのカケラ⑨

          ≪国崎の章≫ 『この間電話くれた?』 と、久々に会う絵里奈は喪服を着ていた。もちろん僕も喪服で、 共通の知人の帰天式に来ていた。 『うん、したよ。』 『かけ直そうかな、と思ったんだけど、 IT 弱者のアナタのことだから、スマホで間違えてタップしちゃったのかな、と思って。急用ならまたかけてくると思ったし。』 『超、超、IT 弱者の僕だけど、間違えてタップしたわけじゃない。 陽向がさ。離婚しても法友だろ、って言うから。 なんだかキミに電話したくなったんだ。』 『法友か。そうね、

          幸せのカケラ⑨

          幸せのカケラ⑧

          ≪陽向の章≫ 俺は、階段の上から、カフェの方に歩く神津川を見つけて大声で呼んだ。 俺の声は風にかき消されて神津川には届かなかったようで、 神津川は 早足 でカフェを通り過ぎようとしている。 俺は、階段を二段飛ばしで駆け降りると 、 全速力で神津川の背中に向けて走った。 その気配を察したのか、神津川が振り返る。 『陽向君!?』 大きな目を見開いて俺を見る。 『か、神津川・・。よぅ、久しぶり。』 俺は息を弾ませながら、笑う。 『久しぶりー・・。あ、お父さんに会ったよ!』 『うん

          幸せのカケラ⑧

          幸せのカケラ⑦

          ≪国崎の章≫ 『神津川?あぁ、マジで父さんに会いに行ったんだ。』 その夜、僕は久しぶりに陽向に電話をした。 『陽向・・元気か?』 『え、なに、突然。元気だよ。ってか、学祭の準備でへとへとだけど。』 『いや、ならいいんだ。』 『父さん、学祭・・来れないよね?』 『あぁ・・うん。ちょっと無理かもな』 『わかってっけどさ。言ってみただけ。 支部 長やってたと思ったら 、今度は 選挙に出るっ ていうんだもんなー。』 『ごめんな、陽向。こんな父親だけど おまえのことをちゃんと考えてる

          幸せのカケラ⑦

          幸せのカケラ⑥

          ≪侑輝の章≫ 男子トイレのドアを開けたら、床にはいつくばって 雑巾をかけている人がいた。 『あ、ごめん。』 反射的に言ってから頭にはてなマークが浮かぶ。 あれ、ここ、男子トイレだよな。 『あ、ごめん。』 と、その人もオウム返しに同じ言葉を口にする。 『ごめん、ごめん、あまりに汚かったから。』 そう言って雑巾とバケツを持って立ち去ろうとする人が、 なっちゃんだった。 なっちゃんはいつも作務をしていた。 僕の信仰している神様の、お祈りの 場所 を掃除してい る 。 詩織と別れて

          幸せのカケラ⑥

          幸せのカケラ⑤

          ≪国崎の章≫ 『陽向君 のお父さん、選挙に出るんだ? 』 次の日の挨拶街宣が終わる頃、 また 陽向の友達の女の子がやってきた。 『そうですね。』 『なんで?』 『え?』 『なんで出るの、選挙。うちらも選挙権あるんだよね。今度から。』 『なんで・・。神様に言われたから。』 『え、マジ?マジでそんな理由なんだ。陽向君 の言うとおりだね。』 『いや・・説明すると長くなるけど・・簡単に言えば、それが今の 僕 の使命だから』 『使命かぁ。なんかすごいね、そういうの。 そういうので選挙

          幸せのカケラ⑤

          幸せのカケラ➃

          ≪春菜の章≫ アタシは雨の中、高速をとばしていた。 緩やかなカーブと下り坂の続く道を、彼のことを考えながら走っていた。 少し前に彼が言った言葉、彼がそれを言った時の表情を思い出して。 私に言ったあの言葉の中に、少しでも希望を探してみるけど、どうやっても見当たらない。 なんで?なんで?なんで? グッとアクセルを踏む。 対向車線のライトの眩しさに一瞬目がくらんだ。 後輪が滑ったな、と思った瞬間、 アタシの車は高速道路の壁に激突していた。 アタシの車の前方部分がへしゃげている。あ

          幸せのカケラ➃

          幸せのカケラ➂

          ≪国崎の章≫ 『陽向君の お父さんだよね!?』 と、僕 の前に来た女の子がいきなり言った。 駅でのあいさつ運動が終わって、 旗を片付けている時だった。 『アタシ、陽向君 の友達なんだ。大学で一緒なの。』 『あぁ、そうなんだ。陽向、元気にしてる?』 『うん。今、学祭の準備してる。アタシのうち、 この街だから、朝、 駅に行くとお父さんがいるよって教えてくれたの。』 『あぁ、ありがとう。わざわざ。』 『明日もいる?』 『うん、いるよ』 『じゃあ 、また明日!』 そう言って短いスカ

          幸せのカケラ➂

          幸せのカケラ②

          ≪絵里奈の章≫『奈津美!』 と、私は新宿の駅の雑踏の中で、なぜ彼女の姿が目に入ったんだろう、 と思う前に彼女の名前を呼んでいた。 ちょっといぶかしげに振り返った彼女は、すぐに笑顔になり 『え、絵里奈!?うっそ、久しぶり・・なにしてんのぉ?』 と人の波を逆流しながら私の方に歩いてきた。私達は 人の邪魔にならない 柱の陰の方に移動しながら 『今から支部に行くとこ』 と答えた。 『あ、そうなんだ。あれ 、旦那さん、今、こっち?』 と奈津美に聞かれて 『あー。うん。旦那ね。ってか、元

          幸せのカケラ②

          幸せのカケラ➀

          プロローグ・侑輝(ゆうき) の章  2015年7月、僕は海を見ながら、なっちゃんと話をしていた。 荒い波がよせては、かえ している。 僕が育った街の海とは違う音がする。 詩織。その名前を思い出す度に胸が痛む。 『神様とアタシとどっちが大切なのよ!』 普段大きな声など出すことのない詩織の叫び声が頭から離れない。 僕は神様の方が大切だった。 だからそう答えた。 『冷たい、と思う?僕のこと』 なっちゃんは僕の方を向いて少し笑って、 それから首をゆっくり横に振った。 『思わない。思

          幸せのカケラ➀

          2021/11/30

          あの日 あの人は 「気になってたけど 行ったことない店に 行ってみても良い?」 って私に聞いた。 いつか あの人は 違う誰かとあの店に行った時に 一番初めに一緒に行った私のことを 思い出すだろうか。 私はどうだろう。 またいつか あの店に行くことがあったら あの人のことを 思い出すだろうか。 あの人が飲んでいた 生クリームが乗ったコーヒーや 私のミルクティや 壁の不思議な雷神の絵とか。 あの人のことだから 違う誰かにも 「気になってたけど行ったことない店」 って言う

          2021/12/13

          私がカウンターで 手続きをしていると 斜め後ろから こんにちはって声をかけてくる。 背の高いあなたは 私の顔を覗きこむようにして笑ってる。 あの瞬間が 私はけっこう好きだったんだよなぁって言ったら 「そんなら今からやりましょうか?」 って言うから 私は照れてそれを隠すように 「ダメ。制服じゃないから。」 って言ったら 「それもそうだな」 って笑うから 待って、ウソ、制服じゃなくて良いよ、 そのままで良いよって 言えなくなっちゃったんだよね。