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マスコミと芸能界

 私は元来マスコミというモノには懐疑的だし しょっちゅうハラを立てているのだが、ついこないだ 性加害とやらで芸人さんが書類送検され、所属する吉本興業から解雇されたというニュースを聞くに及んで、また怒りがこみ上げてきた。もちろん彼の味方をするものではないが、芸能ニュースなどというものは、叩いてもいい対象ならブッ叩くもんだなぁと思ってしまう。

 マスコミというものは、これまで自分たちの保身や利潤追求に走ってきたのだと思っている。例えば旧ジャニーズの事件では 80年代から暴露本は発刊されていたし、2003年には東京高裁でジャニー氏の性的虐待を認める判決が下されている。にもかかわらず 我々の印象には残っていないのは、NHKを含め(この放送局はジャニーズタレントを重用する)、報道各社各局が この芸能事務所を叩かず、逆に忖度して事実にフタをしていたからだ。利害の無い外国の放送局が暴いてくれたから 明らかになったが、あの告発がなかったら今でも真実は表に出ていないままだろう。

 声を大にして言いたい。マスコミはジャニー氏の共犯者だ ということを。吉本ならブッ叩くが、ジャニーズなら共謀して隠そうとすることがまかり通ってしまう、真実を隠したり曲げたりする事実は、ジャーナリズムの精神に照らした際、胸を張れることなのか?

 この際 JKT(J→ジャニーズ事務所、K→歌舞伎界・梨園、T→宝塚歌劇団)のウミを出してはどうかという真っ当な声もあったが、もっともだと思う反面、でもそりゃ無理だろうなぁとも思う。なんとなれば古くから存在する 所謂芸能というものは、『ドライ』や『事務的』といった理屈で割り切れるものとは対極に位置しており、『力関係』や『義理人情』とは切り離せないからだ。その上に成り立っているのが芸能界というものだ。
 ついでだから そもそも芸能界というものの不思議さ、異様さ(あくまで私目線だが)をここであげてみる。

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『大御所』
 聖域やカースト制度が厳然として存在する世界、それが芸能界。ダーティーなスキャンダルのネタがあろうと 所属事務所の絶大な力で揉み消されてきた。スキャンダルが大好きなはずの芸能リポーターでさえ絶対にそこは突っ込まない。不倫芸能人や薬物俳優が暴かれた時には正義面していても、あんたたちは所詮イヌなんだね? と言いたい。情けない。

『干される』
 個人事務所設立や独立を企てる時なんかでは、上手くやらないといけない。根回しなどの周到な準備がいるのだと。独立以外にも何かのきっかけで『干す』という行為を行って、その人に仕事が回らないようにするなどは、いじめ以外の何ものでもない。そんな理不尽に対し『おかしい』という声をあげないのは、自分も干されることを恐れるからだ。そうなると小中学校生のいじめと同じ図式なのではないのか?

『差入れ』
 職場の皆さんに食べる物を持っていく? おかしくないか? 仕事だよ? 共演者の心象をよくするために、わざわざ付け届けをするなど 娑婆の世界では聞いたこともない。まるでそんなごく一部の特殊な風習を、TVなんかで疑問も持たずに放映しているけど、それが変だと思っているのは私だけだろうか?

『共演NG』
 一般社会においてこんな勝手が許されるわけもない。嫌だろうが顔も見たくなかろうが『仕事』なのだからそんなことは関係ない。何を訳のわからないことを言ってるのか? 権力を持つ人の個人的な好き嫌いに 周りが合わせるという、一般的な価値観に則るならば あるまじき考え方が横行してると思う。通常イヤイヤができるのは小学校に上がる前までだ。

『打ち上げ』
 まぁ我々の周りでも大きなイベントや一定期間の努力が必要だった仕事では、区切りとして打ち上げをしたりすることはなくはないけど、一つの番組が終わる度に『必ず』これをやるという。参加するのが嫌な人もいるだろうに(私は絶対嫌だwww)、そんなことは口に出せないんだろうなぁ。『俺の酒は飲めないの?』みたいなことになっちゃうんだろうな・・・。ああ 考えるだけで嫌だ。

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 芸能界は反社の組織と似通った所が多いといえば聞こえは悪いが、ガラが悪いとかそういうことではなく、特に『界』や『道』(花柳界や角界、華道や茶道など)といった 古来よりその文化を受け継ぐ世界においては、伝統やその業界独自の慣習を守ろうとするから、昔のしきたりが今でも色濃く残っている(舞妓・芸妓などの花柳界の負の伝統は 告発がホントなら非人道的だと思う。昔と全く一緒ではないらしいが・・・)。

 ウミを出そう、改革しようといっても その世界の負の伝統や文化を知っていながら あえて目指す人がいる限り、しきたりは受け継がれていくし権力構造は今後も成立し続けるのだろう。マスコミというものはそんな独特の世界に、閻魔大王のように睨みをきかせ、はたまた反対に幇間(タイコモチ)のように取り入り、いつの間にか誰も無視できない巨大な力を持ってしまっているのである。

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