『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』
標題の映画を封切りよりかなり早く観ることができた。たまたま申し込んでいた試写会のチケットが運良く当たったのだ。最近先の大戦に興味を持ち始め、ここ数年は一緒に戦地巡りをしている息子を誘ったところ 都合を合わせられるということで、当日 大阪商工会議所で待ち合わせることにした。会場には上映開始の約1時間前だったにもかかわらず、多くの人が詰め掛けていた。
浜村淳さんが前説のような役割で出てこられたことには驚いたが、『ありがとう浜村淳』の毎日放送が主催していたことで、『あ~、そういうことね』と納得した。しかし長いね、あの番組。もう100年位やってんじゃないのかな(笑)? でもまだまだやるよ、きっとあのお方は。
さて映画が始まった。物語の中にこの映画の舞台がどこなのかは説明されてはいないが、大方の基礎知識は持っているので、きっと設定は鹿児島の知覧ということなんだろう。そして映画の中で隊員たちのオアシスでもあった鶴屋食堂は、知覧基地近くにあった富屋食堂をモデルにしたのであろうし、ということは松坂慶子さん演じる鶴屋の店主は 富屋食堂を切り盛りしていた鳥濱トメさんだ。
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映画を観終わった率直な感想は『エッセンシャル版だなぁ』だった。しかし大東亜戦争末期の日本の状態について、ほぼ知識のない方々に対する初めてその扉を開けるという意味では 有意義な作品だと思う。本作は いわゆる戦争映画ではない。特攻隊に入隊し命を国に捧げようとする青年と、儚い恋に身を焦がす少女の あくまで切ない恋愛映画だといった方がピッタリくる。
白いじゅうたんのように美しく咲く丘の白百合は、純粋な2人の心を具現したかのようだった。そのような見方で鑑賞するならば、心洗われる 大変美しい映画である。