勝利チームの9回裏の攻撃
春と夏に甲子園でやってる高校野球は、もはや昔の姿ではない。出場している選手たちは一生懸命なんだろうが、私立の強豪校なんかに集まる生徒たちの多くは地元の中学から進学したわけではないのに、試合を見る方は 自分と同郷の高校生が頑張っているものとしてその出場校を応援する。
この夏甲子園で全国的に有名になった島根県の大社高校は、妻の生家から歩いて5分の場所にある。よって試合のある日には、テレビを見てヒヤヒヤとギャーギャーを繰り返して騒ぐ妻と共に、私も出雲大社のご加護を祈っていた。
魂を込めて繰り出した白球を必死に打ち返し、また根性で追いかける高校球児の姿には感動させられるものだが、既にアウトになっていることがわかってるのに一塁ベースに頭から滑り込む高校球児に 喝采を送る一定数のファンがいる。
しかしそのように(たとえアウトになっていようが、負けていようが)最後まで全力を尽くす姿が気高いというのなら、勝っているチームの9回裏の攻撃はどうしてやらないのか? もし既に勝負がついているから、と答えるのなら 前述した一塁ベースへのヘッドスライディングの高校生賞賛には矛盾が出るではないか。
くどいようだが、その9回裏の攻撃が要らないならば、プロ野球においても優勝チームが決まれば残りの全てのチームの全ての試合は不要なのだと言えなくはないか? 優勝チーム決定時点での順位が年間成績ということにすれば良い。それではホームランや盗塁、また最多勝や奪三振なんかの個人成績を狙う選手にとって不利になるというなら、勝っているチームの9回裏の攻撃が無いことも同様である。