日常になると遠のく、あの日のウキウキ感
子供の頃、我が家は時々キャンプをした。
狭いアパート、団地暮らしだったからもあるし、その頃お金をかけずに3人の子供を楽しませる方法としてキャンプは欠かせないものだった。
お店に出かければ、あれが欲しい!これが欲しい!!になる(特に私)
テーマパークへ行けば、あれ乗りたい!これ乗りたい!!あのジュース買って!!あのおもちゃ買って~!!!になる(特に私)
まあそれはもう子供に振りまわされ、湯水のごとくお金がかかる。もしくはいちいち戒めないといけなくなる。大人も子供も大変。
なので我が家の休日のお出かけスポットの一つにキャンプは必須。
あと、図書館(ノーマネー天国)まあ、割合的に必然と図書館は大多数を占めていた。そのおかげか私は本が好きだし、なんなら読まなくても本に囲まれた空間が好きだが、まあ今回はキャンプの話。
もちろん、キャンプとてかけようと思えばいくらでもお金はかかるけれど、そこをいろいろ工夫して、「お金をかけずに」楽しむ方法を両親は楽しんでいたのではないだろうか。なにより実際何度も言うが、お金もなかった(一番の理由そこ)
キャンプと言っても、お肉や野菜、ビールやジュースを買い込んでする「ザBBQ」を毎回する訳ではなく、普通に家で作った弁当、麦茶、インスタントコーヒーをポットに入れて持参。地味キャンプ。でも外でテントを張って食べるご飯は十分美味しいし楽しい。
ゴールデンウィークや夏休み、父の実家への里帰りの時などは、当時高速道路が整っていなく今よりもだいぶ時間がかかったため、道中の長さをごまかす訳でもないが、その途中にキャンプを組み込んでみた事もある。
ただただ車に長い事乗って「あと何時間~?」「あと何分~??」としつこく繰り返す子供(特に私)をごまかしごまかし行くよりも、ちょっと寄り道してしまうが、「キャンプ」という1つのイベントを入れ込むことで、長旅も楽しい旅の思い出の一つになった。考えたな親たち。
私たち子供はそんな思惑など微塵も考えず、ただただいつもと違う環境、寝るところ、食べるところが野外と言うだけでそれはもうワクワクした。
ワクワクの最高潮は、夏休みに北海道へキャンプ旅をした事だ。
私の住まいは本州の中ほどにあり、北海道と言うと、なかなか気軽に行ける場所ではない。
両親としても、大分頑張って、それでもやはりお金はかけられないから工夫に工夫を凝らし、なんとか企画した一大イベントであっただろう。
初めての船旅、北海道で初めて見た野生のキタキツネ。
周りに何も建物が無い、自然に囲まれた環境でのキャンプ旅に、普段ほぼ図書館、時々里帰りキャンプ、時々ラーメン屋さんのルーティーン(でもないが)の子供たちは、それはもう大はしゃぎ。
当時若干2~3歳だった弟が同じキャンプ場に遊びに来ていた同じような年ごろの女の子と仲良くなって、その子のご家族から蟹のおすそ分けまで頂いたのは、親としても大はしゃぎの出来事(なにせ、貧乏旅)
当の大活躍?した弟は蟹には興味なく(幼児)カニカマをむさぼっていたのだが。
そんな広大な大地でキャンプしちゃったもんだから、狭いせっまい団地に帰ってきた私たちは、その年の冬にその後暮らし続ける、現在の山奥へ引っ越したのだった。
展開が急だが、引っ越しは前々から考えていたらしく、だけどなかなか踏ん切りがつかなかったのが(おそらく)北海道旅行でついに決意に至ったらしい。
北海道のような広大さは流石に無いものの、ほんの車で30分ほどしか離れていない場所ではあるが、団地があった「ちょっとした街」に比べると、格段に自然が身近に迫った環境で、古い一軒家には、夜にはムササビが屋根裏に入ってきたり、フクロウは裏の木でホーホー鳴き、なんならキツネも夜でも昼でもしょっちゅう見かける事ができた。
小さな庭にBBQができる小さな囲炉裏を作り、うちに居ながらBBQもできるようになった。
だけど、これだけ日々自然と近しく暮らしていると、それが当たり前になってしまうからか、始めの頃はそこからさらに山に登った場所でキャンプをした事もあったが、次第にキャンプはしなくなった。
子供たちが大きくなったから、、、、という訳ではなく、自然と、自然がもう自然とあるし(自然でおなかいっぱい?)
これは、なんだろう。私たちが夜行バスなどで張り切って前日の夜に「明日は朝からディズニーで遊びつくすぞー!」と意気込んで行くのに対して、千葉県民(でなくても周辺の都会人)が田舎で言う「ジャスコ行く?」程度のテンションでしょっちゅうディズニーに行けてしまう感覚なのだろうか(分からないし、近いからってワクワクはする、、、だろう??)
とても余談だが、東京で働いていた時に職場の友達に「夕方でシフト上がりだからディズニーでも行く?」と誘われた時はかなりの衝撃だった。
え?あのランドに夕方から行ってもいいの??朝から行かなくてもったいないじゃん?!ジャスコならわかるけど・・・と(いちいち比べるな)
余談さておき、、、、
晴れて田舎生活を手に入れた我が家のそれからは、やはり図書館通いはルーティーンとして残り、キャンプでワクワク・・・・は無くなってしまったものの、徐々に増え始めた動物家族たち(犬、猫、ウサギ、ニワトリ・・・・)との暮らしで十分豊かになったのだった。
あの時両親が北海道キャンプを決意しなかったら、引っ越しを決意しなかったら、どんな人生が待っていただろうか?
もしかしたら、今だ自然に憧れつつちょっとした街に暮らす(さすがに団地は出てるだろうが)キャンパーにでもなっていただろうか。
そんなの誰にもわからない。
人生はどうなるかなんて、本当に誰にも予想できない。
と思う。