定時制高校
中学生まで学校で世間話できるような友達が一人もいなかった私だったが
高校に入って、はじめて学校で「友達」といえるものができた。
物心ついた時から場面緘黙症で、家では普通に話せるのに
学校へ行くとひと言も自分から話すことができなかった。
中学になっても、ここは田舎の学校。
そのまま同級生がまた同級生状態。
結局私はずっと一人だった。
場面緘黙がどのくらいの場面緘黙だったのか分からないが(他にそういった人も身近にいなかったから)
しゃべれないけど、話しかけられれば普通に話すし「話したい」という気持ちは常にあった。だけど言葉が出て来ない。
今までしゃべらない子で通してたのに(通してたわけじゃないけど)
急にペラペラ話し出したらおかしいだろ?と変な括りさえ持っていた。。。
だから、しゃべらない私を知っている人達に囲まれて、私はますますしゃべれなくなっていた。
そして高校進学。
ここでちょっとした転機が訪れる。
田舎に高校はない。
ちょっと離れた街にいくつかある高校に皆それぞれ散らばる事になるのだ。
しかし、とはいえ一人でも私が知っている人がいる高校に行って、下手すると同じクラスになったらきっと私はまたしゃべれない。
親は私が高校に行けるのか?行けないにしてもこんな話もできない子、仕事もできないだろうと、心配しただろう。
小学校中学校とも、不登校だった訳じゃない。
だけど一般社会と、世の中ととてもうまく付き合える気がしない。
高校に行くしかない。とりあえず。
よく覚えていないけど
そこまで考えていたかも分からないけど。
絵を描くのが好きなので、単純にデザイン系の学科がある高校も少し気になった。
だけどそれより
私には目を引く学校があった。
そこは普通の学校とはちょっと様子が違っていた。
【定時制高校】
定時制?何か違うの??
定時制と言うと、昔の感覚だと(今もあるのか?)夜間とか通信とかのイメージだけど、その学校は昼間、要は普通の高校のように日中も開校していた。
純粋になんだかおもしろそうと思った。
なんだか「普通」ではないところがワクワクした。
自分で授業が選べて(決められた学科、単位数などあるけど)
しかも半日だけでもいいのが何より魅力だった。
毎日土曜日じゃん!!(違う)
とにかく学校に一日縛られるのはウンザリだった。
この時
私は自分で自分の運命を確実に変えたと思う。だいぶ、いやすごく大げさなんだけど、今思うと、よく決断したエライぞと褒めてあげたい。
中学までの私には考えられない学校生活がそこにはあった。
全てが楽しい事だらけだった訳じゃない。
全てにおいてよい学校だった訳でもないと思う。
だけど、きっとこの高校以外の場所に私の居場所はなかった。
学校帰りにバイトも始めた。
知らない世界がグングン広がっていった。
相変らずコミュニケーションは苦手だし、無理すると疲れてしまうけど
私は、少しずつ変わっていった。
だけど人によっては
「定時制高校」というものに
偏見があるらしい。
出身校をいうと聞いてはいけない事を聞いたみたいな雰囲気になったり
なにか「訳」があってその高校を選んだのかと思われたりもする。
訳って何?
なんでその高校?と聞かれても困る。
じゃあ逆に聞くが、じゃあなんでこの学校じゃいけないの?
だけど、その世間のどうでもいい偏見のせいで?おかげで?
普通は選ばない高校を選んだらしい私は中学校からの同級生が一人もいない奇跡の学校に入る事になり、そして人生がガラリと変わった。
そして、まさかの私の弟たちもその後同じ学校に入る事になるのだが。
一人は普通に友達もいて私とは全く似ても似つかないコミュ力の持ち主(そのコミュ力ひと匙でいいから分けてくれ)
一人は姉の私が言うのもなんだが市内の高校でもトップクラスの頭の良い学校に入れる頭の持ち主(ひと匙でいいから分けてくれ:再び)
だけど姉の通う風変わりらしい学校に望んで入った。
そんなに姉は楽しそうだったかい?
とても自然な流れで。
偏見って、酷く醜くて退屈でつまらないものだなあ。
って思う事が最近あったので、なんだか急に書きたくなった。
私も知らず知らずに、何かを偏った目で見ていないだろうか。
そんな事になっていたら怖い。