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アルデヒドの地図(4)・・・アセトアルデヒドは不安定
アセトアルデヒド (acetaldehyde, C₂H₄O) は、
刺激性で息が詰まる窒息性の匂いを持つ化学物質です。
一方で低濃度ではフルーツ様の香りを示します。
前回の投稿の最後に、「なぜアセトアルデヒドは食品に利用されなかったのか」について考えたいと書きました。
匂い
アセトアルデヒドは、野菜や果物には微量に含まれているようなので、その匂いは日常的に嗅いでいるのかもしれませんね。僕自身、今までに純度100%の薬品としてのアセトアルデヒドの匂いを嗅いだ経験はありません。なので、野菜や果物を食べていて、「あ、この匂い、アセトアルデヒドや!」なんて思ったことは一度もありません。
酸化と還元
下の一文は、「高校化学」でアルデヒドを説明するためにはじめに出てきます。
アルデヒド基(-CHO)は、容易に酸化されて、カルボキシ基(-COOH)になる。すなわち、アルデヒドは、還元性をもっている。
「アルデヒドが不安定であること」は、「酸化される」「還元性をもっている」こととイコールです。「不安定」を簡単に説明すると、「アルデヒドと他の有機化合物を共存させると化学反応を起こしやすい」ということになると思います。
アセトアルデヒドが、エタノールと酢酸の中間に位置する物質だということを知っていれば、きっと不安定な(変化しやすい)モノなのだろうという推測はできると思います。
不安定だから、正確に含有量を測定するのはきっと難しいことでしょうね。
身近な例
分かりやすくできるかどうか分かりませんが、身近な例で。
【お酒】を「薄いエタノール水溶液」、【酢酸】を「薄い酢酸水溶液」と考えます。
これらを食材に加えて調理する場合、加熱によって空気中に蒸発したり食材にしみ込んだりしますが、エタノールはエタノールとして、酢酸は酢酸として存在し続けます。容易に他の物質と化学変化を起こすことはありません。
それに対し、もし仮に「アセトアルデヒド水溶液」を調理に使ったとしたら、加熱して空気中に蒸発することはエタノールや酢酸と同じように起こりますが、一方でアセトアルデヒドなら、食材中の有機物(アミノ基:-NH2)と化学反応(メイラード反応など)を起こしてアセトアルデヒド自体は消えてしまうと予想できます。
融点と沸点
ここで一度、それぞれの物質の融点と沸点を見ておきますね。
エタノール… (融点:-114℃)(沸点:+78℃)常温で液体
アセトアルデヒド… (融点:-123℃)(沸点:+20℃)常温で気体
酢酸… (融点:+16℃)(沸点:+117℃)常温で液体
以上は、C(炭素原子)2個の有機化合物。
以下、C(炭素原子)1個の有機化合物。
メタノール… (融点:-97℃)(沸点:+64℃)常温で液体
ホルムアルデヒド… (融点:-92℃)(沸点:-19℃)常温で気体
ギ酸… (融点:+8℃)(沸点:+100℃)常温で液体
このように、ホルムアルデヒドとアセトアルデヒドは、常温で気体です。
なので、私たちの体の中に存在する場合には、水に溶けた状態で存在します。
不安定性の説明になりませんでした
直接、「不安定性」についての説明はできませんでした。
次は、アルデヒドの身近な化学反応について書こうと思います。
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