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自分の人生(後半生)の解像度を上げてみる 2/2(大きな性差が現れる)
寿命は大きく伸びましたが、「健康ライン(健康寿命)」が早くやってきて、10年以上も不健康な状態で過ごさないとならない。こう考えている人は多いと思います。
しかし、健康ラインを超えると、すぐ「寝たきり」になるのではなく、しばらくは健康が一部損なわれているものの、自立した生活を過ごすことができます。
自立した生活ができなくなる「自立ライン(自立寿命)」は、人生最後の2~3年程度にすぎません。
要介護者は意外に少ない
「老い」は、他人のお世話になる程度を示す「要介護度」で計ることができます。改めて、要介護度を年齢別にみてみます。
まず、80~84歳の男性です。男性の平均年齢は81.6歳であり、また、60歳の平均余命は84.2歳(2020年)なので、この年齢階層に含まれます。
全面的な介護が必要な「要介護3」以上の人口割合は6.6%、15人に1人にすぎません。
85~89歳でも要介護3以上人口割合は12.4%、8人に1人です。
「要介護3」の平均年齢を、データ(介護保険事業状況報告)を元に加重平均で算出すると82.5歳。60歳の平均余命84.2歳と比べると、わずか1.7年間。
重度の介護でお世話になる期間は、意外に短いといえます。
このことは、統計にも表れています。
時間の経過に伴い要介護度は上がり、重い要介護度ほど平均年齢が上るはずですが、男性の要介護度に限り、平均年齢にほとんど差がありません。男性は要介護度が進む前に亡くなることが伺えます。
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介護保険事業状況報告(月報)令和4年1月
女性は要介護割合も高く、介護期間も長い
ところが女性は、少し違った様相を示します。
80~84歳の女性をみると、「要介護3」以上の人口割合は8.3%で、12人に1人。(男性は6.6%、15人に1人)。
85~89歳「要介護3」以上の人口割合は18.1%で、5.5人に1人(男性は12.4%、8人に1人)。
「要介護3」の平均年齢は86.4歳で、60歳の平均余命89.5歳との差は3.1年間(男性は1.7年)。
いずれも女性は、男性に比べ要介護の人口割合も高く、期間も長くなっていることがわかります。
人生終盤で現れる大きな性差の理由
なぜ女性は、男性に比べ介護状態になりやすいのか?
そもそも女性は長生きなので、加齢により要介護割合が上がるという理由がありますが、それだけではありません。
大きな理由は、男女で「介護する人が違う」からです。
夫は妻と比べて3.2歳年長(1965年値)で、かつ男性は平均寿命も短いので、一般的に妻は夫に先立たれます。
そのため、夫は妻の介護を受けることができ、その不足分を在宅介護サービスなどを使って在宅療養することが多いといえます。
一方、残された妻は、施設介護サービスを受けることが多くなり、女性の要介護度は自ずと上がります。
また、女性は夫と死別することで「いきがい」を失い、健康状態を低下させるという間接的な理由も考えられます。
内閣府調査によると、配偶者と死別した人の「生きがい」保有率は、11.3ポイント(83.2% → 71.9%)も下がるという結果がでています。
いずれにせよ、人生の最終盤で、男性と女性には大きな性差が生まれていることがわかります。そして、超長寿化はその性差を拡大させています。
男性か、女性かで、自分の人生の想定を変える必要がありそうです。
(丸田一葉)
参考)
・「介護保険事業状況報告(月報)」厚生労働省、2022年1月
・「高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査」内閣府、2022年