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『ファーストキス 1ST KISS』2人の演技は最高。うがった感想でスミマセン。
映画 『ファーストキス 1ST KISS』。
大好きな松村北斗くんが、大好きな塚原あゆ子監督の作品でタッグを組むと発表された日「ついに来たーーー!!」とガッツポーズをしておりました。脚本は坂元裕二さん。坂元さんの作品に北斗くんは相性がいいだろうなと思いながらも懸念がひとつ。実は私、坂元裕二さんの脚本がある時期から少し苦手意識があり(決してディスリではありません。「カルテット」も「大豆田」も見てました。素晴らしい脚本家さんですし好みの問題なだけです)、大好きな北斗くんと塚原監督が作るこの映画を大好きになれますようにと、心から願っておりました。
公開前の試写の感想を読むと「号泣しました」「早くも今年一番」と映画通のみなさんの絶賛の声も多く、これならきっと大丈夫と思って初日に観に行きました。
松たか子さんの等身大のかわいさとコミカルさ。
※ここからネタバレを含みます※
松たか子さんも大好きな女優さん。コミカルな役でも品が漂い、やり過ぎずコメディセンスが抜群。夫の駈が突然亡くなり、モヤモヤした気持ちで生活に疲れたカンナが、若かりし頃の駈と再会することでトキメキを感じ、内側から発光するようにキラキラしていく様が素晴らしかった。ヘアメイクはほとんど変えずに40代半ばの等身大のキレイへ変化していく。同年代の女性が見ても「かわいい~」と思えるキュートな演出は塚原監督さすがです。
透明感のあるこじらせ系男子の神髄・松村北斗。大好き。
そして松村北斗くん。北斗くんはやっぱり素晴らしかった。佇まいが駈そのものでした。「透明感のあるこじらせ系男子」というジャンルがあるならば松村北斗くんは今トップではないだろうか。私は透明感のあるこじらせ系男子は嫌いではない。むしろ好き。
北斗くんは自分の感情を悟られたくないのに、意思に反して漏れ出てしまう演技をさせたら1.2位を争うのではないか。(なお私の中での殿堂入りは「Nのために」の成瀬慎司役の窪田正孝くんである)
そして駈が見せる表情がどれも絶妙。カンナに自分の話ばかりしてウキウキしている笑顔も、リリーさん演じる教授に向ける不器用な笑顔も、最後の遺影での微笑みも、胸がキュンとしたり、グっと掴まれたり。後半の真実を知ってしまったあとの落胆と静かな憤り、その後、年を重ねてすべてを受け入れた優しさに溢れた佇まいも、ナレーションも最高でした。
正統派のキレイな顔立ちなのにちょっとサブカル感があって言葉を選ばずに言えばヲタク気質の駈。でもその中にキラキラ眩しい瞬間が散りばめられていて、まさに北斗くんは駈でした。透明感のあるこじらせ系男子、大好きです。
塚原監督の描く恋愛ものはヒューマンストーリー
塚原監督のラブストーリーは、<人間 対 人間>のヒューマンストーリーが根底にあるのが好きです。恋愛映画特有の熱はちょっと置いておいて、お互いの根底にある大事なものを共感し合えた瞬間とか、お互いを慈しみあえる存在として描いてくれているのがいつも「大好きだーーー!!」となります。
今回も若い頃から恋愛に重きを置いていなかったであろう2人が結婚に至るまでの温度感がとても好きでした。この2人なら惹かれ合って家族になろうって自然と思えるだろうなと思いました。
後半につれて切なさMAXになりつつも、2人がきっと幸せな結婚生活を過ごしたんだろうなという幸福感。最高でした。
余談ではありますが、実は塚原さんの作品が好きすぎて何度かエキストラに参加させていただいたことがあります。先日の「松松ラジオ」で北斗くんがおっしゃっていた通り、いつも監督はオシャレで素敵でした。
ここからうがった感想でスミマセン。
ここまで書くと「最高の映画だった!!」と普段なら思えるし、友達にも絶対観たほうがいいよ!とおすすめするのだけど、どうしても演技や演出の良さでは拭えないストーリーの捻じ伏せ感を感じてしまいました。ごめんなさい、私は泣けなかったけど前の席の女性は号泣しておりましたのできっと多くのみなさんはそうなると思います。
本当に個人の感想なのですが、もう少しだけ丁寧に感情の機微もタイムトラベルにした意味も描いて欲しかった。非現実的な設定は全然いいんですが、カンナが初めて15年前に戻って再会した場面、お互い冷静に受け入れすぎていることに違和感を感じてしまい、出会いの冒頭で「ん?」と思ってしまいました。人が上から降ってきたらそれだけでかなり驚くと思うんだけど。
あと、年の離れたカンナと駈が惹かれ合うのも「運命だから惹かれ合うんだよ」というのがなかなか理解できなくて。「なんで?いつどこでそんなにお互いに惹かれたの?」と途中までぐるぐる考えてしまいました。終盤はそんなの考えてたら物語に入り込めなくなりそうだったので、松さんと北斗くんの演技の力量によって「運命だからだよ」と納得させようとしている自分がいました。
私が坂元さんの作品が苦手になってしまったのは『問題のあるレストラン』でのあるシーン。会社でパワハラに合い全裸で謝罪をさせられる女性のシーンでした。言語化するのが難しいですが、飛び道具がすぎると感じてしまいました。社会的な問題提起をされたのだと思いますが、飛躍しすぎていて個人的にはインパクトを残したいのかなと感じてしまい、嫌悪感がぬぐい切れなかったです。
今回も駈の死は免れたものの多くの方が亡くなる結果になるタイムトラベルがあり、これも「ここまでポップに来てたのに、急に地獄に突き落としてきた」と思ってしまいました。坂元さんの作品の魅力である緩急ある展開が私にはきっとついていけないだけなんだと思います。
でも「透明感のあるこじらせ系男子」を描かせたら坂元さん作品はNo.1だと思っています。
多くの方が絶賛されていることが正解なのだと思います。私のクセで、なにか納得がいかないとずっとそれに引っ張れてしまうので、ストーリーの大事な部分を見逃している可能性もあると思っているので再チャレンジしたいと思っています。
繰り返しになりますが、この素敵な映画を作られたみなさまには心から敬意を持っておりますし、俳優・松村北斗のすばらしさがより多くの皆様の心を掴んでいることは北斗くんの努力の証でありますのでひとりでも多くの方にぜひ見ていただきたいと心から思っています。これからも多くの人の心震わせてくれる北斗くんの演技を見ていきたいです。
長文乱文で失礼いたしました。