原神のモチベーションが消滅した話

1年ほど前、スターレイルというゲームを始めてみたところ、これが面白く、すっかりハマってしまった。
自分はあまり*ソシャゲをやらないのだけれど、僕のソシャゲに対する印象を180°変えたと言ってもいい。ソシャゲにも面白いのあるじゃん！と。

*ソシャゲの定義は難しいのだけれど、ここでは基本無料でガチャがあってイベントがあって、みたいなニュアンスだと思ってもらえれば

無論、僕のソシャゲに対する認識が10年前で止まっていると言われればそうなのだけれど、昔は、ガチャゲーでしょ、みたいなソシャゲが多かった。

とにかくスターレイルを機に、ソシャゲに対する忌避感みたいなものが一気に消えた。むしろ、面白いものがあるなら他にもやってみようか、みたいな気持ちになった。

そこで僕がダウンロードしたのはスターレイルと同じ会社が出している 原神 というゲームだった。

名前は聞いたことがあったし、ソシャゲといえばとりあえずこれでしょ、くらいのビッグタイトルだと思う。
ソシャゲなに流行ってるか知らんけど、原神は知ってる、という人は多いのではないかと思う、現に僕はそうだった。

僕の周りでも、ゲーム普段やらないような大学生がハマってる、とかそういう話を聞くレベルで人気がある。

とにかく、僕は原神をプレイし始めた。
広大なフィールドの探索は楽しいし、世界観やキャラも練られていてとても魅力的に映る。
スターレイルと同様、すぐにハマった。
寝る間を惜しんでやるってことはないけれど、1日のうちゲームプレイする時間における原神のウエイトはかなりデカくなった。
僕はストーリーを進め続けた。

それがだいたい1ヶ月前くらいのことである。
ダウンロードしてから1ヶ月くらい、ストーリーをプレイして、そして残念ながら今はやる気の一切が霧散してしまった。
なぜか。

この原神というゲームには、メインストーリーである魔神任務と、キャラストーリーである伝説任務・デートイベントというのがある。

魔神任務はそれほど説明することもない。
メインストーリーである。
本筋のお話で、順番に沿ってプレイすることができる。

伝説任務・デートイベントでは、複数キャラの関係性が描かれたり、特定のキャラ掘り下げが行われる。
これらは作中でデイリークエストをこなすと手に入る鍵を入手して開放することができる。
メインストーリーの進捗に応じてプレイできる数が増えていく。

魔神任務で新キャラと
はじめまして→伝説・デートで掘り下げ
みたいな感じだと思ってもらえれば良い。
なかなか丁寧な描き方であると思う。

キャラクター造形はとても魅力的だし、キャラに愛着を持たせてガチャを引かせる、という意味でも伝説・デートはけっこうデカい。

さて、原神にはこれらの他に、定期的に期間限定のイベントが開催される。
参加することでイベント限定のストーリーをプレイすることができ、もちろん報酬を獲得できる。
いいことしかない。

そして、僕のやる気がなくなった原因でもある。

先述した通り、期間限定のイベントでは任務という形でストーリーが展開される。

僕が始めたタイミングでは、シムランカという絵本の世界のイベントが開催されていた。
報酬も欲しかったし、せっかくなのでとストーリーをプレイした。

多分、メインストーリーを最新まで進めていることが前提なので、ぜんぜん知らないキャラが当たり前のようにバンバン出てくる。当たり前のように主人公と面識がある体で話が進んでいく。

これはまあしょうがないかな、と僕は思った。そういったキャラの登場時には、キャラ説明のポップが出たし、むしろ親切だなあとすら思った。
こんなキャラがこの先出てくるんだな〜くらいに考えていた。

シムランカのストーリーで語られる内容は、新規の自分にとってはよくわからないことだらけであった。ただまあ、キャラの時も感じたが、これはまあしょうがない。そこまでメインストーリーを進めていない自分が悪いのだ、と。

こんな感じでイベントのストーリーは、時には新キャラが登場したり、既存キャラのお話だったり、そんな感じらしい。

らしい、というのは、僕は最近始めたばっかりなので、シムランカ以外の過去のイベントのことはさっぱりわからないのだ。

ただ、メインストーリーを進めていけば、これらのキャラともいずれ出会える、過去のイベントストーリーをプレイすれば、お話もよくわかるだろう、と思っていた。
そんなことにはならなかった。

フィッシュルというキャラがいる。
シムランカのイベントでもちょろっと出てきたし、七聖召喚という作中でできるカードゲームのストーリーにも登場する。
これらのストーリーに彼女が登場する際は、当然のように主人公とは面識がある体で話が進む。少なくとも、僕が進めた範囲では、メインストーリーには登場していなかったはずである。
そして、未解放の伝説任務やデートイベントの欄を見ても、彼女はいない。

それでは、フィッシュルと主人公が作中で初めて出会ったのはいつのことなのだろうか。

これは調べた。
調べないと判断できないと思ったからだ。
もしまだ進めていない魔神任務で初登場のシーンがあるならそれでいい。そこまで進めればいずれ会える。

残念ながら、彼女の初登場は過去のイベントストーリーだった。

そして、原神には、過去のイベントストーリーをプレイする手段がない。
イベント期間が終わると、もう二度と、イベントストーリーをプレイすることができないのだ。
二度と。

つまり、新規プレイヤーがゲーム内でフィッシュルとはじめましてする方法は存在しないのである。
なぜ彼女がカラスを連れているのか。なぜカラスが喋るのか。なぜ厨二病っぽいキャラなのか。
どれだけ疑問が湧いても、これはゲーム中では解消されない。
僕のような新規プレイヤーにとって、永遠に謎のままとなる。

僕がフィッシュルに強い思い入れがあるかというと、特別そんなことはない。
キャラクターは可愛らしいと思うが、彼女のことをあまりにも知らない。なぜなら過去のイベストをプレイできないから。
愛着が湧く段階に到達し得ない。

そして、僕が危惧しているのは、このようなことがこの先、別のキャラでも起こるのではないか、ということである。

例えばこの先復刻されたガチャでビジュアルがすごく好みのキャラクターが出てきたとして、オタク心としては背景や諸々を知りたくなるものである。

しかしもしそのキャラクターが、魔神任務には登場せずイベントでしか登場しないキャラだったら？
プレイヤーの知らない主人公との思い出を延々と語り出したら？
ゲーム内で情報を入手する手立てはない。

過去のイベントでは魔神任務に関わるようなお話や、世界観にまつわる重要なお話もあった…らしい。
だとしたらこの先、メインストーリーである魔神任務を進めていったとして、過去のイベントをプレイしてその情報を知っているのと知らないとでは、ゲーム体験に大きく差が出るのではないか。

動画で見れば良いではないか、という声もあるかと思う。
つまり有志の誰かが動画サイトにあげてくれている過去のイベントの動画を見れば、問題ないじゃないかと。

僕としては、これでは納得できない。
それは果たしてゲーム体験ではない。ゲームをプレイして得られる結果こそが、ゲーム体験であると思うし、動画を見て満足するのであれば、極端な話、この先のメインストーリーだろうとイベントストーリーだろうと、全部動画で見ればいいということになりかねない。

もちろんそういう楽しみ方をしている人がいるであろうことはわかるし、それを否定するつもりもない。
ただ僕は、いちゲーマーとして、ゲームとしてプレイさせて欲しいのである。

プレイする中での選択の結果として、情報を見落としてしまうのであれば、それは僕のミスであるし、仕方がないことだと諦めもつく。
しかし今の状況では、過去のイベントをプレイすることすらできないのだから、選択もクソもない。

新規で始めたプレイヤーと、昔からプレイしている古参プレイヤーとの間には、ゲーム内で入手できる情報とゲーム体験にあまりにも大きな格差がある。

過去のイベントストーリーで語られた内容を前提として今後もストーリーが展開されていくというのなら、新規プレイヤーはキャラやストーリーの全てを理解することはできない。ゲーム体験そのものに大きな隔たりが生じる。

僕自身に完璧主義的な傾向があって、どんな情報も見落としたくない！みたいなきらいがあるのは承知しているが、それにしてもこの点においてはかなり不親切であると感じる。

そもそもゲームの内容自体が、ストーリーを通して主人公が作中世界を理解していく、というものなのに、これではプレイヤーは置いてけぼりである。

はっきり言って、こんなことではやる気をなくす。

無論、期間限定でイベントを展開する必要があるのは理解できる。
プレイヤーを離れさせないためにも。

しかしせめて、報酬はもらえなくともイベント終了後もストーリーを見返すことができるようにするとか、そういった機能は必要なのではないか。

スターレイルでは、本筋に関わるような過去のイベントは常設としていつでもプレイすることができる。

博物館のお話とか、怪異退治隊のお話とか、既存のキャラクターも結構出てくるし、メインストーリーを進めていれば新規プレイヤーであっても楽しくプレイすることができる。
もちろん期間限定の報酬はもらえないけれど、それでもストーリーを自分でプレイして情報を入手できるのだから、かなり親切であると思う。

原神にはそれがない。

最も手っ取り早い話は、僕がこのゲームをやめればいいだけなのだ。
でもそれではあまりにももったいない。

僕だってこの先も楽しく原神をプレイしたいのだ。
せっかくキャラクターも世界観も魅力的で、力を入れて作っていることがわかるのに、こんな理由でプレイを諦めなければならないのは、あまりにも残念ではないか。

過去のイベントをプレイできない、ということをつい先日知り、あまりにも残念で、急に気力が0になってしまったため、その思いを感情に任せここに記す。

今後、この点が改善されることを願いつつ、素晴らしいゲーム体験が提供されることを楽しみにしている。