【本から離乳食を考える】料理と科学のおいしい出会い(石川伸一) ー料理の方程式編
わたしたちの離乳食のヒントになりそうな本を少しずつ紹介します。
料理と科学のおいしい出会いー分子調理が食の常識を変える(石川伸一/化学同人)から離乳食に関連する内容を抜粋、コメントします。
”分子調理学によって、調理の伝承の正しさを科学的に証明することもあれば、特定の場合にのみ当てはまることもあるでしょう。客観的な視点で調理方法を見直すことによって、料理のおいしさをさらに発展させることが期待されます”
本書は離乳食に応用できそうな視点がたくさんありました。
まずははじめに、本文中の「料理の式」(分子ガストロノミーの生みの親、エルヴィ・ティス氏が考案)を使って、新しい離乳食を考えたいと思います。
料理の式とは、下記の2つの状態を組み合わせることで、どんな料理も表現できるというものです。
・食材の状態
G(ガス):気体(意図して空気を入れ込む場合)
W(ウォーター):液体(流動性のあるもの)
O(オイル):油脂(固形、液状問わない)
S(ソリッド):固体(流動性のないもの/常温で盛った際に5秒以上形を保てるもの)
・分子活動の状態
/:分散(具が隠れるまでスープを注ぐ、染み込ませる、浸透する、煮込む、揉み込む)
+:併存(まぜる、たたく、ともに盛る)
U:包合(からめる、包む、おおう、あえる)
σ:重層(重ねる、はさむ、散らす、かける)
ちなみに例は
泡立てる前の生クリーム:O/W (油脂 分散 水)
泡立てた後の生クリーム:(O+G)/W(油脂 併存 気体(空気) 分散 液体(水))
※油脂に空気を含ませる(O+G)、その空気を含んだ油脂が水の中に散らばっている(/W)状態
図1:
https://yashoku.hatenablog.com/entry/2014/12/02/205518より
では離乳食初期のメニューで考えてみましょう!
(個人の見解なので、間違いやご意見があればご指摘ください)
10倍粥
生米と水を入れて調理したお粥(S1/W)
→裏ごしして(W1)の状態に持っていく。
※S1,W1:米、W:水
野菜のペースト(にんじんの場合)
にんじんを煮込む(S2/W)。
→裏ごし(W2)の状態に持っていく。
※S2,W2:にんじん、W:水
ブロッコリーとジャガイモのペースト
ブロッコリーを茹でる(S3/W)
ジャガイモを茹でる(S4/W)
→これらをペーストになるまで潰す(W3+W4)
※S3,W3:ブロッコリー
※S4,W4:ジャガイモ、W:水
ここまで見ると、離乳食初期は2つの工程が基本だということがわかります。
(1)「固形物と液体を煮込む」
(2)「潰して液体状にする」
では材料は変えずに、新しい離乳食を考えることはできるのでしょうか。
思いついた案を書き出してみました。
・初めの方程式のW(水)を他の液体に変える
→水を100%にんじんジュースとか、オレンジジュース、トマトジュースに変えてみる?
特にお粥の場合は、一緒にすり潰せば、トマトリゾット風とか、にんじん粥が簡単に調理でき、混ぜるという工程が省けるかも。
・G(気体)を混ぜ込む
→「舌触り」を変えたい場合に気体を混ぜ込んで舌触りをよくすることで、食べやすくなるかも。
生クリームの方程式(O+G)/Wを応用して、液体状にした段階で、すこーしオリーブオイルやバターを加えて空気を含ませてホイップ離乳食なんてのも可能かも。
なんだか夢が広がりますね!!
石川先生のブログも必読です。
https://yashoku.hatenablog.com/