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不幸
黒く濁ったそれはこの世界の彼方此方に潜んでいる。噂では見たものは不幸になるとかなんとか。そんなもん、見えなくたってとっくに俺は不幸モンだっての。やかましいな。
でもきっと不幸モンの俺の近くには絶対絶対いると思うんだよね。だから俺は見つけてやろうと思うの。そのなんていうの、不幸になるやつ?ってのをさ。そんでボコボコにしてやるんだ。一生懸命探したよ。学校でも家でもそれこそテレビの裏だって、何処だって探したさ。
でもどこにもそんなものはいなかった。
不幸になるやつなんていなかった。どういうことなんだよ。
噂なんか信じるなってやつなのか?
俺はさ自分で言うのもなんだけれど純粋だからさ、いちいち信じちゃうんだよ。誰かがしたくだらない噂とか、本当か嘘かわかりにくい冗談とかさ。
だから嘘はつかないで欲しかった。
冗談ってわかるように言って欲しかった。
え?冗談じゃなかったって?
本当の気持ちだったって?
それが1番キツイやつじゃん。
ってか俺が1番キツイ奴になっているよね。
ごめん。気づけなくて。
俺、信じていたかったんだ。
君の何もかも。
でも信じていたのが馬鹿みたいだよな。
馬鹿だったんだよな、俺。
どうしようもねぇなぁ、ほんとうに。
あぁ、どうしたんだよ。なんだかこれってさ。
いや、なんでもないよ。
もう、なんでもないんだ。
あぁ、君がどんどん、黒く濁っていく。
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