信長➨秀吉➨家康は、当然の流れ
信長➨秀吉➨家康の流れを、企業組織の成長サイクルに組み入れるとシックリする。
▼▼「導入期の開発部隊」には「逃げ足の速い信長」
企業サイクルの導入期には顧客を創造するため、トライ&エラーで「発見と学習」する少数精鋭の開発部隊を支配的にマネジメントする個性の溢れたバイタリティある創業者が求められます。
この点、信長は、開発部隊が進むべき方向性を示すミッションとビジョンを明確し、導入期には避けられない失敗時の逃げ足に優れていました。
▼優れたトライ&エラー力
・楽市楽座や関所撤廃、キリスト教徒との交流で西欧文化吸収など先進的なやり方にトライするバイタリティ。
・金ヶ崎の撤退や第1次包囲網、雑賀衆の鉄砲からの逃げ足の速さ。
▼ミッションとビジョンの明確化
・ミッション:「お金こそ力」
尾張の守護又代の代官(今でいえば市長)に過ぎないにもかかわらず、商業港でお金を生み出し、3国の守護大名(今でいえば3県の知事)である今川家と同額の寄進を朝廷や寺社仏閣にでき、今川家と戦えた父の姿とお金の稼ぎ方を見て育ったため、信長は、力の源泉が地位や無力ではなくお金であると発見できた。
・ビジョン:「点で抑える」
お金こそ力だから、将軍足利義昭から近畿管領(今でいえば近畿全体の知事)の推挙があったにもかかわらず、当時のお金の大動脈「堺➨琵琶湖➨越前」の3都市の代官に就任。
▼▼「成長期のミッション組織」には「動きにも発想にも制限のない秀吉」
企業の成長期には、新しもの好きのエバンジェリストからアーリーマジョリティへ顧客層を拡大するための「キャズム」と呼ばれる壁があります。この壁を超えるには「開発部隊」より人数を増やす必要がありますが、誰でもこなせる「プロセス組織」では越えられない様々な新しい試みに何度も挑戦しなければなりません。
この点、武士として動きにも発想に制限があった信長や家康と異なり、身分が低かった秀吉は自由でした。しかも生まれながら頭が良く、生き抜く過程で身に付けたデータ分析力で、効率的に挑戦回数を減らせ、短期にキャズム越えするのに最適だったのです。
▼身分が無いからこそ、動きも発想も制限が無かった
・身分が低かったため、常に短期的な成果を求められ、実践力と柔軟な発想が磨かれた。無理に武力制圧せず、豊臣姓を前田利家や徳川家康に付与する「チェーン店方式」や長曾我部や毛利、島津などに官位を授与する「M&A方式」で効率的にMission(天下一統)を実現。
・武士の枠にとらわれない、より大きな視点である国や法という概念で、武家関白制を構築し、天皇の権威を利用して、戦いを有利に進め、鎌倉幕府や足利幕府のような「事後調整型の統治」ではなく、総無事令や喧嘩停止令、海賊行為の禁止令などで「法治国家化」し、戦国時代を終了させた。
・身分に関係なく優れたスペシャリスト官僚制度を作れた。数学の天才「長束正家」や戦術の天才「黒田正孝(官兵衛)」を活用。
・スペシャリスト官僚制度でデータ分析を重視し、信長でも実現できなかった大量動員長期滞在可能な戦い方で、効率的に天下一統。
▼▼「成熟期のプロセス組織」で回せる安定した環境づくりには「優れた状況分析力で無理をしない家康」
企業の成熟期には市場は充分に大きくなって安定しているので、多くの平均人で回せる組織が効率的です。
この点、家康は優れた状況分析力で無理せず天下人に上り詰めました。この過程で従ってきた家臣も多く、プロセス組織を作るには最適だったといえます。
▼優れた状況分析力
・守護大名の今川でも武田でもなく、守護又代の代官にすぎない織田信長を選択。
・個々の戦では勝利したのに真の力は経済力であることを悟り、秀吉に臣従。
▼混乱期に無理せず領土拡大
・今川義元の死後に領土回復。
・織田信長の死後に領土を大幅に拡大。
▼現状に合わせ無理せず統治
・豊臣秀吉の死後、自己の有利な状況(圧倒的な石高)を最大限に活用した統治制度で安定した政権を築いた。信長・秀吉の「金の統治」「点の統治」から「人(石高)の統治」「面の統治」を構築。
▼凡人でも運営できる統治システム構築
・秀吉が構築した野心的で不安定なスペシャリスト官僚制度ではなく、信頼できる家臣でも回せる官僚制度を構築。
▼▼次回記事予告
「衰退期ともいえる現在の日本で、誰がトップにふさわしいか」
▼経済が成長せず30年経過
▼少子高齢化が進行
▼世界競争力は年々低下
今の日本に必要なのは、信長か?秀吉か?家康か?は次回の記事で取り上げます。
▼記事一覧
▽日本経済
日本経済の転換期とは
日経平均株価最高値の構造
産業構造
日本の未来
GDP4位転落
減量経営で内需が消滅
高度経済成長はマクロ的偶然の産物
潜在成長率からみる日本の未来
日本経済の足を引っ張っているのは?
日本経済は3段階で消滅した
▽地方経済
人口維持目標値と人口急減信号
横浜市VS名古屋市
埼玉県VS千葉県VS神奈川県
仙台市VS広島市
札幌市VS福岡市
豊田市VS?
地方衰退の構造
2045年愛知と熊本が最強に
富める市区町村の条件
東京一極集中=GDP45%
九州が最強国家?
▽企業経営
ゼネコンVS大工
バスVSトラック
道の駅成功の法則
経営戦略のまとめ
ビジネスモデルまとめ
経営に必要な数値まとめ
組織のまとめ
イノベーションまとめ
生産性のまとめ
マーケティングのまとめ
儲かる職業と儲からない職業。理由は明白
儲かる業種ランキング
日本産業図鑑
あるべき企業経営とは❷
あるべき企業経営とは❶
進化に対応できない日本企業
▽その他
いま必要なのは信長・秀吉・家康の誰か?
信長・秀吉・家康は当然の流れ
世界経済を動かす法則
豊かな国なる法則
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