さまよう刃、を観た!
制作:2009
監督:益子晶一
撮影:王敏
出演:寺尾聰、伊東四朗、竹野内豊、酒井美紀
■あらすじと感想
中学生の娘が拉致され覚せい剤を投与され強姦殺人される。その父親が犯人に復讐をするべく犯人を追う。
■未成年による凶悪犯罪は少年法により厳罰が処されることは非常にまれである。ただ、近年の少年犯罪はその法律を逆手に取っているのではないかと思われるほど凶悪化が進んでいる。そのような刑罰で被害者やその家族や近親者は納得できるのだろうか?果たして凶悪犯罪を起こした「少年」は更生できるのか?またその糸口はあるのか?という事に関してのメッセージ性が強く、納得感のあるテーマであり理解できる。もう一方で思うのは、この映画は「少年」が犯したという設定だが、成人が犯した犯罪の刑罰および更生に関しても同様ではなかろうか?個人的にこの映画で描かれているテーマ性には賛成できるし、凶悪犯罪に対して今の刑法が十分なのか否か?は疑問の一つでもある。
■ただし、映画のテーマ性に対して脚本の完成度が低いのではないでか?ネタバレ的ではあるが、「どうして電話番号がわかったの?」「このくらいの捜査はするでしょう!」「こんな都合のいい展開にはならないでしょう」と思う場面が多すぎて、物語の流れがテーマにばかり寄せられているので興ざめになる。
■映画でもテレビドラマでもドキュメンタリーでもテーマはある。そのテーマをカットや演技・空気感などで感じさせるのが演出で、無理があるな…、と思った瞬間に観客は引いていくのです。考えなくてはいけない社会的なテーマであり、なかなか成立するのが難しい企画であるだけに惜しいです。
■印象に残ったカットは寺尾聰が雪山を登るシーン。思いが溢れる感じが良いです。寺尾聡は素晴らしいです。ではでは。
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