私の母は歯科衛生士
私の母は、歯科衛生士だ。
小学生の頃、保健の授業で歯の健康についての話があった。その時、クラスの誰かが「○○ちゃん(私)のお母さんは歯医者さんです」と言った。それに対して先生が、「○○ちゃんのお母さんは歯科衛生士さんです」と訂正したのを思い出す。子供ながらに「そんなにきっちり正さなくてもいいのに」と思った記憶がある。まあ、それはさておき、私は歯科衛生士の母にとても感謝している。
歯磨きは私にとって、ごはんを食べることと同じ位置づけだ。毎日必ず朝・昼・晩とごはんを食べるように、歯磨きも必ず朝・昼・晩。当たり前のことのようだが、これは決して簡単なことではない。何事も習慣化させることはとても大変だ。特になんでも嫌がる小さい子供にとってはなおさら。
私の記憶の中の母は、歯磨きをする時だけやたらと力が強く、まるで鬼のようだった。仰向けの私の上に馬乗りになるので、全く身動きが取れず、ただされるがまま。歯磨きをしないと遊ぶこともできないし、寝る前に本を読んでもらうこともできない。そんなの、耐えられるわけがない。最初の頃は全力で抵抗していた気がするが、抵抗しても無駄だと悟り、次第に言われなくても自分で歯磨きをするようになった。母の勝利だ。
少々手荒な技というか、なかなか手荒な技だったと思うが、母のその行動は、私の歯の健康を確実に守った。
「お母さんに感謝しなさいよ。」
この話をすると、母はいつもこう言うが、おっしゃる通りだ。今の私の健康な歯や口腔環境は全て母の教えで成り立っていると言っても過言ではない。保育園から高校まで、年に一回ある歯科検診では、毎回「健やかで健康な歯でしょう」という結果をもらっていた。
ここで、皆さんにも母の教えを少しだけお伝えさせていただきたい。最初に断っておくと、歯科医院やクリニックがある数だけ、様々な考えや技術があると思うので、これは一歯科衛生士の意見として聞いていただければ幸いだ。
歯磨きをする前に糸ようじをする。
歯を磨くときはあまりゴシゴシ磨きすぎない。
歯磨き粉を多くつけすぎると、泡が立って磨けている気になるので、歯磨き粉は気持ち少なめに。
前歯から左右に4本くらいの歯は縦に磨く。
奥歯は磨き残しが多いので、しっかり奥まで歯ブラシを突っ込む。(母の表現そのままで伝わりにくかったら申し訳ない)
時々、舌も歯ブラシで優しく磨く。
知識がない段階で、市販のホワイトニングは使わない。(歯の表面のエナメル質を削り、虫歯や知覚過敏になる恐れがある)
マウスウォッシュも必要に応じて使う。(口腔ケアだけでなく、風邪やウイルスが流行っているときにも効果的)
いつもきれいにしていても、やっぱり少しの磨き残しや歯石などがあるので、たまにでいいから歯科医院やクリニックにメンテナンスに行く。
他にも細々あるのだが、私はとりあえずこの項目を継続しているお陰で、いつも美味しい食べ物を、美味しく楽しく食べることができている。書き出してみると、一見当たり前のことなのだが、習慣化していることが素晴らしいと思う。習慣化している皆さんも素晴らしい。
夜、歯磨きをせずに寝ることなんてあり得ないし、歯磨きをするとすっきりして最高に気持ちが良い。こんな感覚や価値観を与えてくれた母には心から感謝している。
お母さん、健やかな生活を送るための知恵をありがとう。
これからもしっかり維持します。