私のフルマラソン記録
今年出場すれば5回目のフルマラソンだ。
私が毎年応募しているフルマラソンは抽選式のため、出場できるかどうかはまだ分からない。それでも、コロナで大会が中止になった時を除き、毎年応募して毎回当選しているので、今年も期待している。
初めて出場したのは大学1年生の時だった。小学校4年生の頃から陸上一筋で来た私は、走ることには自信があった。高校の時に故障をしてしまったことが引っかかっていたが、初めて走る未知の距離への挑戦に胸が高鳴っていた。当選が確定した後、早速近所の公園に練習に行った。おニューのランニングシューズを履いて意気揚々と走り出し、愕然とした。高校時代の故障や、それに伴うストレス、思春期のホルモン不均衡による体重の増加、運動不足などによるブランクが、これほど身体に影響を与えていたのかと、ショックだった。1000m走るのもやっとだった。練習開始早々、心が折れそうになったが、自分で出場することを決めた以上、諦める選択肢はなかったので、そこからは週に最低2回は走ると決め、必死に走行距離を伸ばした。大学の講義が終わった瞬間、一目散に家に帰り、着替えて公園まで走っていき、1周1000mの公園を10周する。我ながら頑張っていたなと、この文章を書きながら感心する。中距離を専門としていた私は、長くても5000mまでしか走ったことがなく、長距離の走り方を一から勉強した。動画や本、高校時代の友人から情報を集め、自分なりの練習法とメンテナンス法を取り入れたおかげで、ありがたいことに故障がぶり返すことはなかった。
◆◆◆練習開始から2か月後のメニューの一例◆◆◆
所要時間:2時間前後
1.体操
2.アップ 15分 (6min/kmペース)
3.ビルドアップ *
→0m-3000m 6min/km
→3000m-5000m 5.5mim/km
→5000m-7000m 5min/km
→7000m-9000m 4.5min/km
→9000m-10000m 4min/km
4.ダウン 30分
→その日の体調に合わせて。
2000mをゆっくり走る、100m流し×3本など。
5.体操
6.ストレッチ
7.お風呂(できるだけ湯船につかる)
8.夜ご飯(ビタミンとタンパク質を意識する)
*練習やレースの一環として、ペースを徐々に上げていく走り方。持久力やスピードを向上させるために効果的。
2018年2月18日(日)、マラソン当日。
朝5時に目を覚ました私は、今日ついに42.195㎞に挑戦することを改めて実感し、全身に血液が勢いよく流れるのを感じた。顔を洗い、ストレッチをして、朝ごはんを食べて着替え、家を出た。一緒に出場する友達が前日から泊まりに来ており、その友達の運転で会場まで向かった。会場に着いてからの段取りをいろいろ考えていたのだが、予想以上の渋滞と駐車場の空きがなかったことなどにより、私たちはドタバタと準備を済ませてスタート地点に立った。そのせいか、スタート前の記憶はあまりない。
初めて出場するフルマラソンは、まず人の多さに圧倒された。スタートの号砲が鳴ってから、タイムの計測が始まるラインを踏むまでに10分ほどかかったと思う。その後も、歩きで間に合うほどのペースでしか走ることができなかった。途中、橋を渡り、曲がり角を曲がってからようやく自分のペースで走れるようになった。私の前を走っていた友達は、いつの間にか見えなくなり、そこから自分との戦いが始まった。あれほど練習を重ねたにもかかわらず、スタート直後から横腹が痛み、5kmも走らないうちにペースダウンしてしまった。ペースを上げることができず、何とか20km地点にたどり着いた。正直、ここまでは思っていた以上にきつさを感じることもなく、順調に走れていたと思う。
問題は20kmを超えてからだった。水分補給や栄養補給もしっかりし、今まで順調に走っていたのに、突然何の前触れもなく、左膝の上の筋肉に違和感を感じた。これまでこんな症状は経験したことがなかったため、何事かと困惑していた次の瞬間、ものすごい力で筋肉が圧迫される感覚に襲われ、思わず立ち止まってしまった。攣ってしまったのだ。それも思いっきり。今までに足を攣ったことは何度もあったが、膝の上は初めてだった。まだまだ練習や自分の体に対する知識が足りていないことに気づいた。一度攣ってしまうと、その後も攣ったり治ったりの繰り返しで、思うように走ることができなかった。少し走っては立ち止まり、歩いては走っての繰り返しで進む5kmの長さに驚いた。こんなことになるなんて予想もしておらず、泣きそうになりながら、とにかく制限時間内に完走することだけを考えて進み続けた。はっきり言って辛すぎた。
5時間30分。
何とかゴールまでたどり着いた。しかし、正直なところ、達成感は感じなかった。足は棒のようになり、スタート前に預けた荷物を受け取りに行くのさえつらかった。私より1時間ほど早くゴールした友達は、笑顔で私を迎えてくれて、なんだか情けない気持ちになった。こうして人生初のフルマラソンは、散々な結果とともに幕を閉じた。
走っているときは、「なぜ自分はあの時応募したのだろう、もう二度とこんなきついことはしない」と思う。なのに、なぜか走り終わった瞬間には「来年も絶対走ろう」と思うのは、元陸上部あるあるなのだろうか。それとも走り終わった人は皆思うのだろうか。一緒に走った友達とともに2度目のフルマラソンに応募し、私だけが当選した。タイムは5時間15分。途中で足を攣ったり歩いたりしたことは変わらなかったが、去年の自分に勝ったことに少しだけ達成感を感じた。
「3度目の正直」という言葉があるが、なぜ3度目なのだろう。そんな話は置いておいて、その言葉の通りになった。4時間30分。ついに目標にしていた4時間台に乗り、嬉しさがこみ上げた。1度も立ち止まらず、1度も歩かなかった。こんな風に結果が出るなら、もっと高みを目指してしまう。
今回のこのような結果には思い当たることがあった。それは水泳だ。走ることを増やしたり見直したりしたのではなく、練習に泳ぐことを追加したのだ。もともと興味はあったものの、なかなか一歩を踏み出せずに視野に入れていなかった水泳に、勇気を出して手を出した。その選択が正解だった。なかなか落ちなかった体重が減り、体も面白いように絞れた。こんなことならもっと早く水泳を始めていればよかった。水泳の効果など調べずに始めたのだが、調べてみると想像以上に体に良い影響を与えることを知った。(参考:水泳で得られる効果とは?おすすめの種目や効果を高めるコツを紹介)
最初はクロールや平泳ぎを何も考えずにただ泳ぐだけで、泳いでは休憩することを繰り返して1時間程度。土日のみの練習だったが、そこから水泳の奥深さにハマってしまった。私の良い癖か悪い癖かはわからないが、何かにとりつかれたようにほぼ毎日水泳に通うようになった。そこまでなると顔見知りも増え、泳ぎを教えてくれる人もいた。泳ぐことももちろん、走ることへの良い影響を与えていたと思うが、足の筋力をつけることに一役買ったのは「バタ足」だ。親切なおじさんから教えてもらったのだが、バタ足は「背筋群、大臀筋、ハムストリングスを集中的に強化するため、脂肪燃焼率が上がり痩せやすい体になるし、長く走るときに大切な筋肉を鍛えることができる。そしてこの練習が一番きつい。」のだそう。そんなことを聞いてしまったらやらない選択肢なんてない。私は日々の水泳の練習にバタ足を追加し、騙されたと思って言われた通りにやってみた。バタ足の練習法は様々あるので一概には言えないが、私が教えてもらったのは以下の通りだ。
水を蹴るのではなく押す
押すとき以外は足の力を抜く
きつくなると足が下がってくるので下腹に力を入れる
体は水面に対して平行に
足首の関節はなくなったと思って、曲げるのは膝の関節だけ
聞き逃しがあるかもしれないが、ざっとこんな感じだった。私はこの練習法のお陰で最高のコンディションでマラソンを完走することができた。
今までは、弱い箇所を鍛えようという考えから、その部分にしか着目していなかった。しかし、弱い箇所を補助する部分を鍛えると、かかる負荷が分散されることを知り、自分の体で鍛える必要がある部分がやっと見えてきた。4回目のフルマラソンは、当日に生理が始まるという最悪のコンディションだったため、思うような結果は出ず、悔しい思いをした。しかし、今年は昨年のリベンジを果たすべく、自己ベストを目指して練習を続けていきたい。
私のこの経験が、どこかの誰かの役に立てば嬉しい。
お願いだから今年もどうか当選させてください。。。。!