差戻し審【廃棄物処理法違反】ドラム缶で燃やしたものは? 燃やした理由は?
事件の概要
罪 名 廃棄物処理法違反(廃掃法)
被告人 70代男性
冬の朝、男性は自宅から軽ワゴンに乗り、仕事用の2tトラックを置いていた駐車場に行った。待ち時間があったが、ガソリンが少なかったためエアコンをつけられず、自分の軽に積んでいたゴミ袋の中の紙類を、2tトラックの荷室に置いたドラム缶の中で燃やして暖をとった。
このとき燃やしたゴミがプラスチックゴミだったとして、男性は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律違反」で起訴された。
男性は起訴内容を認めておらず、「チラシや新聞しか燃やしてない」などと話した。
一審の内容
2年近く前、この事件の一審を傍聴していた。
被告人質問で、男が警察官の取り調べを威圧的と感じたことを繰り返し話していたのが印象的で、気になっていた裁判だ。
当時の傍聴メモには「こわいなと」「恐怖」「恫喝」「すごみきかせて」「どぎつい声」「正直に本当のこと言わないともっとひどい目にあうぞ」「(供述調書の違うところ)直そうと思っても反省してないのか!と言われそれ以降なにも言えなくなった」とある。
被告人が怯えていたことは間違いない。
この取り調べをした2人の警察官のうち若い警察官の証人尋問も傍聴した。当時のメモを確認すると、取り調べは主に証人が担当し、上司であるもう一人の警察官が取り調べ室を出たり入ったりしていた。
「男はずっと、『(燃やしたのは)暖を取るため』と言っていたが、自分が5〜6分離席した後、『ゴミを処分するために燃やした』と証言が変わっていた。上司が説得したんだと思う」と証言している。
被告人が怖がっていたのが、この上司だ。
この警察官の証人尋問や、判決を傍聴できなかったのが悔やまれる。
結局、証拠とされたゴミの内容や量は、自白に頼ったものだったとして、一審は無罪になっていた。
控訴審の判決
報道によると控訴審の判決では、《「廃棄物や焼却行為の存在といった客観的事実は裏付けがある」と述べ、自白の補強証拠がないとした一審判決の訴訟手続きに問題があった》として審理不尽で差し戻しとなった。
研究者の解説を見つけた。
https://www.lawlibrary.jp/pdf/z18817009-00-081692457_tkc.pdf
差し戻し審(途中)
第1回公判では、令和3年度の捜査報告書を後日調査し、令和5年4月27日に調査結果をまとめたという警察官が検察側証人として出廷した。
その証言で、この裁判の事件があったとされる令和3年度に、事件の起きた場所において該当する記録(放火、不審火、弄火など、火にまつわる事件)がないことがわかった。
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