![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/111217591/rectangle_large_type_2_73a404712cea6acdafb117d6f0232417.jpg?width=1200)
NTTが「哲学研究所」を設立:AIとの関連は?
NTTが哲学研究所を設立したようです。数学の研究所の設立の前例はありますが、哲学の研究所となると少々意外です。日経の見出しには「AI時代の思想構築」と書かれています。
AI×哲学の研究所?
日経の見出しに「AI時代の思想構築」とあることからAIに特化したものかと思いきや、そこまでAIが強調されているわけではありません。島田社長のコメントに「AIをはじめとする新技術が社会に与える影響はますます大きくなっています。」と述べられているのみです。
ちなみに公式サイトでは現時点ではAIについての言及は見つけられませんでした。
とはいえ、AIの影響は確実に今後も大きくなっていくと思われ、このため少なくない哲学の研究者がAIを社会や人間性について考察する中で必要な視点として取り扱わざるを得ない時代が来るかと私は予想しています。
また、現代社会でますます重要性が増しているAIをどのように哲学の文脈に位置づけるのかも興味深いです。哲学の歴史を踏まえた上でのAIについての考察は、時間の経過と共に深まっていくことでしょう。
京都哲学研究所とは?
では一体どういう目的で作られたのでしょうか?NTTの発表では以下の通りでした。
目的: 「パラコンシステント・ワールド」の構築
聞いたことのない用語ですが、「パラコンシステント・ワールド」の構築を目指すことが目的ということです。下記の方でどういう意味なのか簡単に調べてみました。
・「西洋的価値観と日本・東アジアの価値観が矛盾許容的に共存する価値多層社会、パラコンシステント・ワールドの実現を目指す」
・国内外の企業の中長期的活動指針となりうる世界価値基準を提案する
活動内容
ふつうに論文や本を出して会議をするといったところでしょうか。京都会議は国際会議で、おそらく規模も大きく特にこの研究所の活動の目玉としているようです。
●研究プロジェクト:世界価値戦略のための言説空間の構築
・国内外の研究者が参画する哲学研究プロジェクトを一定期間実施し、多言語の学術書・学術論文・一般入門書・メディアコンテンツ等からなる言説空間を創出することで、「京都会議」を中心とした世界価値戦略に対する座標軸を与える。
●セクター横断的な共同事業および社会発信による哲学の社会実装
・人文系研究者と産官学民人材、科学技術者、アーチスト・デザイナーとの対話・共同研究・共同事業を実施し、その内容をマルチメディアコンテンツ化し価値観の社会実装を図る。
●京都会議開催
・世界を代表する人材が一堂に会し、世界経済や環境問題などについて討議する「京都会議」を定期的に開催することで、新たな世界価値基準の戦略的展開を行う。
パラコンシステント・ワールドとは?
このワードがポイントになっていますが、これはNTTのIOWN構想で目指す世界観のことであるようです。また、詳しい内容はNTTの社長の本に書かれているようです。
大雑把にいうと、要はIWON構想で多様性のあるデータが取得可能になるので、その中で生じる矛盾を受け止められる世界を作っていこう、ということだと思われます。
本書『パラコンシステント ・ワールド』は、次世代通信基盤IOWNを通じて、私たちが、どのような未来を願い、持続可能な社会を実現したいと考えるのか、その「ビジョン」と「パーパス」を伝える一冊です。
柱となるのは「パラコンシステント(同時並列)」、矛盾を受けとめることで多様性を育む考え方です。「自然と人間」「グローバルとローカル」「サイバーとフィジカル」「利己と利他」といった2つの価値を同時に両立できない「トレードオフ」の考え方から、複雑なものを複雑なまま受けとめる「パラコンシステント」へ。2つの価値のあいだの矛盾を包摂し、新たな価値を共創するコミュニケーション・インフラとしてのIOWNの基本的な考え方・理念を示します。
パラコンシステントとは哲学で使われ、矛盾を許容するという意味だという。「個を重んじつつ、社会を維持していくためのガバナンス」の仕組みを実現する、といったように対立しがちな2点を両立させる姿勢を澤田はパラコンシステントと呼ぶ。 つまり個と社会、自然界と技術文明、グローバルとローカル、デジタルとアナログ、これらを対立させず、矛盾したまま許容できるのがパラコンシステントな世界となる。
IOWN構想とは?
これはリアルタイムの高速大容量通信によって、多様性のあるデータの取得や共有をする構想ですね。
IOWN構想によって、さまざまな価値観を包含した多くの情報をリアルタイムに、かつ公平に分け隔てなく流通・処理させると、他者の視点や体験の共有が容易となります。それにより、他者の理解と共感にもとづく社会行動を促すことができれば、人と人、人と社会の「つながり」の質を高め、その結果、個々人の価値観をアップデートできるのではないかと考えています。
IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)構想とは、あらゆる情報を基に個と全体との最適化を図り、多様性を受容できる豊かな社会を創るため、光を中心とした革新的技術を活用し、これまでのインフラの限界を超えた高速大容量通信ならびに膨大な計算リソース等を提供可能な、端末を含むネットワーク・情報処理基盤の構想です。
おわりに
哲学とAIの関係については注目しているので、何かおもしろそうなニュースを見つけたらまたお伝えします。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!もし気に入っていただけたら、ぜひスキとフォローをお願いします。みなさまからの反応は、わたしが質の高い記事を書き続けるためのモチベーションにつながります。
この記事を読んだ方が興味を持ちそうな記事
いいなと思ったら応援しよう!
![Martin](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/104435594/profile_032ac612cca265fc88a6546aa28fd9e2.jpg?width=600&crop=1:1,smart)