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責任の取り方

わたしは小学生バレーボールの監督をしています。


先日行われた5年生以下の試合に、
久々に参加しているチーム(以下「S」)がいました。
チームのメンバーは増えていて、
全体的に学年が小さい子が多いようでした。


審判をする際、
事前情報として、
試合間の練習を観察することがあります。
(試合相手としての観察もしますが)
サーブを打つときラインを踏みやすい子がいないか、
セッターはホールディングしがちかどうか。
ホールディングの判定に関しては、
正直自信がないのが実情で。
これは持ったのか?
持ってないのか?
わからない。
プロの試合など観てると、
止まって見えるので本当にわからない。
そしてこの判定は、
審判員の差が出やすい。
残念ながら平等な判定にはならない。
あの審判はスルーしがちだけど、
この審判はめちゃくちゃ厳しい、とか。
プロの世界ならモニターチェックやらあるけど、
なにせ人の眼ですから。
申し訳ないけど難しいです。
それでも迷っていても仕方ないので、
心を無にして、
自分の中の基準だけは決めて判断します。
自分がこのチームと対戦していたら、
今のは笛吹かないと悔しいよなって思うもの。
小学生相手なんですけどね、
戦ってる方は真剣なわけですから、
ミスはミスとしてしっかり指摘してあげる。
そうする方が、
子どもたちも加減が分かってくる。
だから、
見過ごさない方がいいんです。



Sチームのセッターは、
ホールディングしがちな子でした。
とても。
あ、これはやばいなって思いました。
この試合中、
何回吹くことになるだろう。
ホールディングで笛を吹かれる子の気持ちって、
繰り返すほど沈んでしまう。
だって自分の失点ですから。
例えばそのホールディングしたトスでアタックを打って決まったとしても、
自分たちの失点になる。
セッターは大抵凹む。
周りもドンマイって言いづらい。
観ている側も辛い。
セッターはアンダーハンドを使い出す。
やらなきゃ上手くならないのに、
勝ちを目指すと、
失敗を避けたがる。
誰だって失敗したくないですからね。


Sチームのセッターは、
やはりホールディングを多数回とられました。
指導者がそのように教えたのだと思います。
うちもそうなので。
でも多分、
試合ではホールディングをとられる可能性が高いことを教えていなかった。
だから、
笛が吹かれても、
なんで鳴ったのか理解していなかった。
何度か吹かれた時も指導者は、
「大丈夫、大丈夫。キレイに上がってるよ」
と声を掛けていた。
それでも失点は失点。
アンダーハンドに逃げ出す。
そんな時に指導者はこう言った。

「(ホールディング)とられてもいいから、
 オーバーハンドしっかり使いなさい。
 大丈夫。わたしが責任取るから。」


ちょっと考えた。
この場合の責任の取り方ってなんだろうか。



恐らくではあるが、
チーム内で責めを負わないように、
そういう意味で言ったのだと思った。
始めて日が浅く、
まだ数年鍛える時間はあるから、
今はたくさん失敗していいんだよ。
実際わたしも自チームに言った。
5年生以下に対して、
今日の試合で勝ちにこだわるなと。
知るべきなのは今の立ち位置がどこなのかということだと思っているので。
例年5年生以下の試合は、
相手のミスによる得点が結果につながる。
勝った負けたにこだわるには、
実力で勝ち取ってない試合にあまり意味はない。
何ができて、
何ができないのか。
それを知るためのバロメーターにするといい。


ちょっと脱線。
責任の取り方の話。
「責任取るから」
すごく格好良い言葉のようだ。
今は笛吹かれるかもしれないけれど、
続けていればキレイなトスを上げられるようにしてあげるからね。
そういう責任なのか。
だとすると指導力の自信からくる言葉なのだろうか。
そうだとしたら、
わたしとは次元が違うなぁ。


Sチームは全国大会に行くほどの強豪チームで。
でも一時期影を潜めていた。
ウワサには聞いていたけど、
他チームに人が流れたとか。
あらたにメンバーが集まって再始動したばかり。
どこを目指すチームなのかはわからないけど、
どうチームが成長するのか興味はある。
強いチームは、
毎年子どもはかわるのに、
ちゃんと強くなる。
同じ小学生なのに何が違うのか。
それは指導力の違いでしかない。


勝利至上主義ではない。
でも指導力が足りないことを無視してはいけない。
うちのチームが弱い理由は、
わたしの責任なのだろう。
責任を取れるように覚悟を決めなければ…


最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。

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