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海外から見た日本の夏の「もったいない」
私の仕事はいろいろな国の人に日本語を教えること。
国によって取り組み方や求めるものも微妙にちがうところはあるものの、外国語としての日本語に挑戦するいちばんの目標は「話せるようになること」だ。
現に彼らは本当によく話す。全くの初心者だろうが中上級者であろうが、基本的に「とにかく話そう」とする。つまり「話したいこと」がたくさんあるのだ。
話題は多岐にわたるが、初めての日本での生活で溜まったストレスだったり、職場の人間関係だったり。そこは同じ人間なので文化の違いはあまり感じない。だが「日本に関する疑問」もよく登場する話題の一つだ。これは目から鱗!と思うことや、意外な視点で面白いものも多い。
私はマーケティングやビジネスのことは門外漢だが、日本に住んでいる世界各国の人の意見や視点を吸い上げる方法が何かあれば、日本の観光ビジネスは日本人が思いつきもしない日本の魅力にもっと気づくのではないかともよく思う。生徒さんに私のやっているラジオやこのnoteでぜひ私たちの意見を伝えてほしいとよく言われるので、この切り口での記事をシリーズ化してみることにした。
今、季節は夏なので、夏といえばこの話題というものをご紹介してみたい。
日本人からしてみるとあまりにも当たり前すぎて、考えてみたこともないことも多い。そうなっているのには諸事情あるのだとは思うが、その点はおいておいて、日本を外から見るとこんなふうに見えていると楽しんでいただけると嬉しい。
まず、日本のプールの営業期間について。
私は自分が泳がないので日本のプール事情は詳しくないが、よく言われるのはこう言う意見。「日本の屋外プールの営業期間は短すぎる!」7月の終わりから8月末か9月の上旬までだろうか。一昔前の日本は今ほど夏が長くなかったからだろうか。子供の夏休み期間に合わせているのだろうか。でも、今は確かに7月にはかなり暑いし9月いっぱいも十分暑い。せっかくのプールが1年のうちで2ヶ月にも満たない程度しか使われないのはもったいない、せめて3ヶ月ぐらい使ったらどうかという意見だ。私はそんな疑問を持ったこともなかったが、言われてみると確かにもったいない(笑)
次に、海辺のインフラについて。
先日たまたまニュースで海水浴人口が激減しているというのを見た。
80年代か90年代に比べると9割減だそうだ。そういう状況ではますます難しそうだが、よく言われるのはこういうことだ。「日本のビーチには何もない!」
日本には信じられないぐらいきれいなビーチがあるのに、何もないと言われる。
何もないって、何がほしいの?と聞くと、デッキチェアやパラソル、海辺を楽しめる道具全般だそうだ。富士山が見えるきれいなビーチがあれば、そこにローソンを10軒ぐらい誘致し、どのローソンにも巨大駐車場と写真撮影場所を準備し、そこからビーチへの導線も作る。そして、デッキチェアとビーチパラソルのレンタルが気軽にできるビーチを開発しておけば、日本人の心が離れてしまった「海水浴文化」に再び火をつけることができるのではないかと思ったりもする(笑)
最後に湖のインフラについて。
私は犬連れ車旅をよくするのだが、湖にもときどき立ち寄る。私の知る限り、日本の湖によくあるものは、カヤック、カヌー、ボートなどだろうか。湖に関してよく言われることは「どうして日本の湖で日本人は泳がないのか?」だ。確かに私自身、子供時代まで振り返ってみても湖で泳いだ記憶はない。きっと日本のどこかには湖で泳ぐ地域もきっとあるにはあるだろうと思うが、確かに一般的ではない印象だ。生徒さんは、日本にいる間、よく日本中を旅行する。そしてある湖に行ったときに、「どこで泳げますか?」と近くのお土産屋さんで聞くと「泳ぐ??ダメ!!あぶない!!」と言われ、ショックを受けたと言っていた(笑)お国の湖のインフラを写真で見せてもらったが、木製の桟橋のようなものがあり、そこから飛び込んで人々は水泳を楽しんでいる様子だった。そう考えてみると水深さえそこまで深くなければ、海より川より湖は泳ぐ場所としては安全かもしれない。お土産屋さんに湖で泳ぐと言う発想に驚かれて、それに驚いた私の生徒さんに「もしかして日本人は河童を怖がっているのですか?」と真剣な顔で聞かれてしまった(笑)
インバウンド需要のマーケティングはどのようにされているのかわからないが日本に住んでいる海外の人の視点や意見を拾っていくと日本は観光立国としてもっともっと輝ける気がしている。