テレビドラマ初回のみ“ふんわり”レビュー<2023年10月期>
※最終週は『今日からヒットマン』『こういうのがいい』『泥濘の食卓』と深夜帯をいくつか追加。
最後に簡単な総評でフィニッシュ!
今年もご覧いただきありがとうございました!
7月期の夏ドラマは序盤は面白いのに終盤につれて失速していくドラマがとても多かった…
<7月期テレビドラマ初回レビュー>
ちなみに全作品を最後まで観たわけではないのですが全話観た中での2023夏ドラマ私的ランキングは
【1】 VIVANT
【2】僕たちの校内放送
【3】何曜日に生まれたの
【4】彼女たちの犯罪
【5】週末旅の極意〜夫婦ってそんな簡単じゃないもの〜
1話目は「ん?」と思った記憶があるのですが、なんだかんだでVIVANTが面白かったなと。
ということで今クールもゆるーく個人的視点で1話だけをレビュー。
軽い気持ちお付き合いいただければ。
星の評価は
<★★★>次回楽しみ!
<★★☆>次回も観る!
<★☆☆>次回もまー観るかも!
<☆☆☆>次回以降観ない!
くらいの感じです。
ほぼ直接的なネタバレはないと思うのですが、
未見の方は念の為お気をつけください!
※ちなみにTVerで観ているのでTVerにはないNHKやWOWOWプライム等のドラマは除外してます。
リンク先のTVer等は期限切れで見れなくなっている可能性もありますのでご了承ください。
※旧ジャニーズ事務所の方で一部リンク先が更新されてないなどの場合はリンクしておりません。
【月曜日】
[プライム帯]
<★☆☆>『トクメイ! 警視庁特別会計係』
『しもべえ』の荒木哉仁がメイン脚本、『ドクターホワイト』の城宝秀則がメイン演出を務めるオリジナルの警察エンターテインメント。
カンテレ制作月10枠はオリジナルだと面白いけど、原作モノだとイマイチという法則があったが今回はオリジナルだけど…
おそらく日本で一番多く作られているであろう警察モノドラマ。
最近はただ刑事の物語を作ってもの差別化が難しいので、警察の中でもニッチな所をつくドラマが多い。
と言うことで今作は警察モノの中でも会計課に焦点を当てたお話。
要約すると「経費を削減したい会計課」と「捜査にかかる経費を削減されたくない刑事」と構図は簡単。
捜査のこんな所に実はこんなにお金がかかっているのです!という視点も面白い。
ただこれをやるなら軽犯罪を扱った方が向いてると思う。
殺人事件が起これば舞台となっている所轄だけでは捜査できないし、そうすると経費のあり方も変わってくる。
また基本コメディとして作ってるので殺人という内容とも相性が悪い。
そして問題はこのコメディ部分が絶妙に笑えないこと。
逆にここが面白い人には良いかも。
あと警察モノだけどミステリー/サスペンスとしてはほぼ機能していないので、そちら目的の人はダメ。
一番の問題は要素が3つくらいぎゅうぎゅうに詰まっていて煩雑すぎる点。
捜査費用の削減なのか?主人公のバックグラウンドなどの人生なのか?内部情報を漏らす謎の存在を追うことなのか?
橋本環奈の愛くるしさだけが唯一の救い。
<★☆☆>『ONE DAY~聖夜のから騒ぎ~』
『コンフィデンスマンJP』シリーズの成河広明が企画、『ルパンの娘』シリーズの徳永友一が脚本、『元彼の遺言状』の鈴木雅之がメイン演出を務めるオリジナルの謎と愛と奇跡の物語。
前クールの覇権ドラマ『VIVANT 』がTBSの重鎮・福澤克雄なら今クールの月9はフジテレビの重鎮・鈴木雅之参上です。
クリスマスの1日に起きる出来事をキャスター・逃亡者・シェフ3人の視点で描いていて、3つの視点は頻繁に入れ替わる。さらに警察側の視点(江口洋介/松本若菜)や謎の男の視点(佐藤浩市)も加わる。
という事でとにかくテンポが速い。
テンポが速いのは現代的な風潮で悪くはないけど、小粒感はどうしても出てしまう。
さらにテンポは速いくせに放送時間は延長していたりあべこべな印象。
音楽も煽るような過剰な音が全編通して続いていく。(音楽は映画音楽を担当することが多い佐藤直紀なので仕方ないか…)
ただ初回は0:00-7:19まで7時間分を消化しないといけないという事情があったからなのかもしれない。
途中でワープしたのかと思うようなシーンも散見され、この1日=24時間を描くという縛りを自ら貸したことがこの後どう響くのか…
そして1番の問題がシェフパートでなぜかこのパートだけ異常にふざけすぎてるし、リアリティもないし、ずっと同じ話を繰り返している。
しかもメインストーリーとほぼ関係ない話がほとんどを占めるので現状では浮きまくっていて必要なのか疑問。
何よりこのシェフパートがコメディ部分を担っているのだが、このコメディで微塵も笑えない。これは致命的。
脚本家に三谷幸喜とか古沢良太とか引ければ…
めちゃくちゃオシャレなエンディングもなんか違うなーという感じがして、全体を通してチグハグ。
考察系としては初回から登場人物がこれでもかと出てくるのはテンション上がるけど。
2時間で映画にすれば良かったのにね。
[深夜帯]
<★☆☆>『けむたい姉とずるい妹』
ばったんによる同名コミックスが原作、『ラブコメの掟~こじらせ女子と年下男子~』の大林利江子がメイン脚本、『隣の男はよく食べる』の井樫彩がメイン演出を務める恋愛劇。
基本的には姉妹喧嘩のお話なんだけで根本的には人間関係のお話。
主人公で姉の栗山千明がやたら勝ち負けにこだわっていて、家族でも恋人でも友達でも人間が会する問題って勝ち負けじゃないのではと思うので根本的な主人公の気持ちに全く同調できない。
大人になって人間的に合わない人がいたら家族でも最低限必要なこと以外は関わらないのが一番!以上!で解決してしまう気がする。
それなのにこの主人公は自分から関わりにいってるので感情がよく分からない…
そもそもカウンセラーなのにクライアントの言葉にいちいち心揺さぶられまくっていて、それじゃ仕事にならないのでは…
唯一の救いはキャスティングが良くて栗山千明のタバコを吸う姿はやたらかっこいいし、馬場ふみかのわがままな感じも栁俊太郎の主体性のなさそうな雰囲気も良い感じ。
あと長い。内容的にも30分くらいでサクッと見るタイプの物語だと思う。
【火曜日】
[プライム帯]
<☆☆☆>『マイ・セカンド・アオハル』
『自転車屋さんの高橋くん』の北川亜矢子が脚本、『ユニコーンに乗って』の青山貴洋がメイン演出を務めるオリジナルラブコメ。
ラブストーリー枠であるTBS火ドラ。
今クールのプライム帯で数少ないラブストーリーモノ。
まず長い。
このドラマに限ったことではないのだけど、初回通常枠より延長して放送するドラマがたくさんあるが時間を無駄にしている作品が多すぎる。
今作も大学に入るまでの導入部分があまりにも冗長すぎる。
さらにけっこう物語に関わる部分でのジャンケンしての「グリコ」はさすがにない。
熟年モノの大人の恋の物語ならまだしも、令和の大学生のラブストーリーではあり得ない。あそこは一気に冷めた…
根本の問題はコメディ的な要素とヒューマンドラマ的な要素が喧嘩しすぎていて、まとまりがないこと。
どちらをメインで描きたいのかが1話ではあまり伝わらなかった。
高校を卒業して東京へ飛び出した自分を再び迎えてくれる家族の描き方とか、大学へ行くきっかけになるシーンとか違和感のある描写多数。
終盤のシェアハウスパートは悪くなかっただけにもったいない。
オリジナルならもう少し頑張れたのでは?
<★☆☆>『家政夫のミタゾノ (2023)』
続編モノなので基本的には前のシーズンから観ていないと厳しい。
今回から初のプライム帯に進出!
なぜか今シーズンは家政婦から引っ越し屋に変身。
相変わらず披露され続ける豆知識。
松岡昌宏とゆってぃの同級生ネタなどなど繰り広げられるコメディ展開。
初回は地方に移住するのがそれだけ大変なのかというお話。
コメディとはいえこんな無茶苦茶してたら地方の人から怒られるぞ。
新キャストの桜田ひよりはまぁまぁまぁ…
ゲストの松本まりかのラストのピー音入りまくりのブチギレ演技は見ものでした!
このシリーズは良くも悪くもわかりやすい物語展開と勧善懲悪な所なので、まー好きな人は引き続きって感じでしょうか。
[深夜帯]
<★★☆>『マイホームヒーロー』
山川直輝&朝基まさしによる同名コミックスが原作、『4分間のマリーゴールド』の櫻井剛が脚本、今クール同じ火曜に放送している『マイ・セカンド・アオハル』の青山貴洋がメイン演出を務めるクライムサスペンス。
原作モノとオリジナルの違いはあれ、同じ人物がメイン演出を務めながらこんなにも出来が違うのか…
今作はそもそも原作が面白いでの比べるのも可哀想かもしれないが。
推理小説好きだがごく普通のサラリーマンがひょんなことから犯罪に巻き込まれていくという役を佐々木蔵之介が完璧に演じている。
そしてこちらも重要な妻役の木村多江も素晴らしい。
この2人をキャスティングできた時点でほぼ成功。
その他のアイドルキャスティングは若干不安ではあるが、今後に期待。
齋藤飛鳥は『いちばんすきな花』とのダブルヘッダー。
テンポが早く飽きさせずにどんどん進んでいくストーリー展開に30分はあっという間。
しかしこれ問題は既に映画化が決定していて、ドラマでは完結しないことが予告されていること。(おそらく原作の1部がドラマで2部を映画でやると思われる。)
そもそも原作自体も完結していないのだけど…
是非とも3部もしっかりやって欲しいです。
<★★★>『時をかけるな、恋人たち』
劇団ヨーロッパ企画の上田誠が脚本、『忘却のサチコ』の山岸聖太がメイン演出を務めるオリジナル禁断の恋の物語。
タイムトラベルの名手・上田誠による初めての連ドラでのタイムトラベルモノ!
違法にタイムトラベルしてくる未来人たちと取り締まるタイムパトロール、そしてそれに巻き込まれる現代人の物語。
基本はラブコメ。
ヨーロッパ企画の舞台を観ているかのような吉岡里帆と永山瑛太を初めてする小気味よい掛け合い。
もうこれがテレビドラマで観れるだけで嬉しい!
あとは宇宙船内部とか細かいガジェットなどもレトロな風合いでこれもまた良い。
そして初回は吉澤嘉代子が路上ミュージシャン役で出ていてけど歌が良すぎる。さらにOPのPeople1とEDのChilli Beans.の曲も最高でした!
縦軸になるであろう失われた記憶の物語も気になるし、1話30分で気軽に観られるのも物語に合っている。
期待通りの穴の全くないドラマでした。
オススメです!
<☆☆☆>『くすぶり女とすん止め女』
ふちいく子の『くすぶり女のシンデレラストーリー』が原案、『完全に詰んだイチ子はもうカリスマになるしかないの』のMEGUMIが企画・プロデュース、太田勇がメイン演出、『サブスク彼女』の川原杏奈がメイン脚本を務めるシスターフッドドラマ。
MEGUMIプロデュース女性応援ドラマ企画第2弾。
あんまりフィクションの世界で言いたくないのだけど、あまりにもリアリティが無さすぎて流石に…
いやこんな夫は実際にいるのかもしれないが、おそらくは様々な世の中の夫の悪い部分を全て集約させたみたいなキャラクターでここまでやるかという。
コメディだとしてもあまり笑えない…
わざわざセリフをテロップにしている演出も過剰に思えるし、地方の実家の描き方も極端すぎる。
主人公の西田尚美が一度実家に避難したのに(そこであまりうまくいかなかったとはいえ)なぜすぐに夫の元に戻ったのかも意味不明。
有害な男性性を描くにしてももう少し適切なやり方があったような気がする。
期せずしてMEGUMIのプライベートの方が話題になってしまったような…
第1弾の「完全に詰んだイチ子はもうカリスマになるしかないの」はかなり面白くて、今回も期待していただけに残念。
【水曜日】
[プライム帯]
<★★★>『コタツがない家』
『俺の話は長い』のコンビである金子茂樹が脚本、中島悟がメイン演出を務めるオリジナルのネオ・ホームコメディ。
ホームコメディの名手である金子茂樹が久しぶりにホームコメディを作るということで期待値が高かったが、軽々超えてきた!
主演は『俺の話は長い』でも一緒だった小池栄子で、彼女を取り巻く夫・吉岡秀隆、息子・作間龍斗、父・小林薫にとにかく翻弄されまくる。
しかしコメディエンヌとしての小池栄子は本当に素晴らしいなー。
親との同居とか旦那の怪しい行動とか家庭に潜む問題を描くのはもちろん、いつも乗るバスが謎に混んでる時のテンションの下がり方みたいな日常あるあるもクスッと笑える。
また金子茂樹の脚本は基本的にネガティブでマイナスな日常にも、わずかでも光を差し込めばまた生きていけるという人間讃歌的な要素があり、この塩梅が絶妙。
大人のヒューマンドラマ。
2話へのフックもラストでしっかり作っていて、1話を見る限りではほぼパーフェクトな仕上がり。
覇権きましたかね?
<★★☆>『相棒』
続編モノなので基本的には以前のシーズンから観ていないと厳しい。
相棒シリーズも22年目!
亀山薫こと寺脇康文が帰ってきて2シーズン目。
最近は常にシーズン終了の噂がつきまといますが今シーズンも(コア視聴率とかは置いておいて)秋ドラマでは視聴率トップ。
しかしそれでも前シーズンより約5%近く下がっていて、いよいよ本当に終わりの時は近いのか…
ちなみに内容的にはいつものやつです。
冗長にも感じられるけど、ファンはきっとこれが観たいのだろうから特に言うことはございません。
3話では第3の男・陣川くんが登場するとのことでファンサに余念がない。
<★★★>『パリピ孔明』
四葉夕ト&小川亮による同名コミックスが原作、『合理的にあり得ない 〜探偵・上水流涼子の解明〜』の根本ノンジが脚本、『あせとせっけん』の渋江修平が演出を務めるサクセスストーリー。
実写化不可能と思われたパリピ孔明がなんと実写化!
まずキャスティングが神です。
森山未來のオーナー小林、ディーン・フジオカの劉備、菅原小春のミア西表、アヴちゃんのマリア・ディーゼルとほぼ完璧。
だが謎に関口メンディーの前園ケイジだけが全然違う…しかし全然違うのになぜが前園ケイジに見えてくる不思議…原作見てない人は全然違和感ないと思う。
そしてなんといっても孔明の向井理が良い。
元バーテンダーという経歴も併せて佇まいがもう諸葛亮孔明でしかない!(パリピ孔明のという意味で。)
問題は月見英子の上白石萌歌なんだけど、まー英子では無いよね。萌歌ちゃん自体は悪くないんだけど…
ここはこれからの伸び代次第という事で。
あとは「三国志の事知らないからー」という人でも三国志の物語がフリになってしっかり現代の音楽業界に落とし込まれているので、知らない方が逆に面白いかも。
ただ基本コメディなので笑いについていけない人は厳しい。
今後は実際にミュージシャンやダンサーじゃない人たちの歌やダンスのクオリティと実際に役者じゃない人の演技のクオリティをどこまで落とさずに展開できるか?
それ次第では覇権くるかもしれないですよ。
[深夜帯]
<☆☆☆>『推しが上司になりまして』
森永いと&東ゆきによる同名コミックスが原作、『ウソ婚』の蛭田直美がメイン脚本、『結婚できないにはワケがある。』の本田隆一がメイン演出を務めるラブコメ。
役者が本業じゃない人がたくさんいるのに『パリピ孔明』はあんなに面白くて、これがダメな理由はなんなんだろうかと考えてみたり。
おそらく何をメインに持ってきてるかなんだと思うが…
という事で「そんなわけねーだろ」の連続の割にはそこまでぶっ飛んだ世界観でもなく、典型的なコミックス原作をそのまま実写化しちゃいました作品。
ラブストーリー系はこれやると結構クオリティが下がる事が多い。
内容的にも次回も観たいと思わせるような仕掛けもなく。
メインがかなり負担が大きそうな役なのでもう少し演技経験の豊富なキャストなら良かったかな。松岡茉優とかで観たかった。
出演者のファン以外はちょっと厳しいでしょうか…
【木曜日】
[プライム帯]
<★☆☆>『ゆりあ先生の赤い糸』
入江喜和による同名コミックスが原作、『6秒間の軌跡〜花火師・望月星太郎の憂鬱』の橋部敦子が脚本、『夕暮れに、手をつなぐ』の金井紘がメイン演出を務めるある主婦の数奇な人生&家族の物語。
原作は手塚治虫文化賞の最高賞を取った名作。
これ非常に難しくてお話(設定)自体は面白いと思う。
元々、原作者の入江さんが自分が高齢の親を自宅介護していた経験やもしも夫にある日若い愛人が発覚したらどうするかという妄想などを「漫画なんだから全部詰め込んでしまえ」という思いで書いた物語。
なのでめちゃくちゃ突拍子がないし、要素がてんこ盛り。
コミックスやアニメなら全然許容できるけど、これがそのまま実物の人間が動くドラマになるとやはり違和感しかない。
主人公の菅野美穂に全然共感できないんだよなー。
同じ年代の同じ境遇の人ならできるのかなと思っても、おそらくそんな人は存在しない。
逆にエンタメとして楽しむには映像的な動きの面白さも、ミステリーやファンタジーのようなワクワクも、バカ笑いできるコメディも無い。いや元々そういうお話ではないのだが…
やはりコミックス原作を実写化するのはハードルが高い。
あと個人的に橋部敦子脚本が前からあまり私には合わない…
松岡茉優、志田未来、吉瀬美智子、三田佳子などなど脇はとにかく豪華で、主演の菅野美穂も悪くはないのだけど。
同じ家族をテーマにしたお話なら『コタツがない家』の圧勝かな。
<★★★>『いちばんすきな花』
『silent』の村瀬健がプロデュース、生方美久が脚本、髙野舞が演出(『silent』ではサブ演出)を務める友情と愛情の物語。
実はsilentがあまり合わなかったので心配していたけど、これは非常にしっくりきた。
いわゆる世の中の“普通“の生き方ができない4人の物語。
ピンクのマグカップを誰に出すか迷うみたいな細かい描写がたくさんある。
特に世の中で強要される“2人組”への強いアンチテーゼが感じられ、ここは今後のキーワードになってきそう。
クワトロ主演とか主演が4人いることで話題になっていたが、別に仲野太賀も参戦!
そしてわずかな出番で全て持っていく仲野太賀!凄すぎる。
多分ゲスト出演なのだろうけどスピンオフで仲野太賀のその後も観たい。
他にも臼田あさ美とか(たぶんゲスト出演)田辺桃子とか(たぶんゲスト出演)とか齋藤飛鳥とかキャスト豪華。
4人はみんな違う社会とのズレに苦悩しているのだが、今田美桜の「かわいすぎて他人から恋愛体質に見られる」というのが以上にリアルだった。
昨今の美麗な俳優を捕まえて非モテ役をやらせる無茶苦茶なドラマに一石を投じている。素晴らしい。
まーそれ以外の3人も当て書きかと思うくらい設定がしっくりきていて良い。
過剰な演出が目立つ今クールの中で抑揚なく物語が淡々と進んでいく演出も安心感がある。
4人の出会いが奇跡的すぎたけど1度は許します。1度は…
社会の普通とか価値観の押し付けとかラベリングとかそーいうモノとの戦いの物語。
最後までしっかり見届けたいと思います。
覇権きたかもしれないですねー。
[深夜帯]
<★★★>『ポケットに冒険をつめこんで』
テレ東木曜深夜の覇権を握る男・畑中翔太がプロデュース/企画/脚本、原案はもちろんみんな大好き『ポケットモンスター』シリーズのヒューマンドラマ。
今年もアニメ版の主人公が変わったり、ポケモンスリープや名探偵ピカチュウの続編などのリリースもあり、絶好調のポケモンが初のオリジナルドラマ化。
これちなみにドラマの中にピカチュウとかポケモンがCGで出てくる訳ではないのでご注意を。
主人公の西野七瀬が久しぶりに初代ポケモン(赤)をプレイしてそこからヒントをもらい、人生を好転させていく物語です。
なのでゲームボーイ版の初代ポケモンがあの白黒画面でたくさん出てきます。赤・緑・青世代は歓喜!
やはり畑中翔太というクリエイターは天才で、特に何かとドラマを掛け合わせる能力が凄い。
『八月は夜のバッティングセンターで。』では野球(正確には『八月のシンデレラナイン』というゲーム)×ドラマ、『量産型リコ』シリーズではプラモデル×ドラマと最高の掛け合わせを披露してきた。
もうこの要素(今回はポケモン)とドラマのフックになる部分の絡め合わせ方が絶妙なんですよねー。
ポケモンには欠かせない言葉が毎話のタイトルになっていたり、プレゼン相手の社長が敵のトレーナーになったりとファンには嬉しい演出も多数。
ゲームの方は現在まで9作あるのでぜひ息の長いシリーズになって欲しい。
キミにきめた!
<☆☆☆>『帰ってきたらいっぱいして。』
ましい柚茉によるコミックス『帰ってきたらいっぱいして。~アラサー漫画家、年下リーマンに愛でられる~』が原作、『墜落JKと廃人教師』の下亜友美がメイン脚本、劇団拙者ムニエルの澤田育子がメイン演出を務める同棲ラブストーリー。
読売テレビ制作で新たに新設されたドラマDiVE枠。
恋愛経験がないのにTL漫画を書かないといけないことになった女性漫画家と年下イケメンという既視感ありまくりの設定。
この物語自体がTLになっているという構造なんだけど、大仰な演出・リアリティ皆無・コメディが面白くないというコミックス実写化の典型例。
今クール何度目かというファンだけをターゲットにしているアイドルドラマ。
そこになぜか神尾佑が出ていて無駄遣い。演技派過ぎて逆に浮いているという…
TL題材ということで過激な描写が売りみたいだけど、それにしては中途半端。
地上波だから仕方ないけど、それなら配信でやればいいような…
最近深夜で面白い脚本を書いている下亜友美だったので期待していたが、今回は残念。
しかし深夜ドラマは旧ジャニーズの人たち使えなくなったらどーするんだろうね…
<★★☆>『ブラックファミリア~新藤家の復讐~』
読売テレビ製作の『ブラック〜』シリーズ第3弾、前シリーズから引き続き佐藤友治がメイン脚本、『なれの果ての僕ら』の城定秀夫がメイン演出を務める復讐ミステリー。
一応ブラックシリーズとなっているが、特に前作との共通点はないので観てなくても大丈夫。(『◯◯の戦争』シリーズと同じ。)
主演が木村多江(『ブラックリベンジ』)、山口紗弥加(『ブラックスキャンダル』)ときて板谷由夏ですかー。
いやー素晴らしいキャスティング。
板谷由夏でテンション上がってたらいきなり山中崇と筒井真理子登場!濃すぎる。
とりあえず序盤に不穏な要素を散りばめまくっていて良い感じ。
1話は復讐に入るまでの準備と伏線的な要素が強かったのでちょっと判断しづらいけど、とにかく復讐モノはもー無茶苦茶やって欲しい!
あとは謎解きがどーなるか?
ここは若干登場人物が少なすぎるような気がするけど。
もう一つ不安要素は姉役の渡邉理佐の演技が…けっこうメインの感じなので気にはなるかも…
今後に期待!
【金曜日】
[プライム帯]
<★★★>『フェルマーの料理』
小林有吾による同名コミックスが原作、『Dr.チョコレート』の渡辺雄介がメイン脚本、『オールドルーキー』の石井康晴がメイン演出を務める数学×料理の青春ストーリー。
『アオアシ』で有名な小林有吾による原作だけど未読で、タイトルからギャグ漫画なのかなーと少し馬鹿にしていたのだが、ひとつのことに真剣に向き合う人々の熱血ストーリーだった。
序盤20分のイントロ部分で既にめちゃくちゃ面白そうでこれって何かなーって考えてたら、これは王道ジャンプコミックス。
いや実際は月刊少年マガジン連載らしいけど。
ただそのくらいのワクワク感と見ている人をグイグイ引き込む力がある。
良く考えると全然フィクションで漫画的な内容なのに、その中で実在する人々が動いたり話したりしていても違和感がないのはなぜだろう。
料理は科学とは良くいうけど、数学に秀でた人ならこんな料理を作るのかもなーと思えてしまう。
そして数学→料理の相性がやはり良い。
数学ってやはり道(真理)はひとつしかないけど、料理の道というかゴールはひとつじゃないと思うから。
そこら辺の道筋もしっかり計算されていて素晴らしい。
あと毎回あるかわからないけど料理豆知識まで披露されていて、料理をする人には眼福。ナポリタンてそうやると美味しくなるんだなー。
今後も主人公・高橋文哉の前に立ちはだかる小芝風花や板垣李光人などのシェフ6人衆、そして圧倒的ラスボス感漂う仲村トオルまで関わってくる展開でまさに王道少年コミックス!
ワクワクしたい少年漫画好きよ、集えー!
<★☆☆>『ハイエナ』
韓国ドラマ『ハイエナ -弁護士たちの生存ゲーム-』を日本版リメイク、『アンフェア』シリーズの佐藤嗣麻子が脚本、『忍者に結婚は難しい』の土方政人がメイン演出を務めるリーガルエンターテインメント。
テレ東唯一のプライム帯ドラマ枠である金8はドラマ8にリニューアルしてから3作中2作がリーガルモノに。そしてその2作がとても似ている気がする…
そしてアンフェア以来の篠原涼子と佐藤嗣麻子のタッグ。
けっこう期待していたのだが…
とりあえずいきなり登場人物がたくさん出てきすぎ…これ元々のドラマは韓国の通常の枠で70分×16話。
『六本木クラス』の時もそうだったけど、日本の通常枠でリメイクするならかなり短かくしなけばならず工夫が必要。
初回の見せ場である法廷シーンから後半の種明かしシーンは面白いが、とにかく篠原涼子のキャラが邪魔。
オリジナル版のキム・ヘスのキャラに寄せてると思うのだけど、今までの篠原涼子のキャラクターと絶妙にマッチしていなくて違和感しかない。
クセ強すぎて物語が頭に入ってこない。
そこは独自の篠原涼子に合ったキャラクターを作った方が良かったのでは?
もう1人の主演の山﨑育三郎や周囲のキャストも悪くはないけど、特に惹きつけられるような魅力はなし。
Netflixに加入している人は余程の出演者のファンじゃなければ、オリジナルを観れば良いと思う。
<★★☆>『うちの弁護士は手がかかる』
『もしも、イケメンだけの高校があったら』の服部隆がメイン脚本、『unknown』の瑠東東一郎がメイン演出を務めるオリジナル育成型リーガルエンターテインメント。
フジテレビ金曜9時のドラマ枠が54年ぶりに復活。
男女コンビのリーガルドラマといえば『リーガル・ハイ』 『石子と羽男-そんなコトで訴えます?-』と名作が多い中で今作は果たして?
まず平手友梨奈演じる天才弁護士は「相手の気持ちが理解できない」「方向音痴」「偏食(お菓子ばっかり食べている)」と明らかにASDの特徴で描かれている。
女性・ショートカット・天才弁護士・ASDと並べば韓国ドラマ好きはすぐにわかります。そうウ・ヨンウです。
『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』に出てくるウ・ヨンウという主人公とキャラクター造形が酷似。
そしてこの『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』は昨年リリースのドラマで1,2を争うくらい面白い秀逸なドラマだった。
名作が多いリーガルモノでさらにここも超えないといけないとなると至難の業。
そして平手ちゃんの天才具合が初回ではあまり伝わってこなかった。
裏方に徹するはずがいつの間にか前に出てくるムロツヨシ、弁護士事務所の戸田恵子、松尾愉、酒向芳と周りが激強なのは良い。
証言に関する良くある展開からの裏切りは良かったのだけど、最後の解決が少し稚拙でまわりくどかった印象。
白黒はっきりさせるの法律の仕事といつもグレーで仕事をしてきた男というコントラストは良いので今後次第でしょうか。
[深夜帯]
<★☆☆>『今日からヒットマン』
むとうひろしによる同名コミックスが原作、『ドラゴン桜 第2シリーズ』のオークラがメイン脚本、『99.9-刑事専門弁護士-』シリーズの木村ひさしがメイン演出を務めるアクションコメディ。
この原作は過去に映画化や配信ドラマ化され擦られ続けている作品だが、下ネタやコンプラギリギリ(アウト?)の表現も多数あるため地上波に不向き。
オークラ&木村ひさしというコンビでどうなるか期待していたが…
まずやはり過激描写はかなり抑えられていて、物語全体の良さが半減している。
そして基本コメディの話なのにコメディ部分が絶妙に面白くない。
バナナマンや東京03などとコントを多数製作してきたオークラと、『TRICK』シリーズなどで堤幸彦のアシスタントをしていた木村ひさし、そして原作の3者の笑いが混ざり合わずに喧嘩してしまっている。
良い物を集めればいいわけじゃないという典型。
ただ2サス的な要素があり、そういう風に観れば完全に悪いわけでもない。
キャストが主演の相葉雅紀の他に筧利夫、滝藤賢一、本仮屋ユイカ、勝村政信など謎に豪華でこんなメンツで2サス作っている場合でもないと思うけど…
あと全編に渡り主人公の自分語りナレーションが入っていてうるさい。コミックスをそのままドラマにしちゃいましたという感じ。
これも若干そのナレーションがツッコミになっているので絶対必要ないというわけでもないけど、せっかく映像なのでそれをナレーション以外で表現して欲しかった。
今クール「家族のためにやむを得ず殺しをしてしまう普通のサラリーマン」という似た設定のコミックス原作である『マイホームヒーロー』が先に放送(配信)されそちらが良かったので、順番的に損をしている部分も多少あるかも。
まぁでも放送日が最終盤で既に観るものがある程度決まってしまっている人々が多いのでこの内容ではかなり厳しいと思う…
<★★★>『きのう何食べた? season2』
続編モノなので基本的には前のシーズンを観ていないと厳しい。
テレ東お得意のグルメドラマシリーズ。
西島秀俊が売れまくったので続編厳しいかなって思っていたので嬉しい!
2人の家計にも現代の物価高問題が押し寄せる。
しかしスーパー・コンビニあるあるというか、なーんか合わない店員さんているよねー。
ちょっとした問題から始まり→ほっこりエピソード→あるある→美味しそうなご飯と30分の中にぎゅっと旨味を凝縮する展開はまさに完璧。
西島さん&内野聖陽のシロさん&けんじコンビはもはや安定感すらある。
この2人がまた観れる事に感謝!
なるべくお魚食べるようにしよう。
<★☆☆>『秘密を持った少年たち』
ジャパニーズホラーの巨匠・中田秀夫がメイン演出を務めるオリジナルエロティックサスペンス。
ホラーやSF設定で30分だと設定の説明だけでほぼ初回が終わってしまうのが厳しい所…
ホラーなのか?サスペンスなのか?
設定的には『亜人』ぽい感じかなーと思ったけど。
ちなみにエロティック部分はよく分からなかったのでそんなに気にしなくて大丈夫かと。地上波だしね。
主演が最近深夜ドラマに引っ張りだこの大原優乃とオーディション番組『0年0組』出身の龍宮城が全員出演という事で演技面はね…
あとVFXが異常に安かった。
1話だけだと全然話が見えてこず、正直これだけで判断するのはなかなか難しいかな。
ただそんなに次回も観たい!とは思わなかった。
それが答えな気もする…
【土曜日】
[プライム帯]
<★☆☆>『ゼイチョー ~「払えない」にはワケがある~』
慎結によるコミックス『ゼイチョー!〜納税課第三収納係〜』が原作、『オクトー 〜感情捜査官 心野朱梨〜』の三浦駿斗が脚本、『アリバイ崩し承ります』の河合勇人がメイン演出を務めるヒューマンエンターテインメント。
最近1クールに1つはあるニッチ系お仕事モノで徴税吏員というあまり聞き覚えのない仕事のお話。
差し押さえシーンなど前クールの『シッコウ!!~犬と私と執行官~』に酷似。
流石に既に企画はかなり前から決まってた思うので不運。
基本はコメディなんだけど仕事に関する所でもコメディ描写が多くてリアリティがおそらくない。
ニッチ系お仕事モノはみんなが知らない事が多いだけに、コメディにしすぎるとその仕事への誤解を生む可能性があるので注意が必要。
そして「徴税吏員として少し無茶ですけどね」みたいな保険の張り方は冷めるのでやめて欲しい。
説明するときはテロップなりでしっかり説明するなどメリハリが必要。
菊池風磨はいつも通りの軽い男、お仕事モノで大事なチームのメンバーは…まぁまぁ。やたら芸人がたくさん出てくるのは気になるけど。
縦軸になるであろうキーパーソンは本郷奏多、うーん。
そしてW主演の山田杏奈は…もう少し頑張ろう。
全体を通してやりたいことはわかるし絶対ダメでしょうという所はないが、特に次回も観たいなーと思う要素もない。
あと一歩。
[深夜帯]
<☆☆☆>『泥濘の食卓』
伊奈子による同名コミックスが原作、『王様に捧ぐ薬指』の倉光泰子がメイン脚本、『ただ離婚してないだけ』の安里麻里がメイン演出を務めるパラサイト不倫ドラマ。
みんな大好き不倫モノです。
しかも最近の不倫モノといえばの吉沢悠。
演出ホラー作品を多数手掛ける安里麻理と楽しみな要素は多かったのだけど…
とりあえず不倫するスーパーの店長、それにパラサイトしていく主人公、その主人公が好きな店長のストーカー息子、その息子をなんとしても振り向かせたい幼馴染と“登場人物全員やばい”系。
しかも主人公の母・筒井真理子(『ブラックファミリア〜新堂家の復讐〜』とのダブルヘッダー)とか、店長の妻・戸田菜穂とかまだまだ何かありそうな感じが…
さすがにここまで盛られると過剰に感じてしまう。
これ忘れてはいけないのが深夜の30分枠なのでね。要素多過ぎて全部追いきれるのか…
あと今クールたくさんある「コミックスの主人公の感情が自分語りになっている箇所を全てナレーションにする」問題。今作はさらに主人公のナレーションが下手という追加の問題もあり…
登場人物が色々なところで繋がってくるみたいなやりたいことはわかるけど、クオリティとして非常に厳しいですね。
ちなみに幼馴染役が原菜乃華なんだけど、大河に映画に絶好調なのでもう少し役を選んだほうが良いような…(SPドラマ『こむぎの満腹記』は非常に良かった!)
<★☆☆>『単身花日』
いわしげ孝による同名コミックスが原作、『さらば、佳き日』の川﨑いづみが脚本、『リズム』の森脇智延がメイン演出を務める単身赴任ラブサスペンス。
ラブサスペンスとか言いながら意外とコメディ。
というかサスペンス要素がよくわからない。これから誰か死んだりするのか…
なんか方言の使い方(使っている人といない人)とか面白いし、宅地販売というお仕事モノの要素もあったり。
まー初恋の人との再会といえば老けていたりお腹が出ていたりなんて思い出があるのが一般的だけど、久しぶりにあったら重岡大毅と新木優子だからね。
それはもう燃え上がりますよね。(不倫ダメぜったい!)
ただ全編に渡って入る重岡くんの1人語りナレーションが過剰すぎる。
これ演技では伝えらませんと言っているようなもの。
それ以外にもとにかく演出が過剰で内容も不倫モノなので昼ドラ観てる感じ。
田中樹のキャラクターとかあれは何?
それ目的で観たい人には良いかもだけど、普通にドラマ観たい人にとっては少し胃もたれするかなー。
深夜で30分が妥当な気がする。
でも不倫モノは人気がありますからねー。
<★★★>『たそがれ優作』
安倍夜郎による同名コミックスが原作、『スーパーのカゴの中身が気になる私』の和田清人がメイン脚本、『往生際の意味を知れ!』のアベラヒデノブがメイン演出を務めるたそがれストーリー。
こちらBSテレ東の土曜ドラマ9枠。基本的にはテレ東の再放送枠で新作は1年ぶり。
主演・北村有起哉、序盤繰り広げられる演技論…あまりにもニッチ。さすがBSテレ東。
しかし面白い!
間の取り方とかが完全に映画のクオリティ。
そして中盤から実際にあるお店を登場させるテレ東お得意のグルメドラマスタイル。
途中でかかる音楽もとても素敵。
最後に登場するラスボス坂井真紀。
そしてエンドクレジットとともに流れるドレスコーズ。
素晴らしい。
内容的には60分じゃなくて30分で良いだろって思ったけど、それだとあの間の使い方とかはできないだろうからこれで良いのだろうなー。
基本は前クールの『こっち向いてよ向井くん』のように主人公が毎回1人の女性に翻弄されるお話みたいだけど、こちらはコメディではなくしっとりと。
まさに大人のためのドラマ。
<☆☆☆>『猫カレ-少年を飼う-』
青井ぬゐによるコミックス『少年を飼う』が原作、『高嶺のハナさん』シリーズの岡庭ななみがメイン脚本、Paravi『25歳イマドキ独身女がマッチングアプリをやってみた結果日記』の佐伯竜一がメイン演出を務めるホーム・スイート・ヒューマンドラマ。
今作はBSテレ東の真夜中ドラマ枠で、この枠はBSテレ東(春/秋クール)とテレビ大阪(夏/冬クール)交代で製作を担当する枠。
ちなみにテレビ大阪担当回は良作が多い。(『名建築で昼食を』 『京阪沿線物語〜古民家民泊きずな屋へようこそ』など。)
ちなみに今回はBSテレ東製作。つまりはそういう事です。
「コミックス原作とはいえこの時代に人間を“飼う”という表現はどうなのだろう」とかいう話し合いの元でタイトルがマイナーチェンジされた事が容易に想像できる。
バリキャリ女性が年下男子君(血のつながらない甥)と同居するというありがちすぎる設定。
なんか色々な箇所が変でこれはまさに「漫画なら気にならないけどそのまま実写化したらなんか変になっちゃた」の典型例。
現代日本におけるバリキャリ女性の孤独とかかなり重要なトピックスなので、そこら辺をしっかり描いた方が良かったのでは?
そこの描写がかなり雑に感じらえた。
キャストも特に魅力なし。
【日曜日】
[プライム帯]
<☆☆☆>『セクシー田中さん』
芦原妃名子による同名コミックスが原作、『ミステリと言う勿れ』の相沢友子が脚本、『リバーサルオーケストラ』の猪股隆一がメイン演出を務めるラブコメ。
とりあえずスタートからめるるに違和感があり過ぎて、いやそんなOLいねーよと思っていた。
そうしたらもしかしたらこれが後半の布石だったのかもしれない。
ヒラリー・クリントンの演説動画が度々出てくることからもやりたいことは一目瞭然で、女性の社会進出と自己肯定感を上げてなりたい自分になることを応援するフェミニズムドラマ。
そんなOLいないとかうるせーよと。
ただそれにしてはあまりにもそれ以外の部分が稚拙。
HPにある「9笑って1泣ける」も詐欺かと思うくらいコメディ部分は拙いし、モブキャラによる説明セリフはあまりにも蛇足、VFXの演出もとてもプライム帯のドラマとは思えないクオリティ。
もしわざとやっているとしたら、それは上記のメインテーマにそぐわないと思う。
フェミニズムをやるなら本気でやらないと。
昼夜で逆転する主人公の木南晴夏、安定の濃いキャラ安田顕、出てくると常に怪しい毎熊克哉などなどキャスティングは良いだけに残念。
<★☆☆>『たとえあなたを忘れても』
『恋なんて、本気でやってどうするの?』の浅野妙子が脚本、『推しが武道館いってくれたら死ぬ』の大谷健太郎がメイン演出を務めるオリジナルnのヒューマンラブストーリー。
ABCテレビの日10枠もこれで3作目だが岡田惠和、野島伸司、そして今回の浅野妙子と強力な脚本家を迎えてオリジナルを作る枠になりそう。
ということでドラマの出来は脚本家の善し悪しにかなり左右されることになるのではないかと。
今作は無駄な説明セリフやナレーションを廃して、静かに淡々と魅せていく演出はとても良い。
ただ貧困で夢破れたピアノ教室の先生と病気で記憶がなくなる青年という設定はあまりにも日曜の夜には重い。日曜の夜じゃなくても重い…
この枠の過去2作品は重厚なテーマの中にも軽やかさや、くだらなさが混ぜ込まれていたが、今回はそういった要素がなく観ていてとても辛い。
浅野妙子の脚本はそういうイメージだけど。
主演の堀田真由と萩原利久も余計な演出がない分、表情や動作で表現しないといけないはずだがあまり2人から感情が伝わってこない。
あと元テレ東アナウンサーの森香澄が出演しているが、そういうミーハーなキャスティングがこの作風で必要なのかも疑問。下手過ぎて浮きまくっている。
好きな人の記憶がなくなって自分を忘れてしまうという『50回目のファーストキス』的な設定も特に目新しさはない。
3ヶ月耐えられる自信はないので、2時間くらいの映画にして欲しかったなぁという印象。
<★★☆>『下剋上球児』
『最愛』の新井順子(プロデュース)、奥寺佐渡子(脚本)、塚原あゆ子(メイン演出)トリオが日曜劇場初進出となるドリームヒューマンエンターテインメント。
名作を世に送り続けてきたトリオがついに日曜劇場に殴り込み!
まずはこんなに冷めた鈴木亮平見たことない。新境地開拓かと思ったら…
そして前作『VIVANT』では肩透かしな役柄だった小日向文世が大爆発。
こんな濃いキャラの小日向さん久しぶりな気がする。
あと「ファミマとコラボしてんのか」くらいファミマが出てきます。
タイトルの通り野球というか甲子園を目指す球児の話なんだけど、序盤は野球知らなくても平気だなーと思っていたが、やはり試合シーンになると野球を知らないと厳しいかもしれない。
ルールはもちろんだけど、負けてもここで打つことの意味とか…
しかししかしあの『最愛』のチームだからただの野球ドラマで終わるわけがない!はず!
鈴木亮平と松平健の本当の関係とか。
妻役の井川遥の秘密とか。
まだまだ何かあるはずです。
あと3年間を1クールで描くみたいなのでかなり駆け足になる部分はあると思う。
そこらへんも含め最強トリオの采配に期待したいと思います!
[深夜帯]
<★☆☆>『こういうのがいい』
双龍による同名コミックスが原作、『来世ではちゃんとします』シリーズの三木康一郎が脚本/メイン演出を務めるラブコメ。
過激派路線を突っ走るABC日曜深夜枠。
無駄な露出が相変わらず多いです。必要ならいいんですけどね…
そして全体を通してめちゃくちゃクセ強な演出。
謎の昔アニメ風のオープニングから始まり、キャラ造形や30分が2話構成に分けられていたり(ただ内容は続いている…)とにかく中身よりもそっちが気になる30分だった。
個人的には嫌いではなかったけどかなりニッチで、ストライクゾーンが極狭ドラマ。
今クールで一番最後に1話目を観たドラマだったけど、インパクトで言ったら一番だったかも…
でもきっと2話目以降は観ないけど。
<☆☆☆>『18歳、新妻、不倫します。』
わたなべ志穂による同名コミックスが原作、『ばらかもん』の和田清人が脚本、『探偵が早すぎる』シリーズの湯浅弘章がメイン演出を務めるウェディングラブストーリー。
タイトルから不倫モノと思わせておいて最近トレンドの偽装結婚モノ。
メイン2人の関係性が非常にわかりづらく、コメディ要素が少ないので何がしたいのか不明。というかこの手の物語でコメディ要素が少ないってどういう事態?
あまり個人に言うのはアレなんですけど、とにかく矢吹奈子の演技が酷い。ちょっとあまりに酷いから書いちゃいました。
どういうターゲット層で何を見て欲しくてどーいうテーマの物語にしていきたいのかが全く伝わってこない典型的なアイドルドラマ。
まーファンが観れば良いのだろうけど、それにしても前クールの旧ジャニーズ×秋元康プロデュースアイドルでほぼ同じ設定の『ウソ婚』は出来が良くてファンじゃなくても楽しめたからなー。
しかも演出や脚本もそこそこ名のある人が務めているのに。
手抜き感がダダ漏れですよ…
ランキング形式まとめ
<★★★>
『コタツがない家』『フェルマーの料理』『いちばんすきな花』『パリピ孔明』
『ポケットに冒険をつめこんで』『時をかけるな、恋人たち』『きのう何食べた? season2』『たそがれ優作』
<★★☆>
『相棒』『うちの弁護士は手がかかる』『下剋上球児』
『マイホームヒーロー』『ブラックファミリア~新藤家の復讐~』
<★☆☆>
『トクメイ! 警視庁特別会計係』『ゆりあ先生の赤い糸』『ハイエナ』『たとえあなたを忘れても』『ONE DAY~聖夜のから騒ぎ~』『家政夫のミタゾノ (2023)』『ゼイチョー ~「払えない」にはワケがある~』
『今日からヒットマン』『こういうのがいい』『けむたい姉とずるい妹』『単身花日』『秘密を持った少年たち』
<☆☆☆>
『マイ・セカンド・アオハル』『セクシー田中さん』
『泥濘の食卓』『帰ってきたらいっぱいして。』『くすぶり女とすん止め女』『18歳、新妻、不倫します。』『推しが上司になりまして』『猫カレ-少年を飼う-』
ふんわり総評
今期の1話を観ただけの個人的オススメのプライム帯は『コタツがない家』『フェルマーの料理』『いちばんすきな花』『パリピ孔明』の4本、
深夜帯は『ポケットに冒険をつめこんで』『時をかけるな、恋人たち』『たそがれ優作』の3本の計7本でした。(『きのう何食べた? season2』 は続編モノなのでここでは除外。)
『コタツがない家』は名手・金子茂樹による鉄板のホームコメディ。「あるある」という細かい描写から、少し笑って少し泣けてまた明日から頑張ろうと思えるヒューマンドラマの要素も。コメディエンヌとしての位置を確立した小池栄子はもはや安定感。
『フェルマーの料理』は料理×数学というジャンルの掛け合わせを実現した王道少年コミックスを彷彿とさせる青春モノ。タイトルに騙されるなかれ、こんなにワクワク・ドキドキしたドラマの1話は久しぶりな気がする。志尊淳が演じる少年コミックスには絶対出てくる主人公を導く男もハマり役。
『いちばんすきな花』はsilentのスタッフ陣が挑む恋愛とは違う友情の物語。普通であることに違和感を覚え続けてきた人々の物語を豪華な役者陣が絶妙に演じる。仲野太賀の出てきただけでその場の空気を全て支配する感じは圧巻でした。(但し、今後も定期的に出演するかは不明。)
『パリピ孔明』は大人気コミックスを実写化した音楽×三国志のタイムリープエンターテインメント。三国志の兵法(戦術)を駆使して現代の日本お音楽シーンを駆け上がっていく姿は爽快。注目は原作の意志をしっかり汲み取ったキャスティングで特にオーナー小林の森山未來はそのまま。
『ポケットに冒険をつめこんで』は“深夜ドラマの騎手”畑中翔太がテレ東のビッグコンテンツであるポケモンとコラボしたヒューマンドラマ。ポケモンから学んだ術で広告業界の荒波を乗り越えるフレームは見事。ファン必見を小ネタが満載なのもファンは嬉しい。
『時をかけるな、恋人たち』はタイムリープ劇団とも評されるヨーロッパ企画を主催する上田誠による初の連ドラでのタイムリープモノ。タイムリープ×ラブストーリーの毎回素敵な30分の物語を。吉岡里帆と永山瑛太によるヨーロッパ企画顔負けの軽快な掛け合いも素晴らしい。
『たそがれ優作』は久しぶりのBSテレ東オリジナルはテレ東お得意のグルメ系ドラマ。完全に映画のクオリティで作られていて、昨今のタイパに逆行する大人による大人のためのヒューマンドラマ。主演・北村有起哉の激渋な魅力も堪能できます。
4クール連続で三つ星が7作品(続編モノも含めると8本!)と引き続き良作が多い2023秋ドラマ。
問題はどんどんドラマ枠・ドラマ本数が増えていること。
それにより面白い作品とつまらない作品の二極化が進んでいる印象。
オリジナルももちろんあるがやはりコミックス原作が多くて、その場合コミックスをそのまま実写にして違和感を覚えるドラマが増殖。ただ『フェルマーの料理』や『パリピ孔明』のように面白くしようと頑張っている作品もあるので一概には言えませんが。
特にこの傾向が強いのが深夜帯で、とにかくアイドル出しておけばいいだろ的で内容が無い作品がほとんど。
本当に旧ジャニーズが使えなくなったらどうするのだろう…
あと局別でいうとフジテレビのドラマに面白い作品が集中している兆しが。
ドラマのフジテレビ復活の狼煙となるか?
2023年はこれにてテレビ連ドラは終了!
上記の理由から自分がターゲットではないことは明らかなので次回はやるとしても深夜ドラマは除外(もしくは面白かったもののみ紹介)という形に変更するかもしれません。時間もかかるし…
あと別件で配信系の1話のみ感想もやって欲しいという声をいただいているのでやるかもです。時間があれば。
全ては時間次第!
テレビドラマにコロサレル!