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テレビドラマ初回のみ“ふんわり”レビュー<2023年7月期>

※最終週は『何曜日に生まれたの』『僕たちの校内放送』『ハレーションラブ』『結婚予定日』を追加。
そして簡単な総評でフィニッシュ。
ついにトータル2万字超えました!


1月期から良作ドラマが多い流れを汲んで個人的には豊作だった4月期の春ドラマ。

<4月期テレビドラマ初回レビュー>

ただここでは基本的に1話のみの感想しか書いていないので、その後面白くなる作品もあれば、最終回で「ん?」な作品もあり。
シリーズ全体の評価としては年末に配信系と共に出しているので、そちらでご確認いただければ。

<2022良作ドラマ振り返り>

そして以前よりクール(1,4,7,10月)を無視して放送するドラマの流れが深夜ドラマではあったのですが、6月からテレ朝の水曜9時の枠も「2ヶ月間で全8話くらいを年間5シリーズ」というフォーマットに変更したそうです。
なので『刑事7人』が6月から既に放送中。その後8月からが『科捜研の女』でおそらく10月から『相棒』が放送されるのだと思います。(相棒は2クールだから2024年2月終わり?)
ドラマ好きは見てお分かりの通り、長年続くシリーズモノで特に番宣とかも必要なく固定層が根強い作品ばかりなのでこのフォーマットでも問題ないと踏んだのかなと。
テレビ自体が変わっていく中でテレビドラマもいろいろ変化して行きそうですが、とりあえずはこの春夏秋冬のクールで初回レビューしていこうと思います。
ということで今クールもゆるーく個人的視点で1話だけをレビュー。
軽い気持ちお付き合いいただければ。

あと書き方でプライム帯と深夜が乱立しているのが見づらいとのご意見を頂きましたので、各曜日の中で[プライム帯](〜23時までに放送開始)、[深夜帯](23時以降に放送開始)で分けてみました。

星の評価は
<★★★>次回楽しみ!
<★★☆>次回も観る!
<★☆☆>次回もまー観るかも!
<☆☆☆>次回以降もう観ない!
くらいの感じです。
ほぼ直接的なネタバレはないと思うのですが、
未見の方は念の為お気をつけください!

※ちなみにTVerで観ているのでTVerにはないNHKやWOWOWプライム等のドラマは除外してます。
リンク先のTVer等は期限切れで見れなくなっている可能性もありますのでご了承ください。


【月曜日】

[プライム帯]
<★☆☆>『転職の魔王様』
額賀澪による同名小説が原作、『弁護士ソドム』泉澤陽子がメイン脚本、『花嫁未満エスケープ』シリーズ堀江貴大がメイン演出を務める転職エンターテインメント。
転職エージェントが舞台というニッチお仕事系ドラマ。
このニッチお仕事系ドラマは前クールの『それってパクリじゃないですか?』も今クール『シッコウ!!〜犬と私と執行官〜』も今作もほぼ同じ作り。
主人公がニッチなお仕事に疑問を抱きながら1話の最後にチームに加わり、毎回ゲストに翻弄されるも解決して自分も働く意義を見出していくという。
さらに今回は仕事の指導役の成田凌が「圧迫していきながら実は相手の事を考えてます」という前クールの風間公親と同じキャラクター。
さすがにここまでやると既視感が強すぎて、物語として面白くない。
この月10は既成概念と戦うという流れがある枠なので、小芝風花の前職でのお話が電通の事件を揶揄するようなシーンになっていてちょっと期待したのに…
成田凌&小芝風花のコンビは良かっただけに非常に残念。
世の中にはあまりにも嘘や悪意が溢れすぎているから、せめて今のビジネス社会にフィットできない人たちに優しい話になっていけばいいなぁと願う。


<★☆☆>『真夏のシンデレラ』
昨年フジテレビのヤングシナリオ大賞を受賞した市東さやかが脚本、『やんごとなき一族』田中亮が演出を務めるオリジナル恋愛群像劇。
最近のフジテレビはヤングシナリオ大賞関連の脚本家を重視している様子。
主演の森七菜を始め、神尾楓珠水上恒司吉川愛白濱亜嵐(GENERATIONS)と過去に色々世間をお世話がせしたメンツが大集合。
でもドラマ自体は世の中的に言われているほど悪くはないと思う。
主演の森七菜がラブストーリーにして非モテ役なんだけど、非常に頑張っている。キャラクターもあるけど、どのシーンでも引っ張っている感じがした。
そして都会のインテリで物事の原理が気になる間宮祥太朗軍団vs地方(といっても江ノ島だけど)で感覚に任せて生きている森七菜軍団という対比で、細かいキャラクターの造形が上手く描かれている。
ただ花火で海に落ちるシーンなど同じくらい「ん?」と思う描写もあった。
シーンを物語を進めるためだけの道具にしているイメージ。
そしてストーリーのメインとなっている女性3人が作り出す雰囲気が微妙。
どちかというと吉川愛は幸が薄い役が、仁村紗和は個性強めな役の印象が強い。
恋愛群像劇にしてこれはけっこう致命的な気がする…
あとここぞでかかる緑黄色社会の曲がちょっとインパクトに欠ける…このタイプのドラマだとここもかなり重要。
色々と惜しいなーという感じがした。


【火曜日】

[プライム帯]
<★☆☆>『18/40〜ふたりなら夢も恋も〜』
映画『ロストケア』龍居由佳里がメイン脚本、『#家族募集します』福田亮介がメイン演出を務めるオリジナルラブストーリー。
ラブストーリー伝統のTBS火10だけど、これはラブストーリーというよりシスターフッドとか女性の連帯のような物語なのかな。
テーマは興味深いのだけど諸々と問題が…
まずあまりにも偶然が多すぎる。
「一つのお話で偶然が起きていいのは2つまでで3つ以上偶然が起きるとそれはただのご都合主義」という有名な説がありますが、あまりにも偶然が起きすぎていて物語の真実味が薄れてしまっている。
そして主演の福原遥がどう見ても高校生(18歳)に見えない。
このテーマなら“若くして望まぬ妊娠をしてしまった”というイメージが何より重要なはず。
『14歳の母』志田未来みたいなキャスティングが必要だった。(今期別ドラマに出演している芦田愛菜とか當真あみとか。)
そして何よりシスターフッドとしての深田恭子に説得力がない。
これもまた痛恨。
「望まない妊娠をした18歳」と「子供を産むのが難しいと宣告される40歳」という対比や、キャリアと子育てという2択で常に悩んできた女性の苦悩、女性の連帯のようなやりたい事はすごくわかるだけにもったいない。
あと全然関係ないけど安田顕松本若菜が普通の役すぎてびっくり!


<★☆☆>『シッコウ!!〜犬と私と執行官〜』
小川潤平による『執行官物語』が原案、大河ドラマ『青天を衝け』大森美香が脚本、『六本木クラス』田村直己がメイン演出を務めるお仕事コメディー。
復活してからシリーズモノラブストーリーサスペンス→お仕事モノと迷走を続けるテレ朝火曜9時枠
織田裕二が30年ぶりに民放の連ドラで主役以外を演じるということで話題に。織田裕二は最近真面目な役柄が多かったので、『踊る大捜査線』シリーズ『お金がない!』のようなコミカルな役は非常に良い。
そしてプライム帯連ドラ初主演の伊藤沙莉渡辺いっけい勝村政信六角精児モロ師岡笠松将宮崎美子板谷由夏など素晴らしいバイプレイヤーが脇を固めている。(ちょっと無駄使い感もあり…)
ただ内容が良くない。
裁判所の判決を執行する執行官『PSYCHO-PASS』とは本広克行繋がりだが何の関係もない)というニッチお仕事系なんだけど、序盤から「裁判所です」と宣言してるのに不審者扱いされている意味がわからない。
そもそも家賃も払わず、裁判期間も猶予期間の1ヶ月もあったはずなのに何も準備しないで被害者ヅラしている執行される側の家族(主に両親)に1mmも共感できず。そこに同情する主人公も理解できなかった。
社会的な弱者は守られるべきだし再生の道はあるべきだと思う。ただこの両親はただ怠惰なだけ。
初回のゲスト設定なので今後はわからないけど、主人公のキャラ設定的に同じようなお話が続きそう。
そして犬は何の関係があるのだろうか…


[深夜帯]
<★★☆>『僕たちの校内放送』
第33回フジテレビヤングシナリオ大賞佳作受賞の伊吹一がメイン脚本、フジテレビSPドラマ『瑠璃も玻璃も照らせば光る』清矢明子が演出の
今作はフジテレビの全4回で月替わり火曜ACTION!枠なのですが、気になって観たので加えました。
まーこれは深夜ラジオ好きのためのドラマ。
所々に深夜ラジオ(特にオールナイトニッポン系)の要素が散りばめられているので、好きな人々はそれだけで楽しめます。
ちなみに私は三四郎ANN0のヘビーリスナーなのでミスター鳥人間・大木祥資の「飛び降りろ!」回のエピソードが出てきただけで爆上がりしまし。
内容的にはナード的な主人公が大好きな深夜ラジオよろしく、校内放送で革命を起こそうとするお話。
主人公の相棒となる前田旺志郎の一軍の下っ端的な役回りも上手いし、今後なんと中田青渚が仲間になるというのも熱い展開。
ただ主人公の木戸大聖がちょっと…
あと物語の全体像的に30分×4回ではちょっと時間が無さすぎるかも。
ここから放送作家を仲間にして、できたらミキサーやディレクターも仲間にして、恋の行方も学校での居場所もとかなってくると流石に厳しい。
もっと長いシリーズで観たかったけど、色々な事情があるので仕方ないのかな。


<☆☆☆>『埼玉のホスト』
TBSドラマストリーム枠、映画『幻の蛍』伊吹一が脚本のラブストーリー&青春コメディ。
主演の“アクション女優”山本千尋は見せ場のアクションは無さそうだし、ジャニーズ・ライダー・アイドル・モデル・芸人となんでもありなキャスティングはそれが深夜ドラマといえばそうなのだけど…
何をメインテーマにしたいのか焦点が定まらない感じで、何を見せたいか(見てほしいのか)がわからない。
「どー考えても店が盛り返せるとは思えないのですが…」みたいな粗い部分も目立つ。
ラストにオーナー役の木村了が言い放つ水商売の真髄的な台詞は良かったけど。
まー出演者のファンドラマで畑違いだった感じでしょうか。


<★★★>『ウソ婚』
時名きういによる同名コミックスが原作、NHK BSプレミアム『しずかちゃんとパパ』蛭田直美がメイン脚本、『真相は耳の中』山口健人がメイン演出を務めるラブコメ。
仕事のために結婚していると周囲を騙す菊池風磨(Sexy Zone)と周りの空気を読みまくって不幸になっていく長濱ねる
「自分のために嘘をつき続ける男」と「人のために嘘をつき続ける女」という対比の中で、2人が偽装結婚をするという流れはお見事。
そしてこの手の役をやらせたら菊池風磨はピカイチ。
山田涼介(Hey! Say! JUMP)の次にラブコメ界を担っていくのはこの人ではないだろうか。
最近流行りの“偽装結婚”というテーマをどのように展開させていくのかなぁと思って観ていたら、まさかの衝撃のラスト!
これは完全にやられました。
たぶん原作読んでる人以外でこれを見抜けた人はいないと思う。
30分で非常に観やすいのも良い。
これは次回以降が非常に楽しいです!


<☆☆☆>『DIY!!-どぅー・いっと・ゆあせるふ-』
テレ東アニメ『Do It Yourself!! -どぅー・いっと・ゆあせるふ-』が原作、『ホスト相続しちゃいました』中村允俊が脚本、『不幸くんはキスするしかない!』吉野主がメイン演出を務めるDIYガールズストーリー。
典型的なアイドルドラマでどれだけ被写体を可愛く見せるかに命をかけている印象。それは別に悪い事ではないが。
ただアニメ原作でアニメのキャラクターをおそらくそのまま再現している所にかなり問題あり。(アニメは観た事ないですが…)
アニメーションの世界観でやっている事を現実世界(実写)にそのまま持ってくるとめちゃくちゃ違和感が生まれる事が多い。(Netflixでもうすぐ公開になる『ワンピース』の実写もここは一つポイントだと思う。)
その典型的なパターン。
主人公がずっとふざけてるようにしか見えないし、周囲も「しょうがないなー」みたいな感じだけどそんなレベルでもないような…
まーでもファンが見る分にはあんまり関係ないのかなー。
入る店を間違えたという感じでしょうか。


<★☆☆>『なれの果ての僕ら』
内海八重による同名コミックスが原作、『スタンドUPスタート』モラルがメイン脚本、映画『アルプススタンドのはしの方』城定秀夫がメイン演出を務めるサスペンス。
「久しぶりの同窓会で集まったクラスメイトが1人の同窓生に52時間監禁され12人が死亡する」と最初から事前情報があり、長い期間のドラマシリーズという形の中で話の緊張感をどうやって保っていくかが不安。
また犯人の動機に繋がる要素も特に見られず、そこへの伏線のようなものが初回からあると良かったかな。(もしかしてサイコパス方面のオチ?)
キャストは犬飼貴丈大原櫻子大原優乃工藤遥ゆうたろう紺野彩夏菅生新樹ニシダ(ラランド)と若手が一堂に会しているが、年齢にあまりにバラツキがあってちょっとクラスメイトには見えない…
“人間の本性を暴く実験”という設定自体は興味深いけど、ちょっと細かい所が気になる感じではある。
次回以降も見続けるかボーダーラインくらい。


【水曜日】

[プライム帯]
<★★☆>『こっち向いてよ向井くん』
ねむようこによる同名コミックスが原作、『ムチャブリ! わたしが社長になるなんて』渡邉真子が脚本、『消えた初恋』草野翔吾がメイン演出を務めるラブストーリー。
33歳実家暮らし非モテキャラの赤楚衛二が主役。
そして財前直見岡山天音藤原さくらと強すぎる家族。
そしてそしてまたもや波瑠が出ている…と思いきや今回は恋愛をするというより恋愛のアドバイザー的なポジション。
しかし波瑠もこれだけ恋愛ドラマだけで地上波プライム帯に出続けているのもある意味凄い…
物語の中盤くらいから赤楚くんがとてつもなく勘違いしてるようにしか見えなくて共感性羞恥。
赤楚くんも明らかに中身に問題があるけど、後輩役の内藤秀一郎も全然なし。
でもヒロイン役の田辺桃子もクソという、ヤバイやつしか出てこない世界だった。
そこで気づいたのがこれはコメディなのだと。ラブコメ。
しかもコメディだと思ってみたら、ダメダメな赤楚くんに波瑠がズバズバっとダメ出しをしまくり、岡山天音が横からチャチャを入れるという構図はなかなか面白い。
最近の恋愛系は価値観を巡るテーマへと帰結することが多いので、そこをダメ出しという形で広げるのは悪くない。
ただダメ出し側の波瑠の意見が必ず正解なわけでももちろん無いので、そこのバランスを間違えなければ面白い今後が期待できるはず!



<★☆☆>『ばらかもん』
ヨシノサツキによる同名コミックスが原作、『彼女、お借りします』阿相クミコがメイン脚本、『4分間のマリーゴールド』河野圭太がメイン演出を務めるハートフル“島”コメディ。
とりあえず五島列島のロケーションが素晴らしい!
個人的に五島列島大好きなので最高でした。
ただその大自然の美しさ以外には特に魅力的なものは…
一番の問題点は漫画の世界観をそのままドラマにしてしまっていること。
これ『DIY!!-どぅー・いっと・ゆあせるふ-』の所でも書いたのですが、アニメとか漫画の世界観は2次元だから違和感がないけど3次元の映像にすると、めちゃくちゃ違和感が発生するということが良くある。
今作も主人公の杉野遥亮がやたら独り言で状況や心情を説明していたり、違和感が凄い。細かい表情や動きが使える3次元なのでしっかり別の演出方法を考えましょう。
そして全体的に平坦な(良くいうとほのぼのとした)ストーリーが続きそうなので、1話30分くらいで長い期間続くようなフォーマットの方が良かったかも…
まさに朝ドラみたいな。
他の刺激が強めだったり、色々凝った仕掛けのあるプライム帯のドラマと比較するとだいぶ見劣りしてしまう印象。


<★★☆>『刑事7人』
続編モノなので基本的には前からのシーズンを観ていないと厳しい。
冒頭にも書いた通り、既に6月から始まっているので4話くらいまで進んでいますがこのクールに一応入れました。
今回は初回から刑事6人ほぼ全員が退職、もしくは異動を考えているという衝撃展開。(ちなみに7人目は北大路欣也法医学医なので実際は刑事6人です。)
このシリーズは初期にメンバーの殉職・逮捕・自殺などなどなんでもありな展開が連続していたので、今回もちょっと色々起きそうな雰囲気がして楽しみです。
マンネリ打破に期待!


[深夜帯]
<★★★>『週末旅の極意〜夫婦ってそんな簡単じゃないもの〜』
NHKのSPドラマ『きよしこ』いとう菜のはがメイン脚本、バカリズム原案『ノンレムの窓』青木達也がメイン演出を務める旅ドラマ。
映画界で『水は海に向かって流れる』 『Pearl パール』など話題作を連発するハピネットファントム・スタジオがテレ東と制作。
このハピネットファントムが制作に携わっている事が非常に重要な気がして、この会社は上記の『水は海に向かって流れる』をはじめ、『恋は光』 『マイ・ブロークン・マリコ』など世の中の普通や当たり前を打破していく作品が多いのが特徴。
今回も単純なドラマ+旅ではなく「夫婦とは何か?」というテーマを追求している。
子供のいない夫婦に向けられる好奇や憐憫の目を振り払って進む夫婦の形に非常に興味が湧く。
あとは自分に向けられる不快な言葉は、その全てが悪意からとは限らないという。
非常に考えさせられる大人のための大人のドラマ。
そして前クールで評判だった深夜ドラマから続けてみていると吉沢悠が絶対こんな良い夫な訳ない!と勘繰ってしまう…と思っていたら次回予告!
これは笑ってしまうなー。
そして登場する宿泊施設は、制作協力のORIX HOTELS & RESORTSの実際の施設でドラマタイアップ宿泊プランを提供するという面白い試みもあるみたいです。
全体的に非常に意欲的で面白い作品になりそうな予感。


【木曜日】

[プライム帯]
<★★☆>『この素晴らしき世界』
烏丸マル太が脚本、『PICU 小児集中治療室』平野眞がメイン演出を務めるオリジナルなりすましコメディ。
この脚本の「烏丸マル太」という人物はデータがまるでなく、1人で脚本を担当している所から考えるとおそらく誰か大物の別名義。
なりすましコメディだし。
ネットでは既に三谷幸喜(本人は否定)、秋元康(確かに今クールはおとなしい…)、大石静上田誠などなど考察合戦が開始。
『最高の教師』と同クールで2本もシークレット脚本作品があるなんて!
普通の主婦がスキャンダル女優の代役として謝罪会見に臨むお話で、主演の予定だった鈴木京香が病気療養のため降板して代役を立てることになるとは…もうそれがドラマの幕開け。
しかしその代役の若村麻由美が素晴らしい。(ちなみに若村麻由美は『初恋、ざらり』とのダブルヘッダー。)
鈴木京香だと普通の主婦部分がちょっと違和感ありそうだったので、結果的に良かった気がする。
最近は話題になる事が多い木10枠はたまーに激渋キャストを繰り出してくるパターン。
たしかに鈴木京香、西村まさ彦木村佳乃と三谷幸喜が疑われるのもわかる。
細かい部分でのコメディ要素にもこだわりを感じるし、コメディが得意な脚本家の気がするけど…
そして急に流れる小田和正
このなりすまし以外にも色々と問題がありそうな伏線もあり、今後の展開に期待したいところ。


<★★★>『ハヤブサ消防団』
池井戸潤による同名小説が原作、テレ東SPドラマ『女王の法医学〜屍活師〜』シリーズ香坂隆史が脚本、『緊急取調室』シリーズ常廣丈太がメイン演出を務めるミステリー。
ビジネスエンターテインメント小説の大ヒットメーカー池井戸潤原作のミステリー作品をドラマ化。
オープニングから何故か第四の壁を破る演出で少し演出過多な気がする。毎週やるのだろうか…本編がしっかりしてるので特に後の伏線になってないなら無くても…
しかし田園風景と不穏な村の雰囲気が完璧にマッチしているし、長回しの迫力も良い。
そして何よりキャストが強い。
山本耕史麿赤兒一之瀬ワタル村岡希美と脇が固いがなんといっても消防団の生瀬勝久岡部たかし橋本じゅん梶原善満島真之介の演技合戦が凄い。よくこれだけ集めたなー。
ここだけでも一見の価値ありです。
あとはなんか中村倫也(あと田中圭も)が出てるミステリー・サスペンス系ってなんか見てしまう。
考察系のドラマの鍵ってとにかく怪しい人物(そこそこ有名な)がたくさんいる事だと思っているので、その点でもとても良い。怪しい人しかいない!
とにかく続きが気になる良作!


[深夜帯]
<☆☆☆>『結婚予定日』
西原衣都ムノの同名コミックスが原作、テレビ朝日SPドラマ『正しい恋の始めかた』綿種アヤがメイン脚本、『星降る夜に』深川栄洋がメイン演出のピュアラブコメディ。
MBSドラマ特区枠
なぜか今クールの『なれの果ての僕ら』と同じく大原櫻子大原優乃が共演。事務所も違うのになぜ…
脚本と演出のミスマッチが引き起こされた典型例。
脚本(原作)的には「彼氏にフラれどん底の中、自分で決めていた年齢までに相手が見つからなければ結婚しようと後輩に提案される主人公」というラブコメなので、シンプルな見せ方で笑い+キュン要素が必要。
しかし演出はカメラ目線で第四の壁を破る、急に歌い出すミュージカル風、妄想でそこにいない人物がいるように見えるなどなど、とにかく過剰。(原作でその表現がされているのかは知らないが…)
30分で、しかもミステリーやサスペンスではなくラブコメで、こんなに凝った演出を見せられても胃もたれする。
これメイン脚本がそこまで経験のない綿種あやに対して、メイン演出が大石静脚本作やドクター・デスの遺産-BLACK FILE-など映画でもバリバリやっている深川栄洋なのでミスマッチが起きている気がする…
なんにでも適度ってあるよねというお話でした。


<★☆☆>『怪談新耳袋 暗黒』
木原浩勝中山市朗 『新耳袋 現代百物語』が原作の怪談新耳袋シリーズ最新作。
1話につき、10分の新作+5分の過去作をオムニバスで3本の全4本構成を全8回放送するという謎の構成。
さすがBS-TBSの木曜ドラマ23枠
ちなみに怪談新耳袋シリーズ20周年で新作は地上波では10年ぶりらしいです。
新作はパートはサクッとみれる中にもちょっとした怖さがあってホラー好きには良いのでは。
出演は超ときめき♡宣伝部BOYS AND MENなどアイドル中心のキャスティング。
注目は過去作パートで過去の傑作選なので、あんな人やこんな人の若かりし頃が見れる。
ちなみに初回は堀北真希桐谷美玲が出てました。
しかも古い分、単純に映像の質が悪いのでそれが雰囲気出ていて良い。
新作の方はやはり映像が綺麗でそういう意味ではしっかりしすぎていたかも…


<★★☆>『彼女たちの犯罪』
横関大による同名小説が原作、『美食探偵 明智五郎』田辺茂範がメイン脚本、『この男は人生最大の過ちです』菊地健雄がメイン演出を務めるスリリングサスペンス。
AKB前田敦子、元乃木坂深川麻衣、元E-girls石井杏奈と演技経験の豊富な元アイドル3人が主演。しかし別にアイドルとは全く関係ないストーリー。
さらにゲスの極み乙女さとうほなみnon-noモデルの鈴木ゆうかとなんでもありのキャスティング。
義母のマタハラや夫との冷え切った関係に悩む、周囲が結婚していく中で自分の人生に悩む、男性社会の中でキャリア形成に悩むという主演3人のキャラクターをしっかり作り込み。
さらに物語的に様々にリンクをを張り巡らし、伏線を散りばめられている印象。
しっかり1話をかけて下準備という感じで、今後かなり面白くなりそう。
しかし気になるのはさとうほなみのナレーションが下手すぎること。
役の時は全然気にならなかったのに、ナレーションて難しいんだな…
あと毎回出てくるたびに怪しい毎熊克哉も気になる所。今のテレビドラマ界では酒向芳迫田孝也と並ぶ3大出てきただけで怪しい俳優です。


<★★★>『量産型リコ-もう1人のプラモ女子の人生組み立て記-』
『絶メシロード』シリーズ『お耳に合いましたら。』などでテレ東深夜で無双し続ける畑中翔太が企画・原案・脚本・プロデュースを務めるホビー・ヒューマンドラマ。
2022夏クールで最高の作品だった『量産型リコ -プラモ女子の人生組み立て記-』のスタッフ・キャストがほぼ再集結して、続編ではなく同じキャラクターが別の世界線を生きるお話。
そうなんです。昨今海外ドラマや映画で流行りのマルチバースを日本の深夜ドラマで取り入れているんです!
畑中翔太の才能が爆発しています。
ただ平和を好むが“量産型”であることにも疑問を感じる一般会社員だった前回から、今回はユニコーンを目指すスタートアップの社長(じゃんけんで決まる)である主人公リコが“量産型”であるという設定には少し無理があるような気がする…
「バリバリに仕事をこなしているけど、そんな自分も俯瞰で見たら実は量産型じゃないの?」と悩むみたいな変化が必要では?
ただリコ役の与田祐希(乃木坂46)の雰囲気からバリバリのキャリアウーマンみたいな役は難しかったのかもしれないが…
しかし相変わらずプラモを組み立てている映像は癒し。
森下能幸マギー田中要次望月歩前田旺志郎あたりの脇も固い。
前作へのリスペクトも込めての星。


【金曜日】

[プライム帯]
<★★★>『トリリオンゲーム』
稲垣理一郎池上遼一による同名コミックスが原作、連続テレビ小説『ちむどんどん』羽原大介が脚本、『西荻窪 三ツ星洋酒堂』村尾嘉昭がメイン演出を務めるノンストップ・エンターテインメント。
原作のファンなのですがまさかテレビドラマ、しかもジャニーズ主演で実写化されるなんて!
しかもこれ主役2人のハルとガクを2人ともジャニーズにしなかったバランス感覚が素晴らしい。いやーやっぱり普通のプロデューサーならそうしたくなると思う。前クールのあのドラマみたいに。
佐野勇斗ナード的な役柄は非常にあっているし、近々のヒット作で演じていた役と180度違うコミュ力モンスターを演じる目黒蓮(Snow Man)も良い。
今田美桜が桐姫とは若干イメージ違うけど、そこまで悪くはないので今後に期待
1話で原作の2巻途中くらいまでを過不足なく綺麗に収めつつ、テンポよく疾走感がある仕上がりになっていたのも素晴らしい。
原作はまだ完結していないのでドラマもおそらく途中までになるのだろうけど、早くも映画でもいいから続きもちゃんとやって欲しいと思うほどです!
今クールここまでNo.1の勢い。


[深夜帯]
<★☆☆>『警部補ダイマジン』
リチャード・ウー&コウノコウジによる同名コミックスが原作、『ルパンの娘』シリーズ徳永友一が脚本、映画『土竜の唄』シリーズ三池崇史がメイン演出を務めるピカレスクサスペンス。
原作は同作者コンビの『クロコーチ』と同じ世界線で同じキャラクターも登場するが、テレビドラマは局が違うので関係ないと思われます。
初回からたくさんのキーワードが散りばめられる展開。
とりあえずは警部補である生田斗真向井理に弱みを握られた事で、部下にさせられて未解決事件を解決するために扱き使われるという流れ。
まずこの弱みを握られる時点で特に物証などは無かったはずなのに、なぜ生田くんは認めてしまったのだろう?これが謎だった。
あとコメディ部分が中途半端。
ピカレスク的な内容にするならコメディはいらないし、コメディサスペンスにしたいならもっとちゃんとコメディ部分を作って欲しい。
あのくらいでやるなら蛇足に感じる。
しかしラスト大ピンチの状況で終わりつつ、次回への期待を持たせる1話ではあった。
期待値はあれど、今クールで同じサスペンス系の『CODEー願いの代償ー』と比べると全体のバランスで負けているかなということでこの評価に。
「地上波の限界を超える」と謳っているが真相はいかに。


<★★☆>『初恋、ざらり』
ざくざくろによる同名コミックスが原作、『美しい彼』シリーズ坪田文がメイン脚本、『メンタル強め美女白川さん』池田千尋がメイン演出を務めるラブストーリー。
今作なんと深夜の30分ドラマにして脚本クレジットが6人もいます。
自身も発達障害があり自分を否定しながら生きていたというざくざくろによる、軽度知的障害をもつ主人公の恋の物語。
まず主人公の小野花梨、そして相手役の風間俊介が素晴らしい!
元々2人とも好きだったけど、特に小野花梨はキャリアハイの作品になりそう。
あと小野花梨の母親役の若村麻由美も良い。そこまで出番は多くなかったけど、なんかあの家庭の全てを表していた。
やはりこの多様化する現代での大きなメインテーマである“普通”
特に障害などによって他人から「あなたは他人とは違います」と言われている人たちがどのように社会の中で生きていくのか。
そして自分を“普通”だと思い込んでいる大多数の人間と一体何が違うのか。
しっかりと見届けていきたいと思う。
ただ金曜深夜とはいえ、やはり少し重い。内容というより演出や音楽や撮影など総合的に非常に重力がかかっていて動けない感覚。
あまりメンタルに余裕がない人にはオススメできない。
という事で星は若干厳しめに。


<★★☆>『癒しのお隣さんには秘密がある』
嶋伏ろう梅澤夏子による同名コミックスが原作、『めんつゆひとり飯』遠山絵梨香が脚本、『スイートリベンジ』中前勇児がメイン演出を務めるラブストーリー。
いきなりオープニングから恐怖映像でスタートしてちょっと意味がわからなかった。
物語が進んでいくうちに小関裕太がスーパー変態ストーカーだという事がわかった。
そして主演の田辺桃子の親がおぎやはぎ小木さんと北陽のあぶちゃんだった。
さらに田辺桃子の後輩の役名が“田辺”でめちゃくちゃ混乱。
しまいには、若手名バイプレイヤーの森永悠希がめちゃくちゃちょっとだけ出てきてとてつもなく怪しかった。
タイトルの秘密が初回序盤から明かされた状態でこれから先どうなっていくのだろう…
どんな感じになっていくのか全く予想できなく、怖いもの見たさもあれ今後に期待。


<★★☆>『晩酌の流儀2』
プロデューサー/演出の松本拓、脚本の政池洋佑と前作からスタッフ陣が続投したテレ東お得意のグルメドラマ。
続編モノだが特に前のシーズンを観ていなくても大丈夫。
テレ東のグルメドラマしかも、主人公の自己ナレーションで独白するという『孤独のグルメ』と同じシステム。
しかしこちらは自分でご飯(晩酌のお供)を作る。
炭水化物がなかったり、ジョッキを2つ冷やしていたり、ビールではなく第3のビールだったりとディティールへのこだわりが素晴らしい。(ただ前シーズンの感じだと炭水化物今後は出てきます。たぶん。)
ただ晩酌にしてはガッツリ&豪華すぎる気が…初回だから頑張りすぎたかな。
晩酌がヒントになって顧客へ提案する形はかなり力技だがご愛嬌。
30分で視聴しやすく、それこそ仕事帰りの晩酌やご飯の時に最適。
テレ東深夜の伝統芸です!


【土曜日】

[プライム帯]
<★★★>『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』
3年A組 -今から皆さんは、人質です-のプロデューサー福井雄太、演出の鈴木勇馬によるオリジナル学園サスペンス。
「これは松岡茉優が最高の教師になるまでの物語だ」
という事ですが、これ実は“学園サスペンス”と私が勝手に言っただけで実際どこにもサスペンスなんて書いてないんですよ。
3Aのイメージからそう思っていたのだけど、初回を見て「犯人を見つける」サスペンスというよりは「生徒の再生を促す」ヒューマンドラマ寄りなのかもしれないと感じた。
ただ脚本家をずっとシークレットにしていて、放送後にクレジットされた“ツバキマサタカ”という謎の名前。(3Aは武藤将吾が脚本。)
不自然すぎるほんの少しだけカットされたシーンを収録している配信限定のディレクターズカット版
タイムリープや、一見するとメインストーリーとあまり関係ないように思われる夫(松下洸平)との離婚話などなど、やはりサスペンス要素も多分にある気もしてくる。
そして初回はなんといっても後半の松岡茉優と芦田愛菜によるほぼ2人の独白合戦。
松岡茉優はやはり素晴らしい。
3A同様に単なる犯人探しに終始せずに、生徒を救う1人の先生の物語として今後の展開が非常に期待です!
それでは最後に、最高の学園青春ムービー『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』の監督オリヴィア・ワイルドが撮影中にスタッフ・キャスト全員に送ったと言われる言葉を。

「高校は戦場だ!」


[深夜帯]
<★☆☆>『ハレーションラブ』
テレビ朝日SPドラマ『拝啓、奇妙なお隣さま若杉栞南が脚本、映画『ミスミソウ』内藤瑛亮がメイン演出のラブサスペンス。
数々のホラー作品を手がける内藤瑛亮が演出ということでサスペンス/ミステリーというよりはホラー寄りです。
ホラー的には生気の無さそうな高橋ひかるも良いし、とにかく怪しすぎる眞島秀和も良い。
ただ30分の枠ということで、初回は伏線ばら撒きで話が終わって全然進まなかった。
内容的には30分でやる内容では無かったかも。
あとできればラストにクリフハンガーというか次回への強いフックがあれば良かった。(ちょっとはそれっぽいものがあったけど弱かったかな…)
これだけミステリー/サスペンス(ホラー)系のドラマが乱立してるのでそれが弱いと次回試聴へのハードルが…
あと全然中身と関係ないけど、途中で高橋ひかるが変な服を着ていてそればっかり気になってしまった。流行っていたとしてもノイズになるので、後の伏線とかでなければ止めた方がいい。
他に面白そうなドラマが無ければ次回も観たかもしれないけど既に観ているものがパンパン。
クールの後半に放送する作品はそういう事も考えて作らないと、なかなか難しい。


<★★☆>『ノッキンオン・ロックドドア』
青崎有吾の同名小説シリーズが原作、『イチケイのカラス』浜田秀哉が脚本、『TRICK』シリーズ堤幸彦が演出の本格ミステリー。
堤幸彦久しぶりにテレ朝でのミステリー作品。
所々に堤演出が見られるが、今回は少し抑えめな気がする。
そもそもの探偵が2人いて、従来2人で行っていたトリックの解明と動機の解明を2人で分担するシステムは新しくて面白い。
ただそこを際立たせるならもう少しトリック担当が「動機には興味ない」という面を押し出した方が効果的だったように感じた。『ガリレオ』湯川先生みたいな。
後半だいぶ動機面にも突っ込んでいたような…でもそこが縦軸となる事件と関係してくるみたいなので上手く繋がるのかも。
渡部篤郎角田晃広(東京03)石橋静河早乙女太一となかなか脇が固いのは良い。
そして畑芽育『最高の生徒〜余命1年のラストダンス〜』とのダブルヘッダー。売れそうな予感。
全体を通して悪くないのだけど、初回は1時間SPだったからなんとか描けていた推理パートを通常30分の1話完結になってもしっかり描けるのか?
コメディやラブストーリーなどに逃げれなそうな内容ではないので、普通に考えると時間的に薄っぺらなトリックや動機になりそう。
そこをどう調整してくるか巨匠・堤幸彦の腕の見せ所でしょうか。


<★☆☆>『湯遊ワンダーランド』
まんきつの同名コミックスが原作、『38歳バツイチ独身女が
マッチングアプリをやってみた結果日記』
舘そらみがメイン脚本、『俺の美女化が止まらない!?』熊坂出が演出の新感覚ドラマ。
BSテレ東の真夜中ドラマ枠でこの枠はBSテレ東とネット局のテレビ大阪が交互に制作を担当していて、テレビ大阪制作の時は当たりが多い。
そして今作はテレビ大阪制作。
期待して見始めたら、いきなり謎のラップスタート。
そもそも原作が“まんきつ”ことまんしゅうきつこの自伝的内容で、彼女の感じている事をそのまま漫画にしちゃいました的な内容なので基本的には意味不明。
よくドラマ化しようと思ったな…
ドラマパート+リアルパート(今回ならサウナ)の融合システムとか、自分語りナレーションなどテレ東お得の演出が満載。
しかしドラマパートの意味がわからないので、こちらもどうしていいのかわからない。
まー当人もサウナのデトックスでまんきつに改名したくらいなので、これを観てサウナに行けば良いのだと思う。
サウナ未経験者の話なのでサウナ好きじゃなくてもリアルパートは面白いはず。
リアルパートはね…


<★☆☆>『スーパーのカゴの中身が気になる私』
映画『森山中教習所』和田清人がメイン脚本、『孤独のグルメ』シリーズのチームが制作を務める中京テレビ初の連続ドラマ。
「元人気子役ながら仕事がない主人公が自分の演技力を磨くためにバイトしているスーパーのカゴの中身からその人物の感情を読み取ろうとしていく」というプロットは面白い。
戸塚純貴永野宗典石田ひかり大水洋介(ラバーガール)とキャストも悪くない。
ただこれ30分枠でやる内容ではないと思う。
特に1話目は前半に導入部分もあったので、物語の根幹である「スーパーに来た人のカゴの中身からわかるそれぞれの事情」という部分がスカスカ過ぎた。
コメディ要素もあるので、そちらを前面に押せば内容的に厳しくてもカバーできそうではあるが…
ここらへんのバランスが非常に難しい。
あと戸塚くんが相手の感情を読み取ろうとする時にだけアニメーションになる演出が効果的なのか微妙。予算の関係なのか…
局で初めての連ドラ制作ということなのでこれからでしょうかね。


<★☆☆>『最高の生徒〜余命1年のラストダンス〜』
『ハマる男に蹴りたい女』関えり香が脚本、『ぴーすおぶけーき』西村了がメイン演出の『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』とクロスオーバーする物語。
本当はZドラマという日テレ昼にやっている枠なのですが、プライム帯外ということで深夜帯に入れました。
最高の教師の隣のクラスで同じタイムラインで進んでいくお話。
初回の雰囲気では隣で起きてる別の物語でありながら、登場人物は重複していてもしかしたらそれが最高の教師の方に関わってくるかもしれないという感じ。
こちらは1年後に遺伝性の病気で死んでしまうという女子高生(畑芽育)が主人公で、どこか『君の膵臓をたべたい』を思わせる設定。
ただラブストーリーというよりは「自分があと1年で何を成せるか」を真剣に考えるというヒューマンドラマ寄り。
これ初回がクライスメイト役のみとゆなに焦点を当てた回なんだけど、このみとゆなが絶妙に演技が下手。
実際にインフルエンサーで若い世代に人気があるので、ターゲット層を含めた判断なのだろうけどドラマの中身的にはかなりマイナス。
メインの仲良し4人組はしっかりやっていただけにもったいない。
正直これ単体としては特に今後観る必要性はあまり感じないのだけど、最高の教師の本線に何かしら関わってくるならチェックはしたいというかなり複雑な状況。


【日曜日】

[プライム帯]
<★★★>『何曜日に生まれたの』
前クールから始まったテレビ朝日(ABC テレビ制作)日10枠は、テレビドラマ界のレジェンド・野島伸司がテレ朝系列で初めての連ドラ脚本を担当する話題作。
『日曜の夜ぐらいは…』清水一幸が企画・製作、『夫婦が壊れるとき』大塚恭司がメイン演出
同枠の前作『日曜の夜ぐらいは…』に続いて曜日をタイトルに。
この枠は曜日関連でいくのだろうか?
しかし野島伸司作品ということで日曜夜にしてなかなか重そうな内容。
そこを主人公の父親役の陣内孝則コメディリリーフ的な役割で良いアクセントに。
ミステリーか?ラブストーリーか?ヒューマンドラマか?という触れ込みでなかなか焦点が絞りにくい内容。
ここがどこに触れていくかで今後の良し悪しが決まりそう。
しかしタイトルの「何曜日に生まれたの」(通称:ナンウマ)の意味の回収とその言葉に惹き寄せられる引力が凄い。
野島伸司の書くセリフの強度は相変わらず強力。
もうこの一連だけで次回観たくなる。
モノクロの過去の映像やポストクレジットの謎のインタビューシーンが象徴するような、できればミステリー/サスペンス方向にいくと嬉しい。
さすがに引きこもり(今回の主人公は引きこもりというよりニートに近い気がするけど)の再生的な社会派ドラマの方向にいくと辛い…
次回以降が非常に楽しみ。


<★★☆>『VIVANT』
『半沢直樹』を始めTBSの池井戸実写化シリーズでお馴染みの福澤克雄がメイン演出(今回は原作兼任)、八津弘幸メイン脚本飯田和孝がプロデューサーを務めるオリジナルアドベンチャードラマ。
モンゴルで2ヶ月半に及ぶ撮影や堺雅人阿部寛二階堂ふみ松坂桃李役所広司など他なら主役級のキャスト総動員。(他にもたくさんいるのですが書ききれないので割愛します。こちらでご確認を。)
初回が約2時間あった事もあり、もはやほぼ映画1本観た感覚。
スタッフやキャスト以外の情報はほぼ全てシークレット。
いやー凄い。日曜劇場の本気をみました。
基本的には池井戸味のあるビジネス系のお話だが、ミステリー要素もあり。
初回はほぼ海外(バルカ共和国という架空の国)で行われていて、やたら外国語ばかり。
スーパー豪華キャスト陣を尻目に、阿部寛の協力者役の富栄ドラムとバルカ警察のリーダー役のBarslkhagva Batboldが初回はMVPでした。
しかしなんでこういう時に日本の作品って実際の固有名詞使わないのかな?
国名は難しくてもWHOをWHIって。こんなことしてるから海外進出は…
ただ全体的に面白そうではあるのだけど、労力のかけ方に比べて成果が見合ってないような気がした。
これだけ時間もお金もかけたのなら、もっともっと上を期待してしまう…
あと初回長い割にあまり展開が進んでなくて推進力がなかった印象。
堺雅人のキャラクター設定も今後のストーリーに関わってくるのだろうけど、何か物語の雰囲気に対してアンバランスな気がする。
タイトルの謎も含めて今後に期待というところですが、福澤さんが既に続編に意欲みたいな記事も出ていて、こういう時はあまり良い展開にならなそうな予感が…


<★★☆>『CODEー願いの代償ー』
台湾で大ヒットした『浮士德遊戲(英題:CODE)』シリーズのリメイク作品で、『絶対零度』シリーズ酒井雅秋がメイン脚本、映画『見えない目撃者』森淳一がメイン演出を務めるノンストップ・クライム・サスペンス。
木村ひさし(ex『警視庁アウトサイダー』)も演出に名を連ねているがメインではない模様。
そして坂口健太郎が日テレプライム帯で2クール連続主演!前回が医者で今回は刑事役。日本ドラマの王道を突き進む。
序盤から坂口健太郎の婚約者役である臼田あさ美にフラグが立ちすぎてたらやはり…
「いやあの落下でスマホ無事なわけないやん!」とか「県警本部の某カメが映ってないとかセキュリティザルかよ!」とかツッコミ所はちょいちょいあるけど、先の展開は気になってしまうという日テレが得意なパターンのやつです。(大きな病院が占拠されるやつとか。)
結局誰が黒幕か?的流れになっていくと思うけど、それにしては登場人物が少ないのが気にはなる。
既に初回の時点で怪しい人1人いますよね…
まーでも海外ドラマ原作という事でアッと驚くような黒幕に期待!


ランキング形式まとめ

<★★★>
『何曜日に生まれたの』『ハヤブサ消防団』『トリリオンゲーム』『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』

『ウソ婚』『量産型リコ-もう1人のプラモ女子の人生組み立て記-』『週末旅の極意〜夫婦ってそんな簡単じゃないもの〜』

<★★☆>
『この素晴らしき世界』『VIVANT』『こっち向いてよ向井くん』『刑事7人』『CODEー願いの代償ー』
『僕たちの校内放送』『ノッキンオン・ロックドドア』『彼女たちの犯罪』『初恋、ざらり』『癒しのお隣さんには秘密がある』『晩酌の流儀2』

<★☆☆>
『転職の魔王様』『真夏のシンデレラ』『18/40〜ふたりなら夢も恋も〜』『ばらかもん』『シッコウ!!〜犬と私と執行官〜』
『ハレーションラブ』『怪談新耳袋 暗黒』『湯遊ワンダーランド』『スーパーのカゴの中身が気になる私』『なれの果ての僕ら』『最高の生徒〜余命1年のラストダンス〜』『警部補ダイマジン』

<☆☆☆>
『結婚予定日』『埼玉のホスト』『DIY!!-どぅー・いっと・ゆあせるふ-』

ふんわり総評

今期の1話を観ただけの個人的オススメのプライム帯は『ハヤブサ消防団』『トリリオンゲーム』『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』『何曜日に生まれたの』の4本、
深夜帯は『ウソ婚』『量産型リコ-もう1人のプラモ女子の人生組み立て記-』『週末旅の極意〜夫婦ってそんな簡単じゃないもの〜』の3本の計7本でした。

『ハヤブサ消防団』は池井戸潤原作のミステリーという異色作の映像化。考察しがいのある怪しすぎる村の住人たちというミステリー要素とそれを支える名優たちの演技というミックスが素晴らしい。中村倫也はなんか謎を解いてくれそうな顔をしている!
『トリリオンゲーム』はこんな時代に1兆ドルを稼ぎだすという最高の原作が織りなすノンストップのビジネスエンターテインメント。このスピード感を保ちつつ、無敵のシンメを主役の2人がどこまで演じられるのか見もの。
『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』は3年A組のスタッフ再集結で学園サスペンス!と思わせての実はヒューマンドラマ色が強め。しかし所々に不自然な要素が散りばめられていてミステリーとしても楽しめそう。松岡茉優と生徒たちの迫真の演技に涙。
『何曜日に生まれたの』は巨匠・野島伸司脚本のジャンルレスエンターテインメント。タイトルの意味の回収とそこに付帯する言葉の引力の強さにワクワク。毎クールですが本命は最後にやってくるパターン多し!
『ウソ婚』は“偽装結婚”という最近のドラマ回トレンドの中にもあっと驚くような展開で魅せるラブコメ。“ウソ”というキーワードの中で男女2人を対比させて描く人物描写も見事。菊池風磨のラブコメはもはや安心感すらあります。
『量産型リコ-もう1人のプラモ女子の人生組み立て記-』は前作からの続編ではなくキャストやその名前だけを引き継いでいる、昨今海外で流行のマルチバースの物語。“深夜ドラマの騎手”畑中翔太の企画力が唸る作品となりそう。
『週末旅の極意〜夫婦ってそんな簡単じゃないもの〜』は最近の飽和状態にあるグルメ系ドラマから進化した旅系ドラマ。最高のロケーションに加えて、人生や夫婦というみんながぶち当たる問題に切り込む大人による大人のためのドラマ。夫婦モノの吉沢悠良いです。

3クール連続で三つ星が7作品と面白そうな作品が多い2023夏ドラマ。そしてドラマ自体の本数はどんどん増えてます。
傾向として作品数の増加もあってとにかくダブルヘッダー、トリプルヘッダーの俳優が多い。しかもゲストではなくレギュラー。
若村麻由美(『この素晴らしき世界』『初恋、ざらり』)、大原櫻子&大原優乃(『なれの果ての僕ら』『結婚予定日』)、シシド・カフカ(『警部補ダイマジン』『何曜日に生まれたの』)、前田公輝(『転職の魔王様』『癒しのお隣さんには秘密がある』)、畑芽育(『ノッキンオン・ロックドドア』『最高の生徒〜余命1年のラストダンス〜』)、前田旺志郎(『量産型リコ-もう1人のプラモ女子の人生組み立て記-』『僕たちの校内放送』)などなど挙げるとキリがない。
ちなみに犬飼貴丈は『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』『この素晴らしき世界』『なれの果ての僕ら』とトリプルヘッダーで、さらにスピンオフの『最高の生徒〜余命1年のラストダンス〜』にも出てるのでほぼ4つ。
個人的に同じクールに同じ俳優を使うのは視聴者も混乱するのでどうなのかと思うのですが、ある程度集中してしまうのは仕方ないのかな…
ただあれだけ超豪華キャストを集結させている『VIVANT』が1人もキャスト被りがないのは素晴らしい!相当力入れていることの証明だと思う。
深夜帯は数だけがとにかく増えている中で、しっかり考えて作られていると思われる良作とキャスト頼みで内容が無い作品との差が激しくなってきている。
深夜でそもそもの視聴者数が低くある程度のファンも持つキャストに頼りたくなるのはわかる。しかしこれはさすがにどうなのと目を疑いたくなるような作品も。
深夜帯ドラマといえどTVerや各種ストリーミングサービスで観れるので昔のように適当に作っているとすぐにバレる。
もう少し数を絞ってしっかり制作に向き合える時間を作っていただきたいものです。
あと前クールからリニューアルしたテレ東金8時のドラマ8枠が前回『弁護士ソドム』が終わったのが6/16で次の『ブラックポストマン』が始まるのが8/18。別にクール自体は無視しても良いけど、リニューアル早々にこんなに間を開けてしますと厳しい。
試聴習慣がつかないどころか、やっていることすら忘れてしまうレベル。
テレ東、深夜以外も頑張ってほしい!

ついに2万字の未体験ゾーンに突入。
また10月頃にお会いできれるのでしょうか…


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