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「家庭料理のひと、感謝のひと」
獲物をとって、火で炙り、煮炊きして、
小さな子供を優先し、平等に料理を分けました。
家族という社会の始まりです。
先祖が大自然の一員として生き抜こうとしたとき、
「お料理」は「愛」を伴って生まれたのです。
すべての料理は家庭料理がはじまりです。
今では、お金をとる料理と区別するために
家庭料理と言っていますが、本来家庭料理は料理でいいのです。
料理は無償、だから、愛と、真実があるのです。
食材という自然に触れることが料理のはじまり。
料理するひとは、自然を想い、翻って家族を思う。
自然と人間の間に「料理するひと」はいるのです。
料理するひとは、自然と人間の秩序を守るひと。
料理するひとは、暮らしの秩序を維持するひと。
どうか料理するひとになってください。
どうぞ料理するひとを大切にしてください。
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今の仕事を辞めても
家庭料理は作りつづけるだろう
三十年作りつづけてわかった
これは生きる基本だと
どんな腕のいい職人であっても
食材には勝てない
素晴らしい自然の味わいに
勝るものはないのだから
美味しいと言われるたびに
その感謝は私の中で
喜びの粒子を浴びながら
自然への賛美となっている
素晴らしいこと
素晴らしいこと
感謝するのは
素晴らしいこと!
この手間暇は
ひとをひとで有らしめるもの
作るひとも食べるひとも
感謝ではじめてひととなる
自然を前に
ひとであれ
生きる恵みは
感謝でいただく