「波山の陶器」
板谷波山の陶器は
ちょこちょこと見かけてた
他とはどこか一線を画していて
その完成度には目を見張った
生誕百五十年で並べられた波山の陶器
惹きつけられる理由がみえた
彼は藝大で彫刻を専攻し
彫りの技法も取り入れている
しかしそれだけででなく
絵画などありとあらゆる芸術を学び
本番金沢の工房で焼きの技術も学び
全て自分でやらなければ気の済まない性分だった
それが作品に現れている
品格が高く柔らかな美しさを放つのに
陶芸家自身は地味で
工房も質素だった
草花を愛し
日々スケッチをし
故郷の山を名前にしてしまうほど
地元茨城を愛した
支える妻もいながら
九十という齢であるから仕方はなくとも
共に研鑽する友が交通事故で亡くなった後
後追いのように世を去ったのはどれだけか
人は人で生きるのかな
美しい陶器を前にして
やはり人を感じる
泉屋博古館東京で