#11 運命
とある場所で、中学の同級生に再会した。
といっても、お互い声はかけなかった。でも、向こうも私には気づいている様子だった。
当時は、特に仲が良いわけではなかった。
ただのクラスメイト、という感じ。
でも、数年経った今、名簿にあったその名前を見たとき、当時の彼の姿が記憶に蘇ってきた。
そして、今の彼も当時とほとんど変わらなかった。
こうやって書くと、なんか恋愛話のようだ。
感動の再会物のはじまりみたいな。「あの時会ったのが運命だったんだ」みたいな。
しかし、そういった感情はこちらは全くもってないし、あちらにもそんな空気感はなかった。
案外、「運命」って日常にありふれているのかな、と思った。
無限にある運命の中から、自分の人生に必要な運命を選んでいく。
とすると、ひとつひとつの出会いが運命だとよく言われるのにも納得できる。
「すべての出来事が自分の運命で、その周りには自分が選択しなかった運命や、自分では運命とは思っていない運命が無数に転がっている。」これが私の私論である。
きっと、「運命の人」も1万人くらいいるのだと思う。