「ブルシット・ジョブ」を読んで考える・「小さな政府」 / デヴィッド・グレーバー
私の政治スタンスは左派である。右派が掲げる「小さな政府」は多くのブルシット・ジョブを生み出すと思う。右派は富国強兵を図るため費用が掛かる公的ケアを望まない。そのため官僚批判と民営化を柱とした政治運用が基本スタンスとなる。民営化をする為には多くの法整備が必要となる。法整備を行うと多くのペーパーワークが発生する。そうすると書類管理が正しくなされているか審査する第三者機関や委員会が必要となる。ここでも多くのペーパーワークが発生しその後もペーパーワークが増大していく事を想像する事は容易い。末端で契約書を交わす我々に突きつけられる夥しい量の特記事項文章に同意する日々で実感が持てるだろう。NTTやJRの民営化が行われる中か育った世代は「民営化=効率化」といった印象を植え付けられてきた。しかし、これが全くもって正しくないことはコロナ禍における保健所を始めとする感染症対策の貧弱さで強烈に感じる部分である。
「小さな政府」が生み出したブルシット・ジョブに支払うオーバヘッドの結果、cocoaを開発するのに73億円もの費用を要してしまった。99%の金額が仲介業者のペーパーワークに消えていった実情を目の当たりにしている。「小さな政府」の元では官僚の介在は減るが官僚的な業務は爆発的に増えている。政治主導を掲げながら誰も旗を振っていない状況はブルシット・ジョブと分断を増殖していく。
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