第６３回：社会経済構造とマインドセット
「なんでも出来る！」と信じている富裕層と「これしか出来ない」と感じている庶民、その違いはまず“マインドセット（信念）”の差から生まれていると言えます。しかしこれは決して「気合い」や「根性」だけの話ではなく、社会経済における構造的な要因、教育や人的ネットワーク、情報や経験へのアクセス格差なども密接に絡んできます。
1. 社会経済構造とマインドセット
1-1. リソース（資源）と教育格差
富裕層は幼少期から質の高い教育や多様な体験を得られる可能性が高く、選択肢そのものが多様になります。一方、庶民の中には経済的な制約が強く、学びや経験・人脈を広げる機会が限られる方もいます。その結果、「これしか道がない」と感じやすくなる。
• 情報へのアクセス：オンライン学習や海外研修、経営者や専門家とのネットワークなど、富裕層ほど多様な情報源・交流機会がある。
• 教育的サポート：個別指導や留学など、投資型の教育が受けやすいかどうか。
1-2. 環境が生む成功体験（ポジティブ・フィードバックループ）
人は一度成功体験を得ると「自分ならできる」という感覚を強め、そのエネルギーを次の行動に繋げることが多いです。富裕層は比較的早い段階で小さな成功を積み上げやすく、それが「なんでも出来る！」の発想へと発展しやすい。一方、庶民はチャレンジの機会に経済的制約が重なり、成功体験を積む難易度が高いと「やっぱり無理だ」と諦めやすくなる。
2. 「なんでも出来る！」と「これしか出来ない」の心理的要因
2-1. 信念（Belief）
バシャールが言うように「信念」が現実を形作ります。ある人は「お金の制約はあるが、解決策はたくさんある」と考え、行動やアプローチを柔軟に変えてチャンスを掴みます。逆に「家が貧しいから、学歴がないから」と強く思い込むと、自分でドアを閉じてしまい新しい可能性を遮断してしまう。
2-2. 自尊心・自己効力感
富裕層の中には恵まれた環境ゆえに、「自分ならやれる」「周囲が応援してくれる」という自己効力感（self-efficacy）を育みやすい人もいます。いっぽう、庶民側は失敗を恐れ「自分なんて…」とブレーキをかけてしまうことがある。
• 肯定的フィードバックの多さ：家族や仲間からのサポートや賞賛が多ければ自己評価が高まりやすい。
• 否定的フィードバックの多さ：逆に「無理に決まっている」「そんなの常識的に考えておかしい」という周囲の声が強いと、自己効力感が下がる。
3. 社会経済とは何か？ ─ 富裕層と庶民の違いを超えて
社会経済を大づかみに捉えると、「人・モノ・お金・情報が循環する仕組み」と言えます。その中で個人がどう動き、どの程度の恩恵を受けられるかは、以下の要因に左右されます。
1. 資本(キャピタル)
• 経済資本（お金・資産）
• 人的資本（自分の能力・知識・健康）
• 社会関係資本（ネットワーク・人脈）
• 文化資本（教養・価値観・センス）
2. 制度や文化のサポート
• 効果的な教育制度
• 起業・フリーランス支援制度
• 親のケアなど家族制度 …など
3. 経済的流動性（ソーシャル・モビリティ）
• 格差が固定化している社会では、「これしか出来ない」と思いこむ人が増えやすい
• 社会流動性が高いほど、「なんでも出来る！」というマインドを持つ層が増えやすい
4. バシャールの教えを踏まえた「可能性を広げる」視点
バシャールは「わくわくすることを行動指針にする」「今、この瞬間を生きる」などを提案しています。これを社会経済の文脈で実行するには、以下のステップを意識できます。
1. 小さな行動から「できるかも」を増やす
• まずは身近な趣味やスキルで「一歩」踏み出してみる。小さくても成功体験や喜びを得られれば、「なんでも出来る！」の感覚が育ちやすくなる。
2. 最適なサポートを求める
• 地域の助成金、教育ローン、オンラインコミュニティなど、意外なところに手を差し伸べてくれる制度やネットワークがある。自分で動いて情報を集めると意識も変わる。
3. “制限”を問う癖をつける
• 「これしか出来ない」が思い込みや慣習によるものなのか、客観的に検証してみる。対話や調査で第三者視点を取り入れる。
4. 社会に“還元”する視点を持つ
• ただ富裕層を批判するのではなく、自分がやりたいこと、好きなことが社会のどこかと結びつくと意識した瞬間、援助や共感を得やすくなる。
• お金やネットワークを活かして社会貢献している富裕層も多くいる。そうした人々と協力し合うことで社会経済の流れがよくなる。
5. まとめ─「富裕層vs.庶民」から生まれるバイアスを超えて
• マインドセットの違いは、単に個人の「考え方」だけではなく、教育・ネットワーク・社会制度といった構造的なサポートによって形成される。
• 「なんでも出来る！」という肯定的思い込みは、多くの成功体験・多様な資源へのアクセスなどが絡み合って生まれやすい。
• 「これしか出来ない！」という制限的思い込みは、経済的制約や失敗を許容しない風土・周囲からの否定的な刷り込みなどが原因になりやすい。
• ただし、バシャールの教えが示すように「わくわくすることに行動を起こす」ことや「客観的に自分の制限を見直す」ことで、個人ベースでも可能性を開いていける。
• 社会全体としては、教育や起業支援などの仕組みを整え、階層間の往来がしやすい環境を作ることが重要。そのことで、「可能性」を感じる人が増え、社会経済全体の活性化と多様な価値創造が期待できる。