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清々しいほどの波乱万丈なマネーサスペンス『藁にもすがる獣たち』

【個人的な評価】

2021年日本公開映画で面白かった順位:4/27
   ストーリー:★★★★★
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★★☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★★☆

【以下の要素が好きなら楽しめるかも】

韓国映画
サスペンス
金に目が眩んだ人間
誰が勝つのかわからない
流血

【あらすじ】

失踪した恋人が残した多額の借金を抱えて、金融業者からの取り立てに追われるテヨン(チョン・ウソン)。暗い過去を清算して新たな人生を歩もうとするヨンヒ(チョン・ドヨン)。家業を廃業させ、アルバイトで必死に生計を立てているジュンマン(ペ・ソンウ)。株式投資の失敗により、家庭が崩壊したミラン(シン・ヒョンビン)。

ある日、ジュンマンがアルバイト先であるサウナ施設のロッカーの中に忘れ物のバッグを発見する。その中には10億ウォン(約1億円弱)もの大金が入っていた。地獄から抜け出すために藁にもすがりたい、欲望に駆られた獣たちの運命は――。

果たして最後に笑うのは誰だ!?

【感想】

おおおお、これメッチャ面白い映画でした!!点と点が線でつながっていく人間ドラマ、ダークな世界観を生み出す役者の演技、そして惨いシーンを詰め込んだバイオレンスさ。見事なまでの波乱万丈なマネーサスペンスですよ、これ。

いやもう韓国映画すごいですね、本当にすごい。世界観の作り方がうますぎるんですよね。この映画、原作は日本の小説だそうですね。読んでないんですけど。。。(ちなみに、作者の人生もけっこう波乱万丈で面白いですw)邦画で作って同じような感じになったかどうかはわかりませんが、韓国映画だからこそのハラハラ感と臨場感、そして爽快感がありました。

この映画の何が面白かったのかというと、僕が感じたのは、話の前提となる部分がわかりやすかったのがいいポイントだと思うんです。つまり、いかにお金に困っているかっていうのを観客に伝える方法がうまかったとでも言うんですかね。

まず、基本的に夜のシーンが多くて暗い雰囲気なんですよ。これだけでシリアスな感じになります。そして、暴力シーンを入れることで、お金が理由で命が危険に晒されていることがわかるんですが、韓国映画ってこの暴力シーンがものすごく惨いんですよ。スプラッターばりに血もいっぱい出るからか、身の危険の感じ方がハンパないです。

そんな状況下にあると、もう登場人物たちってヤバイ状況に身を置いてるなってのがわかるわけで、そんな中で突如現れた10億ウォンですよ。お金に困ってなくても欲しいぐらいの大金ですよね。そんなものが、苦しい生活から抜け出したい人たちの前に出てきたら、そりゃ空腹の馬の前にニンジンぶら下げるようなものじゃないですかね。

こうやって「なんでみんなそんなにお金に必死になるのか」っていう動機づけがはっきりしているので、登場人物の行動すべてに一貫性があって、迷うことなく映画の世界に入り込めるんですよ。まあ、ヨンヒが借金をした理由がはっきりわからないってのはあるんですけど、もはや本筋が面白いので大して気になりません!(笑)

あと、この映画って構成も素晴らしいです。全部で6つか7つの章に分かれていて、それぞれの中で各登場人物のエピソードが流れていくスタイルなんですけど、時系列がバラバラなんですよ。普通だとちょっとわかりづらくなってしまう場合もあるんですが、今回の映画では、ここがまた面白いポイントになっているんですよね。話が進むたびに、「だから、これはこうなのか!」、「だから、こことここがつながっていくのか!」っていう発見が次々に出てくる。まさに、点と点がつながっていく爽快感さえ感じます。

そして、10億ウォンの持ち主が次々に変わっていきます。『るろうに剣心』の緋村剣心じゃないですが、「拙者は流浪人。また流れるでござるよ」とでもお金自身が言わんばかりに、10億ウォンがどんどん人の手を渡っていくんですよね。その過程でバラバラだった登場人物たちがつながっていき、観ている方は「え、結局10億ウォンって誰のものになるの?」っていう好奇心に支配されていくんですよ。。。

正直、予告は激しいシーンばかりを集めたものになっているので、ちょっと本編とは違う印象があったんですが、総じて面白いサスペンス映画なのでオススメです!


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