生きることのクソさと楽しさが織り交ざった『ウィーアーリトルゾンビーズ』
2019年公開映画88本中43位。
ダークなテーマにポップな表現。
非常に独特な世界観な映画だった。
ゆえに、好き嫌い分かれる映画だろうな(笑)
両親を亡くしたという4人の少年少女が、
たまたま葬儀場で出会い、
その場のノリで「どっか行かない?」と、
あてのない冒険の途中で音楽に行き着き、
黒ずんだ人生の中で前を向いて歩いていく話。
そんな暗い設定がありつつも、
8bitのゲームをモチーフとしたテロップや音楽が多くて、
見ている方はあまり暗い気持ちにならない。
イメージとしては、アートっぽい『MOTHER』や
『スタンド・バイ・ミー』な印象。
監督が同い年だからか、
その表現や作品の世界観にはどことなく共感できるところもあった。
今回、一番驚いたのは、子供たちのドライさである。
僕なんか、3年前に死んだばーちゃんのこと思い出して、
いまだにうるうるするぐらいウェットだから、
彼らのドライさはけっこう衝撃的でした(笑)
みんな両親を亡くし、
人生ハードモードのはずなのに、
誰もそれを悲観することなく、
「亡くなっちゃったもんはしゃーなし」と言わんばかりに、
子供らしい感情の表面化もない姿は、ある意味ゾンビそのもの。
また、4人それぞれの、
普通だったらあまり人には言いたくないようなプライベートな事情も、
本人たちは冷静に客観的に見ていて、
それ自体に特に興味ありません的な態度が、
何が彼らをそうさせてしまったんだろうと常に考えさせられる。
ある意味、現代の人間性の縮図かなと。
SNSが流行って誰もが繋がれる時代だけれど、
街に出れば、お互い無関心に道を歩くし、
隣人の顔すら知らないっていうこともしばしば。
そういう希薄さみたいなのを演出したかったのかな、、、?
正直、もっと子供らしいとこ見せなよと思ったけど、
女子はともかく、
男子3人は別のところで男の子らしさが出ていたから、
そこは微笑ましかった(笑)
いつの時代も女性は達観しているし、男子はバカなのだ。
根っこはダークな設定なのに、
ビジュアルや音楽がビビッドだから、
予告の時点ではポエムというか、
だいぶ抽象的かつ観念的な映画になるんだろうなと思ったけど、
話自体がシンプルなので、意外とわかりやすい内容になってて、
うまくバランスが取れていたと思う。
浮浪者バンドのところも
ディズニーっぽい雰囲気があって好きだったし。
こういう才能の塊みたいな映画を作れる人は、
本当に尊敬します。
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