手作り気球で国境越えるなんてギャグだろ、、、?『バルーン 奇蹟の脱出飛行』
【基本情報】
原題:Ballon
英題:Balloon
製作年:2018年
製作国:ドイツ
⠀ 配給:キノフィルムズ
【個人的順位】
鑑賞した2020年日本公開映画ランキング:59/98
⠀ ストーリー:★★★★☆
キャラクター:★★★☆☆
映像:★★★☆☆
音楽:★★★☆☆
【あらすじ】
東西冷戦下の東ドイツ。電気技師のペーター(フリードリヒ・ミュッケ)とその家族は、手作りの熱気球で西ドイツを目指すものの、国境までわずか数百メートルのところで不時着してしまう。
準備に2年も費やしたため、落胆を隠せないペーターだったが、家族の後押しもあり、親友ギュンター(デヴィット・クロス)と彼の家族も巻き込んで、再度気球作りに挑戦する。
しかし、ギュンターが兵役を控えているため、作戦のリミットは6週間と短く、さらに最初の気球不時着の件で秘密警察の捜査も迫っていた。
【感想】
これ、予想以上に面白かったです。そもそもの設定とスリリングな展開がツボでした。事実を元にした映画ではあるんですが、実は1982年に『気球の8人』というタイトルで映画になっていて、本作はそのリメイクだそうですね(僕は原則オリジナル版を観てから最新作を観るようにしているのですが、
『気球の8人』はhulu、アマプラ、TSUTAYAにもなく、残念ながら今回は未鑑賞です。。。)
さて、本編についてです。冒頭のテロップにもあったんですが、1976年~1988年の間に38,000人が亡命に失敗し、少なくとも462人が国境付近で亡くなったとか。それほど多くの人が西ドイツへの亡命を願い、命がけで実行したってことなんですよね。経済状況の悪かった東ドイツの人たちが、少しでも生活をよくしようと西ドイツへ行こうとするものの、国境を越えようとすると射殺ですよ。この理不尽極まりない状況、もはやその場にいた人にしかわからないことが多いと思いますが、当時の人たちのことを想うと、いろんな意味で胸が熱くなりますね。
でも、まさかその亡命を手作りの気球でやろうって人たちがいたってのがびっくりじゃないですか?だって、別に気球乗りとかじゃないんですよ?自分たちで生地を集めて、ミシンで縫ってつなぎ合わせて。ゴンドラの部分なんてよくあるカゴじゃないですからね?囲ってる部分、ただのロープですから。プロレスのリングみたいに。下手したらその間から落ちちゃうよっていうぐらいには手作り感満載です。
しかも、気球の色もカラフルで目立ちやすいし、生地を買うのだって足がつかないように家族が手分けしてちょっとずつ買うんですが、同じ生地を連続で買うもんだからお店の人にも怪しまれるし、国境を越える作戦にしてはお粗末すぎやしないかいって、ちょっと冷静な目で見ちゃうとそう感じてしまう部分はありました。
でもね、秘密警察が捜査を進めていくうちにペーター一家にたどり着つくんですが、彼らがだんだん迫っていく様子と、ペーターたちが気球の準備をして一刻も早く脱出しようとする様子が交互に映し出される演出はかなりスリリングでした!
しかも、一回失敗していることもあって、ラストも国境を無事に越えられたのかどうかがわからないんですよ。こんな最後まで気が抜けない仕上がりになってるのは、なかなか手に汗握る感覚を味わわせてくれます。
手作り気球で国境越えるってギャグなんじゃないかって思っちゃうんですけどね、そんな設定とハラハラするスリル満載の展開は楽しめますよ!
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