認知症の行く末を憂う同性愛カップルの葛藤を描いた『スーパーノヴァ』
【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:121/132
ストーリー:★★☆☆☆
キャラクター:★★☆☆☆
映像:★★★☆☆
音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★☆☆☆☆
【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
ヒューマンドラマ
ロードムービー
同性愛
認知症
【あらすじ】
ピアニストのサム(コリン・ファース)と作家のタスカー(スタンリー・トゥッチ)は、ユーモアと文化をこよなく愛する20年来のパートナー。
ところが、タスカーが抱えた病が、かけがえのない2人の思い出と、添い遂げるはずの未来を消し去ろうとしていた。
大切な愛のために、それぞれが決めた覚悟とは──。
【感想】
同性愛カップルと認知症っていう、ヒューマンドラマ系の映画によくある2つの設定を掛け合わせた映画でしたね。その時点で、感動的な要素は約束されたようなものなんですが、正直う~んって感じてしまいました。
<最初から最後までラストシーンのような雰囲気>
この映画、設定の割に進行がものすごく淡々としているんですよ。もう、スタートからラストシーンのような達観性があって。これがね、僕がハマれなかった理由なんじゃないかと。
こういう映画で感動するときって、物語の最初は幸せな日々があって、それが急に悲劇のどん底に落とされるっていう展開があるからだと思うんですよ。面白い物語のひとつの型として、最初と最後で反対の雰囲気にするっていうのがあるんですが、まさにそれですね。だから、この映画でも、例えば前半はサムとタッカーの幸せで元気な日々があって、途中からタッカーの病気が発覚して、とかだったらもう少し面白く感じたかもしれません。まあ、それだと従来の認知症映画と大した差別化ができませんけど。
とはいえですよ、前半のロードムービーのような作りから、後半の2人の本音のぶつけ合いに至るまで、ずっとラストシーンを観ているかのごとく、静かに淡々と進行していくから、感情もあまり動かなくてですね、、、設定の割にはちょっと退屈に感じてしまいました。
<ベテラン俳優2人の演技は圧巻>
今回メインの2人を演じたコリン・ファースとスタンリー・トゥッチ。私生活でも仲良しだそうですが、やはりベテランというだけあって演技はとてもよかったです。特に、終盤でお互いの本音がぶつかり合うところは見ごたえありましたね。
タスカーが、サムにずっと負担ばかりかけて申し訳なく思っていること。それならいっそ死んでしまおうかと思っていること。自分が自分じゃなくなる前の、今の自分をずっと覚えておいて欲しいこと。それらをサムにぶつけて、サム自身も「最後まで面倒を見る覚悟がある!抱きかかえてケツも拭いてやる!」って言うところは、愛を感じました。
<その他>
これ、設定があまり生かされていないなって思ったのが、タスカーの認知症。その描写が全然ないんですよ。少し体がおぼつかないシーンはありますが、日常生活は普通に送れていたので、過去の認知症を扱った映画と比べたら、ほぼ健康体。だからですかね、彼が病気で悩んでいるっていうのがわかりづらくて。。。あと、同性愛にする必要性もあんまりなかったように感じました。
設定はよかったんですけど、総じてピンとこない印象でしたね、個人的には。