人生の一コマ 第11話
前回の記事の続きです。
気持ちが前向きになった私は 日常を楽しむ事に夢中になっていた。
そんなある日
夫が思いも寄らぬ事を話して来た。
「僕もお百度参りをする。」
「一人ではさみしい(怖い)から一緒に来て。」
私は この人に一体何が起きているのか分からなくなった。
私は夫にお百度参りで起きた事は何も話していないし。
お百度参りを夫に進めた事もない。
お百度参りの事はもう触れる事はなかった。
私は夫に聞いてみた「何故 お百度参りをしようと思ったの」
夫は「君をみていたら僕もやってみたくなった。」
更に私は分からなくなった。
「ちなみに 子供達はどうするの」 と聞いてみた。
「二人の子は寝ているだろうから大丈夫だ。」
「下の子は君がおんぶすれば良い」
私は更に 分からなくなった。
自分が一人で怖いから‼️
夜 子供達だけを家に置き去りにしても大丈夫だなど私にはありえない。
「車で行くなら子供達と私は車の中で待っていればいいの」と聞いてみた。
すると
「僕と一緒にお百度参りをして欲しいんだ。」と 夫は真剣な表情だ。
この頃はもう真冬になっていた。
寒風の中
乳飲み子をおんぶしている妻を従えて何故ゆえ お百度参りをしたいと言うのか。
私は理解できなかった。
いくら考えても理解できなかったので
私は理解しようとするのをやめて
夫がイメージしている事が成し遂げられる様に協力する事にした。
かくして私は二度目のお百度参りに臨むこととなった。
お世話になる神社さんは 前回の神社さんに決まった。
100回数える為に束ねた50本の紐を持った夫は
私の前を歩いていた。
境内の木々の葉は全て落ち葉となり参道は綺麗に掃き清められており
あの時私を励ましてくれた枯葉さん達には会えなかったが
夫の後ろ姿を追いながら 夫婦でお百度参りを無事 成し遂げる事が出来た。
家へ帰る道、無言で車を運転する夫の目には時折 涙がにじんでいた。
夫は翌日から毎朝 自転車でお世話になった神社さんに
一人で参拝に出かけるようになった。
少しずつ夫の中で何かが起きているのがわかる。
力強い生命力が溢れている様にも感じた。