【俳句】原爆忌〜碧萃生
現世を生きて原爆記念の日
言はれねばわからぬ者に原爆忌
乗り遅れたる日の空や原爆忌
※推敲済
原句 乗り遅れたる日の空を原爆忌
僕は京都生まれだが、戸籍は広島から始まる。
広島に疎開していた父が、その後もしばらく本籍を移していなかったからだ。
疎開先は竹原市で、僕も幼い頃に一度だけ行ったことがある。
昭和20年8月6日の朝、父の姉、つまり僕の伯母は広島市内に用があると、仕度を急いでいた。
しかし、乗るつもりだった列車に乗り遅れてしまった。
仕方なく次の列車を待つことにする。
しばらくすると、駅員がやってきた。
広島市内に大きな爆弾が落ちて運行できないと。
もしあの時、あの列車に乗っていれば…
親戚が集まった時には、いつもそんな話になった。
その伯母も昨年亡くなった。
毎年この日をどんな思いで迎えていたのだろうか。
もう聞くことはできない。
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