日本酒「鬼ころし」は登録商標じゃなかった
巷では鬼滅の刃が大ヒットですが、今回のお題は「鬼ころし」。
鬼退治の話ではなく、日本酒の話です。
スーパーやコンビニに行くと、パッケージに「鬼ころし」と大きく書かれたパック入りのお酒が売っています。
でも「鬼ころし」って書かれたお酒、いろんなパッケージがありませんか??
この記事の見出し画像は私がスーパーで買ってきた「鬼ころし」です。
この二つが並んで陳列されていました。
Google検索してみたところ、、、
私がスーパーで購入した「鬼ころし」以外にも、たくさんあることが分かりました。
ここで、あれ??って思ったんです。
「鬼ころし」って、どこかの会社のお酒のブランド名だと思ってたけど違うんだ・・・。
こんなにいろんな会社から「鬼ころし」が売られていたら、「鬼ころし」という言葉だけでは、どの酒造メーカーが作った日本酒かわからないですよね。
そういう言葉は商標登録できないので、商標登録されてないはず。
と思って商標の登録状況を調べてたら、あるわあるわ。
これは、どういうことかというと、「鬼ころし」の言葉単独では商標権が取れないのでパッケージ画像やほかの言葉との組み合わせで商標登録しているのです。
「鬼ころし」単独で商標権をもっている企業はないわけです。
そこで、特許庁は「鬼ころし」という言葉についてどう判断しているのか調べたところ、見つけた中で最も古いのは昭和時代に次のように判断されているのがありました。
“「鬼ころし」の文字(語)は、(イ)きつくて悪酔いをする酒。わるい酒(広辞苑-岩波書店)、(ロ)味辛く酒精分の極めて強烈なる悪酒(廣辭林-三省堂)、(ハ)からくて強いだけで味の少ない清酒(酒の事典-東京堂出版)、(ニ)〔1〕粗悪で悪酔いする強い酒、〔2〕辛口の強い酒(大辞林-三省堂)等の意味を有することは、上記辞書等の「鬼殺し」の項により明らかであり、また、この種業界においても「鬼をも殺す強い酒」の意味合いにおいて一般に品質表示的に使用されている事実もある。”(昭和56年審判第9901号)
ということで、「鬼ころし」は日本酒についての品質表示だったんですね。
そのため、各社が「鬼ころし」の言葉を使えていたんです。
ただ、日本酒の純米、吟醸、本醸造のような種類ではなく、一見すると商標(他社の日本酒と区別するための目印)として機能しそうだったので、驚きでした。
なお、日本酒のブランド名として「鬼ころし」を使うのは問題ないですが、すでに多くの会社が使っている名称なので他社との差別化が難しい名称と言えます。
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