建築物や内装によるブランディング
株式会社マークルデザイン
ブランドディレクター・弁理士
潮﨑 宗
「建築物」や「内装」で唯一無二のブランディングができる時代が来たって知ってますか。
「えっ、建物とか内装がブランディングに関係あるの?」って思いますよね。でも、ちょっと考えてみてください。あのApple Storeは、たとえ看板を隠しても、お店の内外を一見して「あ、これ絶対Appleだ」ってわかりますよね。そう、あれが建築物や内装によるブランディングの力なんです。そして、意匠法の改正により、令和2年4月1日から、こうした「デザイン」を法律で守ることができるようになっています。
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意匠法改正で何が変わったの?
これまで意匠法では、製品のデザインやパッケージなどが保護の対象でした。でも最近の改正で、新しく 「建築物の外観」「内装」 も意匠登録できるようになりました。つまり、「建物そのもの」や「店内の雰囲気」まで、法律で守れるようになったんです。
例えば、スターバックスの店舗内装デザイン。落ち着いた木目調のテーブルや、特有の照明の配置。あの空間そのものがブランド体験を生み出してますよね。こうした内装デザインを登録することで、模倣を防ぎ、自社のブランド価値をしっかり守れる時代になっています。
例えば、ユニクロが2020年4月にオープンした「UNIQLO PARK 横浜ベイサイド店」は、建物のデザインについて「建築物の意匠」として登録されています。
また、くら寿司株式会社がグローバル旗艦店として位置付けている、くら寿司浅草ROX店の店内デザインについて「内装の意匠」として登録が認められています。
(1)UNIQLO PARK 横浜ベイサイド店の登録意匠(登録第1671773号)
(出典:J-PlatPatウェブサイト、ユニクロウェブサイト)
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(2)くら寿司浅草ROX店の内装の登録意匠(登録第1671153号)
(出典:J-PlatPatウェブサイト、くら寿司ウェブサイト)
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建築物や内装でブランディングができる理由
では、どうして建築物や内装がブランディングに役立つのかについて、お伝えします。
1. 見ただけでブランドを認識させる力
ブランド力の強い企業って、「その空間にいるだけで世界観に引き込まれる」って感じるときはありませんか。 例えば、高級ホテルのロビーや、ユニクロの店舗レイアウト。どこに行っても「これ、あのブランドだ」ってわかりますよね。こうした統一感がブランドの信頼感を高めてくれるんです。
2. 記憶に残る体験を提供する
人は「目で見たもの」や「感じた空間」を記憶します。おしゃれなカフェや、美容室の内装が心地よいと、「また来たいな」と思いますよね。この「空間そのものがブランドになる」っていう感覚が、今の時代にはとても大切なんです。
3. 競合との差別化
特に建築物や内装は、一度真似されると差別化が難しくなります。でも意匠法で保護されていれば、似たような店舗や内装を作られたときに「それ、ダメですよ」と言えるんです。これが、競争の激しい市場で自社のポジションを守る力になります。
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意匠法を味方につけて「空間」で勝負しよう!
今回の意匠法改正は、ただ建物や内装を守るだけじゃなく、ビジネスに新しいブランディングの武器を提供してくれています。
「デザインがいいね」って言われる空間を作り、それをしっかり意匠登録で守る。この流れが、これからの時代のブランディング戦略に欠かせないものになるはずです。
あなたの会社やお店でも、空間を活かしたブランド戦略を考えてみてはいかがでしょうか。