「BtoBマーケティング組織のつくり方」コニカミノルタジャパン 富家氏をお招きし、アクシス社内勉強会を行いました
こんにちは!
株式会社アクシス CS部の丹羽です。
アクシスでは、定期的に外部講師を招いてWebマーケティングの考え方やスキルを高めるために、社内勉強会を実施しています。
今回、コニカミノルタジャパン株式会社より富家 翔平さんをお招きし、「BtoBマーケティング組織のつくり方」についてお話いただきました。
このnoteでは、その勉強会の内容やポイントをレポートとしてまとめてご紹介していきます。
講師紹介
登壇実績
「コニカミノルタ」という社名は、多くの方が一度は耳にしたことのあるのではないでしょうか?
コニカミノルタジャパンは、日本における販売会社です。コニカミノルタジャパンはかつて営業・マーケティングに課題を抱えており、2017年から全社的に「営業プロセス改革×マーケティング推進」プロジェクトが開始しました。
コニカミノルタジャパンが抱えていた課題
当時コニカミノルタジャパンは、マーケティングからセールスまでを一貫して営業担当者がおこなっていましたが、その一方でデータが散在していたり、勘、経験、気合、根性によるアナログな営業スタイルであったといいます。
受注前と受注後でシステムも違えば、当時はCRM(顧客関係管理)やSFA(営業支援システム)もなく、エクセルで顧客管理をする状態。
マーケティングと営業ではそれぞれ抱える課題が異なり、そもそも課題に気づいていない状況でした。
プロジェクトで取り組んだこと3つのこと
マーケティングと営業の課題を解決するため、2017年から「営業プロセス改革×マーケティング推進」プロジェクトを全社として開始し、主に3つのことに取り組んだといいます。
営業生産性向上のための分業体制の構築
マーケティングによるリード創出
それらを支えるIT基盤の強化
組織の成果が見え始める
その活動の結果、全社で始まったプロジェクトにおけるマーケティング組織の立ち上げから3年6ヵ月で成果が数字としてもあらわれるようになりました。
事業部全体のパイプライン(売上見込み金額)
マーケティングにより創出したパイプライン(売上見込み金額)は、コニカミノルタジャパン事業部全体の25.6%を占める割合にまで成長!
これは、事業部全体の売上見込み金額が10億円であるとした場合、およそ2億5,000万円はマーケティングによって創出されたリードから生まれた商談とも言い換えることができます。
マーケティングが貢献したパイプライン割合は年々上昇!
3年半でパイプライン割合は年々上昇しており、投下したマーケティング予算に対する粗利も100%回収!
全社プロジェクトによってマーケティング組織でも大きな成果を出す結果となりました。ただし、成果を出すまでは決して楽な道のりではなく、富家さん自身も試行錯誤をして進めてきたことがセミナーを通して伝わってきました。
ここからはセミナーの重要なポイントを紹介していきます。
マーケティング組織として「何を」成果とするか?
新たにマーケティング組織が立ち上がり、「さあ!やっていこう」と意気込んだはいいが、会社として事業に貢献していない組織は認められるものではありません。
富家さんはマーケティング組織として、「事業に貢献すること」「それを目に見える数字で可視化し、報告すること」を成果としてチーム内で定義付けをしました。
経営層と関係者に理解し、納得してもらえることが大切で、体制構築においてもっとも重要だったのは数字で会話が出来ることだといいます。
組織の目的を設定してスタートしなければ、チーム内の方向性や取り組みに向けたモチベーションにも繋がります。物事を組織として動かしていくためには、チームの誰もが納得する目的を設定することが大切です。
コミュニケーションが超重要!
組織が違えば業務プロセスや、成果とするもの、そもそも言葉の定義が曖昧になっていることがあります。
マーケティングを推進させていくために、関係者とのコミュニケーションはマーケ組織から積極的に取りにいき、そのなかでお互いへのお願い事項を定期的に確認、交わすなど泥臭いコミュニケーションが重要です。
なぜなら、BtoBマーケティングは「営業との連携が必須」で、営業との連携なしでは成果を出すことは出来ません。
マーケ側が勇気をもって事業貢献にコミットすること、それを達成するための戦略と戦術を宣言することです。
営業が分かることが、マーケが分かるとは限りません。その逆も然りです。絶対にしてはいけないことは、相手に対して知らないことを馬鹿にしないこと。
最終的に社内の調整が最大の敵になるため、貸しは作れるだけ作っておくことも必要だと言います。
これは社内じゃなくても大切なポイントですよね。
何かを成し遂げるためには、周りの方の助けが必要であったり、こちらから手を差し伸べるマインドは常に持っておかなければなりません。
組織の役割を明確に
富家さんを含め3名からスタートしたマーケティング組織は、現在16名になり組織の規模に合わせて役割を明確に分けることをしたといいます。
経営層から「マーケティングで売上を出せ」と言われたものの、実は経営層の方もマーケティングのことをよく知らないことが多く、その一方で現場では、人不足という状況があります。
目標を達成するために「今どういう人が足らないのか」「どういった役割の人材」が必要なのかを明確にすることが大切です。
なぜならば、「今この人がこの役割を担っていて、成果を上げるために、この役割の人が必要なんです!」と明確に役割と目的が決まっていれば、たとえマーケティングを知らない方でも理解しやすくなります。
つまり、相手と同じ目線でコミュニケーションをすることが重要なのです。組織だけでなく、採用や育成、パートナー企業にお願いをする際も同様のことが言えますね。
マーケティングは粘り強く、泥臭く
マーケティング強化と脱アナログに向けて、新しいシステムやツールを導入したのはいいですが、営業側がデータ入力をしてくれないという問題が起こったそうです...。
もしあなたが、営業の立場だったらどうで感じるでしょうか?
「入力がめんどくさい」「なんでこんなことをしなければいけないのか」
...と思う方もいるのではないでしょうか?
実際に、この問題によってせっかく導入したシステムを使いきれずに心が折れた企業も多いそうです。
最大の敵は、新しいシステムやツールではなく「ヒト」であるとも言えるのではないでしょうか?
そこで、全社的にシステムが定着するようマーケ主催の研修を半年で73回実施。
さらに研修だけでなく、毎週木曜日に営業担当者がちゃんと情報を入力してくれているかをチェック。未入力や不足がある場合は、担当者へ一人ひとりメールを飛ばすなどをしたそうです。
そして、これが整うまでに2年間もかかったといいます!
世間的に、マーケティングは華やかな印象をもたれることもありますが、裏では地道な取り組みがあり、マーケティング組織が事業貢献するための強いコミットが行動として現れた部分だと感じました。
まとめ
このセミナーでは、富家さんが営業プロセスとマーケティング推進のためにどんな取り組みをし、その中で重要だと感じたことを学ぶことが出来ました。
私が強く印象に残ったポイントは、「事業貢献に対する強いコミットを持つ」という点です。
普通なら社内の組織同士の関係性が崩れるくらいなら取り組まないほうがいい。と避ける道を選ぶでしょう。
もし自分が立ち上げる立場に任命されたらと考えると、正直自信は持てません。(笑)
事業に貢献する成果を出すためには、周りとの連携はもちろん、理解や同意を得ながら進めることが必須です。
そのため、良好な関係性を維持するためには、お互い様の精神をもつことが求められます。
今回のセミナーを機に、プロジェクトを進めていくうえでこのポイントを意識して取り組んでいきたいと感じました。