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経営者が社員に望んだこと、社員が経営者に望んだこと


経営者であれば基本誰であっても、社員に何かを望んでいます。
一方で、社員も経営者に望むこと、期待することはあります。
しかし、それは中々一致するものではないかもしれません。
その違いをどのように認識するといいのでしょうか?

経営者として私が最初に社員に望んだことは?

それは通販という仕事の面白さ、魅力を社員たちにどうにかして伝えたいと望んでいました。

この話は以前の記事でも綴りました。

通販の楽しさをもっと分かりやすく伝えなきゃ、
その中で自社がどんな通販をして、どんなお客様を対象に、自社の何を特徴にするのか?
そうしたことをきちんと伝えてないのがいけないのかな、なんて感じ始めていました。
(数年後にこの考えは大きく変わっていくのですが、それ別の機会に)


元々特に志望していたわけではなく飛び込んだ通信販売の世界。

しかし、続けていく中で、
・商品開発が自分でできる。
・広告、クリエイティブを自分でできる。
・データを分析する。
・結果が直ぐに分かり、且つその改善を実行できる。
・ある種ギャンブルにも似た、のるかそるかのスリル。
こうしたところに魅せられ、天職とも思った通信販売の面白さを
社員にも同じように感じてほしいと願いました。

時代的にも、今のようなECが発展する前の時代。
まだまだお買い物はお店で実物を手に取って、店員さんと話しながら買い物をする時代。
通販業界を志望する学生など超少数派の時代でした。

そしてそれを実行しました。
普段はあまり熱弁をふるうことなどないのですが、
こと、通信販売の面白さだと、熱く語ることが多々ありました。
通販の仕事にやり甲斐や未来を感じてもらうことが、
仕事のモチベーションになり、
今でいう会社組織へのエンゲージメントに繋がるはずと信じていたのです。

しかし、

結果は期待したほどのものではなかった…

もちろん、聞く耳はもってもらっていました。
なぜなら、社長が熱く語っているからです。

通信販売の会社の求人を見て、
通信販売の会社と分かって就職した人たちです。
当然関心も他の業種の人よりはあります。

反発や否定があったわけではありません。

でも、自分が期待していた反応ほどではなかったのです。

社員が望んでいたこととは?

ある時管理職のひとりが私に話しました。
「みんなこの仕事が好きなことは確かです。だけど、社長が思うほど好きなわけではないですよ」と。

「えっ!なんで???」と私。

「だって、仕事だから、です」と管理職。

率直な感想は、「なんで、どうして、噓でしょ、そんなはずない」といったものでした。
だけど、
よくよく考えてみると、
「そりゃそうか…」と感じました。

私自身、もともと就職するときにも、転職するときにも
「天職をみつけて、熱い思いをたぎらせて仕事をするぞ!!!」
なんて思っていなかったですから。
「なんか楽で給料よさそうな会社ないかな~」
なんて考えてましたから。

忘れてたんですね。そんな本音。

動揺を隠さず、管理職に尋ねた会話はこんな感じだっと思います。
「うちの会社のこと、嫌いかな?」
「いいえ、基本好きですよ、みんな」
「ほんと?えっ、どこが好きなんだろう?」
「残業がなくて、休日出勤がなくて、有休とりやすいからみたいですよ」
「そこかよ!」

私が社員の時に大切にしていたこと

ちなみに私は
残業大嫌い、終業時間になったら速攻帰る派です。
有休も、基本取れるなら取っとく派です。
多くの労働者が長年血と汗を流し、多くの苦労を重ねて勝ち取った権利。
「ありがたく享受しなきゃ先人たちに申し訳ないでしょ」
なんて言葉を社員時代は発してたくらいです。

ラクする気満々ですね。

だから、ある意味この理由に反論はありません。
むしろ、
「そりゃそうだよね!」
と思ったのが正直なところでした。

だから素直に受け止めました。

私が社員の時に最も大事していたことと同じだと気付いたからです。
それが社員の望みなら、そこはきちんとやろう。
私からきちんと言葉で発しよう、と。
でも、この言葉を付け加えることも忘れません。
「定時で帰れて、有休をとっても、成果は変わらずにあげよう」
「むしろ、労働時間を減らしながらもより高い業績を目指そう」

実際に言葉に発してみると、
社員の反応はよかったんです。
付け加えた言葉に反発があるかなとも思っていましたが、
むしろ逆の反応でした。
「もちろんです。働く時間減らして成果が出せなかったら、サボりですから」
「むしろ、成果を出せば、残業もなくて有休も気兼ねなく取れるんですよね、頑張ります!」

涙が出ましたね。
まずは、これでいいんだと気持ちを新たにしました。

うちの会社が社員に求める人物像は
「相手の立場に立って物事を考え、それをビジネスに活かす人」です。
いわばお客様視点で、マーケットイン発想を大事にしています。

人事労務面では社員視点を大事にしなければ、一貫性が損なわれてしまいます。

まずは残業がなくて有休が取りやすい会社を目指す。
通販の面白さはその次でよし。
としてみると、
社員も共感してくれるようになりましたし、
私の目から見ても、その通りになって来たぞ!という手応えを感じられるようになりました。

社員が心から望むことを大事にすると、それは自然と社風になる

数年経った後、長年来てもらっているコンサルタントが、
若手社員のワークショップで自社のいいところを質問したことがありました。
「残業がない」
「休日にきちんと休める」
「有休が気軽に取れる」
といった声が憚られることなく上がったと聞きました。

「自分が気軽に有休を取る分、他の誰かが取るときには協力やフォローをしっかりやります」
なんて言葉もあったそうです。

通信販売という仕事そのものも、
各自が自分なりに楽しみを見出しつつ、時に苦労もあるけど、
それなりのやりがいをもって取り組んでくれているように感じています。

社長として自分の熱を伝えることも大事ですが、
まずは社員の願いを第一にすることが、
結果として、自分の熱が伝わることに繋がるのだなと思うようになったという話です。

急がば回れではないですが、
そうすることが、ラクしてより高い成果を得られることもあるのだと思っています。
そして、
こんな状態が社長も社員も自然体に、
ちょうど良い感じでスキルとモチベーションを
発揮できる状態じゃないかなー、
なんて思ってるわけです!

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