トップが目先の必要に迫られた事ばかりに取り組んでいたら? その2
社長はビジョンを持って会社の長期的な戦略を考えるのが仕事です。
しかし中小企業の社長となると、どうしても目先の現実的な対応に追われてしまいます。
まさにタイトルの通り、目先の必要に迫られた事に取り組んでばかりになりがちです。
しかし、それはそれで地道に続けていれば悪いことばかりでもないぞ!というお話です。
よろしければ先週のその1の記事もご覧くださいませ。
必要に迫られた対応が積み重なると???
もうひとつ大きな発見がありました。
社員の要望(≒お客様や取引先の要望)を必要に迫られたことと対応していると、
徐々に求めるいる傾向というか、範囲が分かってきます。
マーケティング的に言えば、
ターゲットのニーズやウォンツがつかめてペルソナ像の解像度が上がってきた、
とでもいいましょうか。
ターゲット像がはっきりしていると、
こちらの対応も的確化してきます。
と同時に、要望とそれに対するこちらの対応についてのでデータが増えてくるので、
次にどんな要望が来るかの予測がつくようになります。
こちらの対応に対しての社員の反応も様々ですし、
実際の結果としても上手くいったもの、行かなかったものと出てきます。
これもまたデータとして蓄積されます。
そうすると、こちらの対応にも選択肢が増えてきます。
要望に対して、目先の対応策と先の先を見据えた対応とかです。
目先の解決を優先すれば、目先の問題は収まるが、
後々に別の課題として再登場してくる予測とか、
目先の解決は我慢して、先々に問題が大きくならない対応策も考えるとか、
私の観点も増えた結果、対応策も何通りかのプランが考えられるようになります。
こうした対応を社員と一緒に考えることで、社員の観点や知識も広がります。
元々必要に迫られた事とは、今日どうする、明日どうする、といったものに対して
今どうするかを考えていたわけですが、
社員も私も、このままだと先々こうなるかも、後々トラブルになるかも、といった具合に、
必要に迫られたと感じる時間軸がどんどん長くなっていったというか、
先を見据えて今のうちにという必要に変わっていったという感じです。
「今のままだと、後々お客様からこんなクレームが増えてきそうですがどうしますか?」
「この取引形態のままだと、先々取引先が値上げしてくるかもしれませんがどうしますか?」
「このままだと、若い社員の意識がこんな風に変わってしまって会社の活力が失われませんか?」
といった具合です。
真下の足元にある必要性を見ていた視点が、
遥か前方にうっすらと見える必要性についてへと視野が広がったとでもいいましょうか。
穴は深く掘れ
通販業界で成功した会社に「やずや」があります。
ここの創業者の方が語った言葉に次のようなものがあります。
「穴は深く掘れ、深く掘っていれば自然と直径も広がってくる」
元の発言がどういった経緯かは存じ上げないのですが、
深く掘るか、広く掘るか悩むなら、まずは深く掘ることに専念しろ、
という意味合いで私は受け取っています。
この言葉に置き換えるならば、
足元の必要に迫られたことにきちんと対応しろ、足元に対応していれば自然と先が見えるようになってくる」
と言えるかもしれません。
対応に対する自信と信頼性
先々の未来の話は自由に語れる楽しさもありますが、
実現性やリアリティはあいまいになりがちです。
所詮先のことはわかりませんし、来年のことを言えば鬼が笑います。
未来をイキイキと語ること自体はよいことだと思いますが、
今や現実のリアリティを度外視してばかりでは、
聞いている方からすれば、「またか」となってしまいます。
足元の必要に迫られたことにきちんと対応して、
その対応で社員とともに考え、知恵をしぼり、汗をながして対応する。
すべてが上手くいくわけではないけども、足元な分成功率は高いですし、
関係性の質は間違いなく高まります。
こうして築いた関係性の上で、先々の話、未来の話を語った場合の方が、
その精度についても、何より双方の納得感においても、
格段に高いレベルで話ができると私は思うのです。
めぐりめぐって
今社員たちの様子を見ていて、
また話を聞いてみて思うのは、
社員はそれなりに通信販売の仕事を楽しいと思ってくれている。
仕事は楽しくした方がいいと感じてくれている。
張り詰めた緊張感のあるオフィスよりも、
笑顔で話し合い、笑い声が聞こえてくるオフィスで働きたいと思ってくれている。
まあ、なんだかんだ10年以上前に願っていた、私の理想の組織は結構実現できたじゃん!
と思っているわけです。
(※諸説あります。筆者の個人の感想です)