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金銭感覚の話

金銭感覚の違い、
これは家族関係や友人関係においてもギャップがあり、
揉め事になりがちな話なのはよくある話だと思います。
そして、
金銭感覚の違いというのは、経営や組織の問題でも意外と揉め事の種になる話でもあります。

打ち合わせに使うカフェはどこ?

カフェで取引先と打ち合わせというのは、平時であればよくある話です。
打ち合わせができるスペースさえあればどこでもよい、という人は
ドトールやエクセルシオールを使います。
一人当たり数百円の費用です。

人が多すぎないとか、席の間隔が広めな場所の方がよいと考えると
ルノワールとか選ぶかもしれません。
そうすると一人当たり1000円でおつりが来る感じの費用でしょうか?

いや打ち合わせといえども、私が行くのなら一流ホテルのラウンジじゃないとね。
セルフ式のカフェ?そんなところで私に打ち合わせさせるのか!
なんてことになると、
一人当たり数千円の費用になります。

別にどれがいいとか悪いの話ではありません。
それぞれに意味がありますし、目的によっても異なります。

しかしその意味や目的はさておき、
高いカフェばっかり行くなあ、とか
安いからと言って騒がしいところばかり使うなあ、
なんて心の中で思うことはあったりするわけです。

会社のインテリアって?

色んな会社を訪問していると、
カッコいいオフィスに出会うことはままあります。
エントランスの家具や生花、
応接室のデスクや椅子、
どれもおしゃれでセンスがよいと、
素直にすごいなと思う気持ちもあれば、
羽振りいいなあ、なんて思ってしまう自分もいます。

一方でいわゆる普通の実用性重視という会社もあります。

これもまた別にどちらがいい悪いという話は主題ではなく、
色んな会社があるな、
社長さんや誰かの好みの違いなんだろうな、と思うわけです。

こういった話を、自社の幹部同士で話し合うと、
実は結構その人の個性が見えてくるなと感じます。

無駄遣いか、それともそこに価値はあるのか?

「ビジネスの打ち合わせでホテルのラウンジなんて勿体ないよね。」
「いやいや、どんな場所を選ぶかで、気持ちとか想いとか出るでしょ」

「仕事の打ち合わせを混雑したセルフ式カフェでやるなんてセキュリティが甘いよ」
「そんなたいした打ち合わせでもないのに、なにカッコつけてんの?」

「おしゃれなオフィスで仕事するとやっぱりモチベーションあがるよね」
「え~、そこに使うならもっと使うところありそうだけどね」

こんなやり取り、あげればキリがありませんし、
そもそもそんな大層な会話ではないですが、
そんなちょっとしたやり取りでも、人は何かを感じ取ったりすることもあります。
また何も感じないというのもひとつの価値観、というか金銭感覚。

何かの是非を感じる、或いは判断するというときに、
その人が根底で持っている金銭感覚というのは、
実はこうしたところで日ごろから感じている気がします。

経営者の金銭感覚?

経営者は会社の予算を決める上で、様々な判断をします。
当然、会社の未来、現状の課題、過去の失敗を鑑みて、
そして使える金額の上限や効果を見通して判断します。

一方で幹部、社員からみた時に
その判断を100%納得して支持してくれる場合もあれば、
大きな批判や不満が生じることもあり得ます。
声に出る場合もあれば、聞こえる声としてはあがなくとも
皆の心で叫ばれるなんてこともあるかもしれません。

そんな時に実は、
普段の仕事で見聞きしたり、感じたちょっとした金銭感覚がベースになって
起こるなんてこともありそうだと思うのです。

私の競馬好きは社内では皆知っていますので、
もしかしたら、ギャンブル好きの浪費家と思われている可能性も否定はできない。
(実はそれ以外は結構ケチなんですけどね)

社員の金銭感覚は?

私は「自分がラクできるように」という基本的考え方もあって、
幹部社員、一般社員への権限移譲を積極的に推進してきた方だと自認しています。
これは、すごくざっくりと言うと、
お金の使い方を任せてしまうということです。
経営に影響する大きな予算は一定のプロセスを経て行いますので、
そうそう大きな事故が起きたことはなかったですが、
その分小さな「あれ?」はありました。

「会食にそんな高いお店使ったの?」
「そんなものを買ったの?」
「そこまで出張する意味あるの?」
「もっと安いものでいいんじゃない?」
と思うこともあれば、
「もっと気の利いたお店に招待すればいいのに」
「もっと良いもの買えばいいのに」
「なんで現地に行って話してこないの」
「そんな安価なものじゃ効果でないよ」
なんて思うこともありました。

社員それぞれからすれば、それぞれが相応の検討をして判断したわけですから、
それを否定はしないのですが、
その使い方に「もやもや」してしまうことはあったのです。

そして私のリアクションに対して、「もやもや」する社員もいたはずです。

こうした「もやもや」がいつの間にか積み重なって、
巡り巡って社内の揉め事だったり、経営者への不信感だったり、
社員への「苛立ち」になってしまったなんてこともあったわけです。

今となって振り返ってみると
会社予算の使い方、となって初めて「問題点」として認識したわけですが、
日常の仕事の中での小さな金銭感覚のギャップにその芽はあったなと思うこともあります。
もっと言えば、雑談で聞いた世間話からも伺い知れたものもあったなあ、なんてこともありました。

金銭感覚について社員に聞けます?

実際に社員と改まって金銭感覚についてヒアリングを出来るか?
というと、
実際には難しいなと思います。
プライバシーに関することでもあるので、
根掘り葉掘りというわけにはいきません。

ちょっとした雑談や飲み会の席で感じることもあります。
しかし、そうした無防備な時のちょっとした会話の切れ端を切り取って、
この人の金銭感覚は危ない!なんて決めつけも出来ません。

会議でする話でもないし、
わざわざ社員アンケートを実施するとなると流石に大げさすぎます。

こんな時に
ダイアログっていいな、と思うのです。
心理的安全性の基盤があってこそという前提はありますが、
ダイアログの時間に、
「この買い物高いと思う、安いと思う」なんて話をダイアログして、
経緯や背景なども踏まえて、話をしあって、
それでいていい悪いと結論もなく、
「へぇー、そんなことがあったんだ」
「えっ?そんなこだわりあったんだ」
なんてことを知って関係性を作っておくと、
それぞれの金銭感覚を伺い知れることができるのです。

またその感覚についても
いい悪いではなくて、
そこに至る背景、例えば家庭環境や親の教育方針、
学生時代の経験などから、
「そりゃ、そうなるわね」
と一定の理解が出来て、
異なる意見でも寛容さを持つことが出来たりすしたのです。
これって、
すごく大きいと感じています。

小さなことの積み重ねなんですが、
こうした小さなことの積み重ねが、
会社の予算の使い方に対する理解度、納得度に繋がるんだな!
というのが、
私が経営してきた中での実に大きな成功体験になっています。

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