第74回びわ湖毎日マラソン観戦記
先週日曜日の東京マラソンに引き続き、伝統の第74回びわ湖毎日マラソンをテレビ観戦しました。観戦記を残します。
MGCへの最終選考レース
今年9月に行われるMGC(マラソン・グランド・チャンピオンシップ)ファイナルに進出する選手を選考する国内最後のレースということで、実績のあるベテラン選手中心にエントリーされていました。
レースは、30㎞までは、1㎞3分1~2秒のLAP設定だったようですが、スタートから5㎞くらいまでは、ペースメーカー役の選手が作り出すペースが安定せず、走りにくそうにしている選手もいました。海外招待選手の中には、2時間5分台のベスト記録を持つ選手もいて、このペース設定では物足りない様子でした。
30㎞を過ぎて、ペースメーカーが外れてからは、外国人選手同士の牽制や揺さ振りがはじまり、レースとしては面白い展開になりました。日本人選手のタイムに関心が集まっていたので、優勝争いの放映が後回しになったのはまあ仕方ないでしょう。前半がスローペースだったものの、30㎞以降挽回し、最終的な優勝タイムは2時間7分台まで盛り返しました。
勝手に寸評①~日本人最高は山本憲二選手
30㎞を過ぎてからもトップ集団で頑張り、日本人最高の7位に入った山本憲二選手は2時間8分42秒の自己ベストを出しました。既にMGCへの参加資格は得ており、今回はマラソンでの勝負経験を積むことが目標とのことだったので、世界で戦う為のレースを体験するという意味では、非常にいい経験ができたのではないかと思います。
山本選手は東洋大学出身で、二代目山の神、柏原竜二選手とは同学年。山本三兄弟(末弟は東洋大学の山本修二選手)の長兄ですが、マツダ入社後は地道にマラソンに取り組み、着実に実力をつけてきました。
今回も可能性を感じさせる力走で、MGCでは、日本記録保持者の大迫傑選手、前日本記録保持者の設楽悠太選手、2018アジア大会マラソン金メダルの井上大仁選手、2018福岡国際マラソン優勝の服部勇馬選手と共に、マラソン日本代表の有力候補に名前が挙がることでしょう。
勝手の寸評②~サブテンを達成した川内選手
私は、史上最強の公務員ランナー、川内優輝選手のファンであり、その独自の競技姿勢と走りを尊敬しています。
純粋な素質とか、記録で彼を上回る選手は日本国内にもいますが、どんなに苦しい状況になっても最後まで諦めず、全力を絞り出して粘り切れる能力に長けた選手は彼以外いないと思います。そして確実に結果を残しているのが凄い。今日のレースでも、集団の中でオーラを感じました。
ペースメーカーが外れた30㎞の勝負所で先頭集団から離されたものの、いつものように苦しい表情をしながら、後半粘って追走し、2時間9分21秒と通算13回目となるサブテンをマークしました。
全盛期を過ぎた感はあるものの。彼はマラソン界の常識を覆した革命的選手として記憶されるべきです。言動やスタイルが型破りなので、 称賛と中傷が相半ばするきらいがあるものの、きちんとレースで実績を出してきた結果を評価すべきだと思います。
4月からはプロ転向するので、公務員としてのマラソンはこれがラストレースになります。彼にとって、走ることはそのまま人生なのでしょう。近い将来、一線を退いたとしても、市民ランナーとして長く走り続けるだろうなと予測させます。引き続き応援したいと選手です。
勝手に寸評③~その他
今回のレースで、新たに山本浩之選手と河合代二選手の二人がMGC出場資格を手にしました。
もともとマラソンでの実績がある山本選手は、トップ集団から遅れてしまった後をうまくまとめました。また、今季急成長中の河合選手は、35㎞以降のスタミナに課題を残しましたが、積極果敢にトップ集団に食らい付いたのは見事でした。
長距離・マラソンの名門、旭化成勢からは、リオ五輪代表の佐々木悟選手、本田匠選手、市田宏選手が出場したものの、MGC出場基準には届きませんでした。好選手が揃う旭化成からMGC進出者ゼロというのは、かなり意外な結果です。奮起して結果を出して欲しいものです。
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