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他人指向型という生き方

昨日書いた記事は、湧き上がってきた激情に流されてしまい、手前勝手な意見を書き殴ってしまいました。今朝起きて読み返すと、ネガティブな雰囲気が漂っていて、自分でも不快でした。本日はトーンダウンして、冷静に筆を進めようと思います。タイトルは『他人指向型という生き方』です。

「他人指向型」で生きている

本日のテーマは、今夜から鋭意読み進めている、谷川嘉浩『人生のレールを外れる衝動の見つけ方』(ちくまプリマー新書2024)から題材を得ています。

第一章の末尾に付与されているコラムの中で、社会学者、デイヴィッド・リースマンの「他人指向型」は以下のように紹介されています。

大衆消費社会が到来した近代アメリカにおいて、常に他人の行動を気にして自分の行動を編成する「他人思考型」が支配的になっている。レーダーで探知するように、同時代のトレンドや「正解」を捉え、それに自分を合わせていこうとする性格です。

P54-55

私は、典型的な「他人指向型」です。他人の眼や噂を気にする性格であり、自分が扱われる序列に敏感であり、人から注がれる悪意や蔑みに対する反骨心がかなり強いタイプです。これは認めたくはない事実であり、自分の狭小な本性と向き合うのは甚だ不快で苦痛なのですが、きちんと自覚しておかないと、適切な行動が取れません。自分のスタイルを自覚しておくことが出発点と思います。

競争に身を晒さない生き方の模索

まだ前半も前半ですが、かなり面白く読み進められています。第一章には、自分を数値評価や競争にさらす行為という表記があり、私の目に止まった部分でもあります。

自分を「売り物」として扱う生き方ばかりしていると、どうにも惨めな気分になってくる。

P41

私が会社員生活の後半に感じていた正体不明のモヤモヤ感を、この表現で見事に言語化して貰えた爽快感があります。他人の評価に完全に依存しないで生きていくのは難しいですが、「他人指向型」の私は、競争を煽られ、人間性や人材価値の優劣を判断されるような環境からは身を引いておいた方がいいのだと思います。それを敗北主義と呼ぶのであれば、不本意ではありますが、そう受け取られることを甘受せざるを得ません。

脱成長

ネガティブなことばの響きが漂い、しばらく使うことを封印していた「脱成長」の意味するところも、もっと深いレベルで理解したいという気になりました。こういう手垢の付いていることばを聞くと、論点を丁寧に追いかけず、自分が抱いているイメージ先行で理解を進めてしまい、不用意な発言をしてしまいがちです。

SNSでの炎上や罵り合いは、文意を短絡的に鵜呑みにした誤解がスタートになっているケースが多いことでしょう。持っている知識や読解力や経験値には個人差がある以上、どんなに適切な言語を用いて説明を試みても届かないメッセージはあります。「他人指向型」の性格の弱点を補う為には、他人の威圧的な意見に安易には流されない、自分の理解違いにはいち早く気付いて修正できる、といったリテラシーを磨くことも大切なのだと思います。

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