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身を任せることは負けではない
後1日仕事を終えれば、大型連休後半の四連休がやってきます。トラブルで、部屋のWifiが使えなくなっており、パソコンから記事投稿ができないため、スマホで書いています。2020年のコロナ禍真っ只中のブライアン・イーノのインタビュー記事を読んで、これからの身の処し方を考えるのに大いに参考になりました。『身を任せる』をテーマに思ったことを書き残しておきます。
交わることのなかったアンビエント・ミュージックの巨星
ブライアン・イーノ(Brian Eno 1948/5/15-)は、アンビエント・ミュージック(環境音楽)の概念を確立した英国出身の音楽家です。ロキシー・ミュージックのメンバーとしてデビューしてから既に50年以上のキャリアを誇り、多くのアーティストに影響を与えてきたレジェンドです。まもなく76歳を迎える現在も創作のエネルギーは衰えることなく、作品を発表し、プロデュースを手掛け、各種プロジェクトを仕掛け続けています。
私はその名前こそ知っていたものの、彼の作り出す音楽を熱心に聴いたことはなく、現在まで直接的に影響を受けたことのなかったアーティストでした。彼と彼の仕事に興味を持ったのは、本当に些細なことで、このインタビュー記事に辿り着いたのも偶然です。ただ、彼の話には、今の私が欲している話が随所に詰まっていて、大いに感銘を受けました。今後、フォローしていきたいと思いました。
身を任せる(surrender)
インタビューは、新型コロナウイルスが世界中で猛威を奮い続け、ロックダウンなどの施策も行われていた2020年10月に行われています。
それまで超多忙な日々を送っていたイーノは、コロナ禍によって時間の余裕を得たことで、純粋に音楽を楽しむ充実した時間を過ごせた、と語っています。世界中のラジオ局にアクセスして、それぞれの音楽をリスナーとして楽しむ貴重な経験が出来たことを喜んでいる様子が微笑ましいです。
中盤以降は抜群に面白く、舌鋒もどんどん鋭くなっていきます。資本主義への批判やSN Sへの問題提起も的を得ています。私が、特に強く感銘を受けたのが、アートについての論考で、いつでも逃げ出せるとわかっているから、安心して身を任せることができる、ということを語るのにイーノが、「surrender」という単語を充てていたことでした。
私は、surrenderという単語には「降伏する」「屈する」といったネガティブに響く日本語を充てて捉えていましたので、暴力的なニュアンスを帯びたことばだと感じていました。イーノがこの単語を使った意図は、前後の文脈的から考えて「身を任せる」という日本語訳がぴったりで、訳者の方の選択は極めて的確だと感じました。
「身を任せる」は、私が個人的に好きな表現であり、好きな行為であり、好きな状態です。「身を任せる」をテーマにした日本語の楽曲には、沢田研二『時の過ぎゆくままに』(作詞:阿久悠、作曲:大野克夫1975)、テレサ・テン『時の流れに身をまかせ』(作詞:荒木とよひさ、作曲:三木たかし1986)、美空ひばり『川の流れのように』(作詞:秋元康、作曲:見岳章1989)といった名曲もあります。
イーノは、人間は、「身を任せる」「身を委ねる」という行為が好きなのであり、身を委ねることは負けを意味しない、違う形で世界と繋がるための選択なのだ、というメッセージを仕事にこめている、という趣旨の発言をしています。素敵な考え方だなと思いました。
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