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第76回びわ湖毎日マラソン 観戦記

2021年2月28日に開催された第76回びわ湖毎日マラソン大会の観戦記です。

伝統のレースのラストラン

長年親しまれたびわ湖毎日マラソンは、今回が琵琶湖畔での最後の開催となり、来年以降は大阪マラソンに統合されることが決まっています。多くの名選手が走り、名勝負を繰り広げてきた歴史と伝統のレースが幕を閉じるのは残念です。

招待選手に名を連ねていた東京五輪代表の中村匠吾選手は故障で不出場となりましたが、7名の国内招待選手、5人のペースメーカーを含む369名のランナーの参加で争われました。

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レース振り返り=驚きの日本新記録

レースは、曇り、気温7.5℃、微風という恵まれたコンディションの中、滋賀県皇子山陸上競技場を9:15にスタートしました。

富士通の鈴木健吾選手が、2時間4分台の日本新記録で優勝しました。前半は集団の中で淡々とレースを進め、36㎞の給水ポイントで一気にペースアップする勝負勘も見事でした。35-40㎞は、14分39秒という驚異的なラップを刻み、ワールドレベルで通用する走りを見せつけての価値ある勝利でした。

35㎞以降1㎞毎のLAP情報が伝達される度に、解説を務めた花田氏・高岡氏と実況アナウンサーが驚きのあまり無言になってしまうくらい物凄い走りでした。ラスト2.195㎞は、6分16秒でカバーしています。

2位で粘るマラソン二回目の土方英和選手を、残り約6㎞で1分以上も引き離す圧巻の走りでした。2時間4分台の記録はアフリカ出身選手以外では初の快挙です。陸連の瀬古リーダーも満面の笑みで興奮気味でした。

5位までが2時間6分台、15位までが2時間7分台、28位までが2時間8分台、42位まで2時間9分台と”サブテン”記録続出となりました。伝統の大会を、歴史的な超高速レースで締め括れたのは良かったと思います。

レース結果のまとめ

1)2時間04分56秒 鈴木健吾(25=富士通)=日本新記録/大会新記録
2)2時間06分26秒 土方英和(23=Honda)
3)2時間06分35秒 細谷恭平(25=黒崎播磨)
4)2時間06分47秒 井上大仁(28=三菱重工)
5)2時間06分51秒 小椋裕介(27=ヤクルト)
6)2時間07分12秒 大六野秀畝(28=旭化成)
7)2時間07分18秒 サイモン・カリウキ(24=戸上電機製作所)
8)2時間07分20秒 菊地賢人(30=コニカミノルタ)
9)2時間07分26秒 関谷賢人(26=トヨタ紡織)
10)2時間07分27秒 川内優輝(33=あいおいニッセイ同和損保)

勝手に寸評

快記録をマークした鈴木選手は、富士通所属の25歳。愛媛県の宇和島東高校から神奈川大学へ進学し、一年生から四年連続で箱根駅伝に出場しました。三年生の箱根駅伝では花の二区で区間賞を獲得、台北ユニバーシアード・ハーフマラソン日本代表(銅メダル)、四年生の全日本大学駅伝では最長区間の8区アンカーを務めて神奈川大学優勝の立役者となるなど、学生トップランナーとして活躍し、将来を嘱望されてきた逸材です。

2020年シーズンでは、スピードを磨いてトラックの10000mで27分台の自己新記録を樹立し、2021年ニューイヤー駅伝では6区で区間賞を獲得して富士通の優勝に貢献するなど、着実に力を伸ばしてきました。小柄ながらバランスの良い走りでロードに強い選手です。今回の快走で、2024年オリンピック・パリ大会のマラソン日本代表の有力候補に挙がるでしょう。

鈴木選手の好記録の背景には、恵まれたコンディションに加え、30㎞まで設定タイム通りにレースメイクをしたペースメーカーの存在、30㎞以降も1㎞2分台のペースを引き継いで先頭を走ったサイモン・カリウキ選手の好走もあります。彼らのペースメイクは好記録が生まれた見逃せない要素です。

若手、中堅、ベテランと多くの選手が自己記録を大幅に更新しています。箱根駅伝OBも結果を出しています。ベテラン・プロランナーの川内優輝選手が10年振りに自己記録を更新する2時間7分台で10位に入ったのも見事でした。

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私は、駅伝観戦歴40年目を迎える経験を有し、中長距離、マラソン、駅伝に関する観戦記や備忘録のnoteを書いております。

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