2025ニューイヤー駅伝観戦記
2025年、あけましておめでとうございます。全ての方々にとって素晴らしい一年となるように祈るとともに、私自身は、自分に与えられた運命を受け容れて、健全に、真っ当に、真摯に過ごし、控え目にでも世の中に貢献できる一年になるよう踏ん張っていきます。
新年恒例の駅伝観戦
新年の三日間の投稿は例年通り、駅伝観戦記からスタートします。初日は、実業団No.1を決める『第69回全日本実業団対抗駅伝競走大会』、通称ニューイヤー駅伝の観戦記です。群馬県庁をスタート・ゴールとする7区間100㎞のコースで、各地区予選を勝ち抜いた37チームによって争われます。
1区 12.3㎞ 群馬県庁〜高崎市役所
日本長距離界トップクラスの豪華メンバーが揃い、ハイペースでの競り合いが期待されます。
スタート直後は、ひらまつ病院の荻久保選手が飛び出したものの、昨年12月の福岡国際マラソンで日本歴代3位の記録を叩き出した、GMOインターネットグループの吉田選手が先頭に立ち、序盤から主導権を握ってレースを進めます。後続集団には、連覇を狙うトヨタ自動車のスーパールーキー、吉居選手、3000m障害の世界的ランナー、SUBARU・三浦選手、Hondaの森選手、富士通・塩澤選手、旭化成・長嶋選手ら、優勝を狙うチームが好位置を占め、住友電工・遠藤選手や、SGホールディングスのルーキー、佐藤選手もいます。
レース終盤、10㎞を切ってから一気にスピードアップし、残り1㎞からは20歳な長嶋選手が前に出て、後続との差を広げていきます。最後のスパート合戦は迫力満点でしたが、長嶋選手が猛烈に追い込んできたヤクルト・中村選手を1秒抑え、区間賞を獲得しました。SUBARU、GMOインターネットグループ、JR東日本、富士通と秒差で続き、トップから10秒以内に11チームがひしめく大混戦で中継しました。連覇を狙うトヨタ自動車は、12位ながら13秒差にとどめました。
区間賞 長嶋幸宝（旭化成）34分29秒
2区 21.9㎞ 高崎市役所〜伊勢崎市役所
コース最長の『花の2区』には、各チームとっておきのエースが投入されました。1区から2区への中継は団子状態の混戦なので、駅伝の醍醐味である後方からのゴボウ抜きも期待されます。
コース前半は、GMOインターネットグループのWエース、今江選手、旭化成の実力者・茂木選手、パリ五輪マラソン代表のHonda・小山選手、マラソン日本記録保持者の富士通・鈴木選手、10000m27分台のSUBARU・清水選手が先頭集団を形成し、少し遅れて、トヨタ自動車のスーパールーキー鈴木選手とSGホールディングスの近藤選手が肩を並べて追い上げ、更に後方からは、ベルリンマラソンで日本歴代2位の記録を樹立したKao・池田選手が快調に追い上げてきます。
今江選手が一際好調で、常に先頭を引きながら、後ろにつく有力ランナーを次々と振り落とし、3区中継では、10人抜きの好走を見せたトヨタ自動車に11秒差をつけて堂々の首位通過を果たしました。今江選手は、区間賞こそ15人抜きの爆走でチームを3位に押し上げる活躍を見せた池田選手に譲ったものの、区間2位の見事な快走でした。
後方では、昨年もごぼう抜きを演じた安川電機・古賀選手（31→11、区間4位）、中国電力・菊池選手（26→10、区間5位）、SGホールディングス・近藤選手（14→6、区間8位）、黒崎播磨・細谷選手（15→7、区間8位）、が、今年もごぼう抜きを演じて大いに盛り上げました。パリ五輪マラソン6位入賞の九電工・赤﨑選手も7人抜き（19→12）、区間11位とまずまずの出来でした。
区間賞 池田耀平（Kao）1時間1分48秒
3区 15.4㎞ 伊勢崎市役所〜三菱電機群馬製作所
3区も準エース級が起用されるポイント区間ですが、今大会は日本代表クラスの選手が多数エントリーされました。
首位の GMOインターネットグループは、移籍で加入の鈴木選手がダイナミックなフォームで走り出します。追ってくるトヨタ自動車の太田選手、旭化成の葛西選手は、共に今年のパリ五輪10000m代表の実力者です。2位スタートの太田選手が強く吹く追い風を利してじわじわ首位に迫りますが、4位でタスキを受けた葛西選手が前半から突っ込んだ走りで、首位争いに割り込んできました。途中で鈴木選手は振り切られ、二人のオリンピックランナーの争いは、中継1㎞手前から差を開いた太田選手に軍配が上がり、連覇を狙うトヨタ自動車が首位で4区に繋ぎました。
後方で爆走したのが、住友電工の田村選手でした。9人抜きでチーム順位を4位に押し上げ、区間賞を獲得しました。また、復調途上の三菱重工・井上選手が区間4位の走りで、チームを9位まで浮上させました。一方、10000m日本記録保持者の富士通・塩尻選手は、昨年不振に終わったこの区間でリベンジを狙ったものの、またしても後半の失速で区間23位、チーム順位も14位に下げるブレーキとなってしまいました。
区間賞 田村和希（住友電工）42分58秒
4区 7.8㎞ 三菱電機群馬製作所〜太田市役所
4区は、インターナショナル区間、外国人ランナーを唯一起用できる区間です。ワールドクラスのランナー達が、寒風の中を疾走していきます。
先頭を行くトヨタ自動車は、初出場のルーキー、倉敷高卒のキバティ選手が区間6位、及第点の走りで首位を堅持しました。追いかける2位の旭化成・キプルト選手が区間14位に終わったことで、差は26秒へと広がりました。区間賞は、Hondaのヴィンセント選手が5位から3位にチームを押し上げる好走で、獲得しました。
区間賞 Y.ヴィンセント（Honda）20分37秒
5区 15.8㎞ 太田市役所〜桐生市役所
5区は、向かい風とタフなだらだら上りが選手を苦しめる難コースです。
首位のトヨタ自動車は、マラソン世界選手権代表経験があり、前回も6区で区間賞を獲得している主力の西山選手を起用してきました。実績も経験も十分な西山選手で後続を引き離し、盤石の必勝体制を築きたいところです。ところが、3位でタスキを受けたHondaの青木選手が快調で、先に出た2位旭化成のベテラン、大六野選手を引き連れて、ぐんぐん迫ってきます。3000m障害のトップランナーである青木選手は上りにも強く、この5区は五年連続での出走です。11.3㎞付近で首位を行くトヨタ自動車を抜くと、粘る旭化成もラスト勝負で振り切って、見事な首位奪取を達成しました。
区間賞 青木涼真（Honda）46分36秒
6区 11.2㎞ 桐生市役所〜伊勢崎市西久保町
旧コース時代から"戦略の6区"と呼ばれ、距離は短いものの優勝を左右する重要区間です。小刻みなアップダウンと風対策が難しく、意外に差のつくコースです。
首位に立ったHondaは、大東文化大学卒のルーキー、久保田選手、追う旭化成は前回の借りを返したい齋藤選手。双方譲らず、5〜20秒差をいったりきたりしながら、Hondaが首位を守りました。
3位はトヨタ自動車、4位は嶋津選手が区間賞を奪ったGMOインターネットグループ、5位にはベテラン的野選手の好走で三菱重工が上がり、6位には住友電工が粘っています。
区間賞 嶋津雄大（GMOインターネットグループ）32分50秒
7区 15.6㎞ 伊勢崎市西久保町〜群馬県庁
首位のHonda・中山選手から10秒差でタスキを受けた旭化成・井川選手は、5㎞手前で追い付くと、ぴったりと背後に付き、勝負に徹する走りを展開します。残り500mから切れ味鋭いスパートを放つと、みるみる差を開き、旭化成5年振りの優勝を見事に手繰り寄せました。敗れた中山選手も区間2位の見事な走りであり、井川選手のレース戦略が優った結果でした。連覇を狙ったトヨタ自動車は無念の3位、東日本実業団駅伝チャンピオンのGMOインターネットグループが過去最高の4位、地元SUBARUの5位、日本人ランナーだけでチーム編成した住友電工の6位は見事でした。途中誤算はあったものの、三菱重工、富士通は、7位8位の入賞ラインでレースを終えました。
区間賞 井川龍人（旭化成）45分52秒=区間新
【チーム成績】
① 旭化成 4時間47分32秒
② Hondd 4時間47分40秒
③ トヨタ自動車 4時間48分36秒
④ GMOインターネットグループ 4時間50分33秒
⑤ SUBARU 4時間51分21秒
⑥ 住友電工 4時間51分21秒
⑦ 三菱重工4時間51分48秒
⑧ 富士通 4時間52分24秒
勝手に寸評
序盤から好位置でレースを進めた旭化成が、総合力を発揮し、最終区での鮮やかな逆転劇で5年振りに王座を奪還しました。1区長嶋選手の快心の区間賞で滑り出し、強敵ひしめくエース区間の2区で首位は譲ったものの、茂木選手が4位で粘ったのが、その後のレースの流れを決める上で大きかった印象です。3区葛西選手、5区大六野選手は、首位には立てなかったものの、存在感を示す流石の走りでした。
惜しくも王座奪還を逃したHondaは、4区ヴィンセント選手、5区青木選手が連続で区間賞を奪い、見せ場を作りました。最後のラスト勝負で力負けしたものの、地力があることを証明しました。途中までは理想的なレースを展開していたトヨタ自動車は、信頼の厚い西山選手の予想外の不調が悔やまれる無念の3位でしょう。
個人的には、スター選手揃いの住友電工が6位に食い込む活躍を見せたのが、出色でした。また、ふくしま病院チームの3区に出走した上野選手の力走（区間6位）も印象的でした。今回は不発に終わったものの、大エースのいる黒崎播磨、トヨタ紡織には、来年の奮起を期待したいです。
おまけ
駅伝観戦歴40年以上の私が、駅伝・マラソン・中長距離レースの観戦を記事に残していますので、興味があれば覗いて見て下さい。
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