冴えない時代を支えてくれた友人と『竹内まりあ最強論』を語っていた頃
本日は20代の頃の思い出話です。竹内まりあのベスト盤を楽しみながら、当時を思い出して、書いていきます。
冴えない時代を支えてくれた友人
会社の独身寮に住んでいた20代のある時期、何の予定もない金曜日や土曜日の深夜に、あてもなくクルマを走らせるのが好きでした。会社の同期入社で、音楽の趣味や笑いのツボが似ている友人が一人いて、彼を誘ってクルマの車内で会話を楽しむことが最高の息抜き時間になっていました。
友人は「お前、友達いないもんなあ……」と言って、時に快く、時にうんざりしながらも、よく付き合ってくれました。ドライブ中には、他愛のない色んな話をしました。大半はくだらない話で、その殆どは今となってはほとんど覚えていませんが、何度か同じ話をすることもありました。そのうちの一つが、「竹内まりあ最強論」でした。
「竹内まりあ最強論」
「竹内まりあ最強論」は、私の言い出した持論です。1994年に発売された竹内まりあのベスト盤『Impressions』を聴きながら、「竹内まりあを嫌いだっていう人いないよなあ……」「全てを手に入れた稀有な人だよなあ……」という呟きからはじまったと記憶しています。二人とも洋楽ロック系の音楽を好んで聴いていたのに、なぜ車の中で竹内まりあを聴いていたのかは謎です。
竹内まりあというアーティストを思い浮かべた時、
と誰もが羨やむ完璧な要素が揃っている気がしていました。実際、私の周囲に竹内まりあを嫌いだ、という人は皆無でした。
とかディスるようなことを言っていたので、友人からは「お前、相当性格悪いなあ」と言われていました。
竹内まりあの魅力を再分析
ドライブ中はそんな底意地の悪いコメントをしていましたが、1970年代後半からアイドル的人気を博し、『September』とか『不思議なピーチパイ』を歌っていた頃から、竹内まりあは私の好きなアーティストの一人でした。
最大の魅力はあの声です。透明感があり、聴いていてとても心地が好い。楽曲にも品の良さが感じられます。竹内まりあには、不倫がテーマの重たい情景を描く楽曲もあり、歌詞の中には大胆で辛辣な描写も結構あります。倫理観が問題になりそうでもあるのですが、彼女が歌うといやらしさを感じません。
不倫関係にある男を静かに見送る、はかなくも強い女性。取り乱してトラブルを起こしたり、浮かれて匂わせを繰り返したりするタイプではなく、凛とした、自分の意思で生きている自立した女性が描かれます。でも本当は演じているだけ…… 察して! という心の叫びや充たされなさも、切なく表現されています。
最強のパートナー、山下達郎
竹内まりあの音楽活動のみならず、生涯にも影響を与えているのは、公私のパートナーである山下達郎の存在でしょう。お互いに才能を認め合う関係なのだと思いますが、山下達郎の音楽的才能は桁外れ、規格外です。
彼女は、山下達郎の才能を心底尊敬し、不必要には張り合わず、動かぬ指針としているのではないかと推測します。それこそが「私ってすごいでしょ」的な変な嫌らしさを漂わせず、ナチュラルイメージを保ち続けられる秘訣のように感じています。
あぁ、また友人とナイトドライブして、語り合いたいなあ……
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