金曜日の随筆:『脱成長』戦略❶

また運命を動かしていく金曜日がやって来ました。2021年のWK7、如月の弐です。私は、数年前から「金曜日から自分にとっての新しい挑戦を仕掛けていこう」という考えに至り、取り組みをするように心掛けています。

最近の私の関心は『資本主義~新自由主義的な~価値観の修正』です。”金曜日の随筆”を、何回かにわけて『脱成長』戦略の勉強の場として、考えを深めていく場にしていこうと思います。

本日の格言・名言《2021/2/8-14》

Become someone who can like others and be liked by others.
人を好きになり、人に好かれる人になろう。
Everything in life is made up of these two things: You want to but can't, or you can but don't want to.
- Johann Wolfgang von Goethe poet/Germany
人生はすべて次の二つから成り立っている。:したいけど、できない。できるけど、したくない。
ー ヨハン・ウォルフガング・フォン・ゲーテ 詩人/ドイツ

資本主義の正体についての洞察

『脱成長』の可能性を深く学んでみようとなったきっかけは、斎藤幸平『人新世の「資本論」』(集英社新書)という書物を読んだことです。今、話題にもなっているし、結構売れてもいるようです。

出発点は、本書の中で斎藤氏が披露する資本主義の解説です。「第六章 欠乏の資本主義、潤沢なコミュニズム」(P233-323)の中での斎藤氏の主張を私なりに解釈すると、

一般的には未曾有な技術発展を促し、物質的豊かな社会をもたらしたとされる資本主義が、実は世の99%の人々に欠乏感(貧しさ)をもたらす元凶になっている。資本主義には、希少性によってその商品の価値を生み出すシステムが埋め込まれており、表面的な取り繕いや修正では克服不可能。人々の貧困の解消には「脱成長」。コモンにより潤沢さを取り戻す他ない。

昨今話題のSDG’sに対しても、進歩と発展の資本主義思想が依然として下地になっていることから「現代版大衆のアヘン」と言及しています。

長年の資本主義への違和感が言語化された喜び

資本主義の本質に対して、心底の賛同と共感はできないという感覚は、私が社会に出て以来ずっと持ち続けていたものです。マルクスの『資本論』(私が避け続けた本)に沿った斎藤氏が展開した資本主義の本質の解説は、やっと自分の抱いてきた違和感の正体を言語化したものに巡り合えたかも…… という喜びがありました。

私が社会に出る直前の1980年代後半には、「マル金/マルビ」ということばが流行りました。その後この区分は露骨過ぎるという判断になったのか、下火となり、ややマイルドな「勝ち組(金持ち)/負け組(貧乏)」ということばへと受け継がれました。

持っている、あるいは稼いでいるお金の多寡を基準に、人を二分化して捉える考え方は嫌でした。しかし、
● 居心地の悪さの正体を言語化し、見通す洞察力がなかった、
● 資本主義的価値観に代わる有力な代替思想に辿り着かなかった、
● 今いる場所が気に入らないからと逃げたら負けだろうと考えた、
ことから、違和感を飲み込んで、資本主義社会のゲームに自発的に参加していたように思います。

周囲から「負け組」というレッテルを貼られたくなかったし、自発的に仕事をこなして成果を上げて、相応に出世していく=勝ち組でプレーすることは、「自分なら当然だろう」という傲慢な気持ちも持っていました。

『脱競争』は実現可能なのか?

資本主義のもたらす問題点についての斎藤氏の解説・分析に賛同できます。しかし、その打開策が『脱競争』でいいのか…… ということについては、自分の疑問は解消されていません。

今、私が理解不十分なまま『脱競争』の論理に与するのは、単なるポジショントークなのかもしれません。
もうこれから先、競争社会の中で本気で戦って疲弊したくない……
競争の結果の敗北もしたくない…… 
大切な息子を資本主義の冷徹なルールが支配する社会に晒したくない…… 
という個人的な願望から『脱競争』に近寄っている自覚はあります。

行き過ぎた新自由主義的な価値観や、剥き出しの資本主義が緩和され、私の理想とする生き方が有利に働く方向へ日本社会が是正・改善されればいいなあ、とムシの良い考えを抱いていることは否定しません。

今回はここまでとします。来週以降でさらに意見を煮詰めていければ、と自分自身に期待しています。


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