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「馴化」から考えたこと

3月も今日が最終日です。学生や企業人の中には、明日から新学期、新年度という人もいるかと思います。4月は、望むと望まざるとにかかわらず、強制的な変化が始まる月でもあります。

「馴化」とは?

今日のタイトルの「馴化(じゅんか Habituation)」とは、ある刺激が繰り返し提示されることによって、その刺激に対する反応が徐々に見られなくなっていく現象(慣れ、馴れ)を指すことばです(Wikipediaより)。

私はこのことばを、五木寛之「デラシネの時代」の中にでてくる、セイタカアワダチソウの話の中で知り、興味を持ちました。

「馴化」する…

セイタカアワダチソウ(英名 Canadian Goldenrod)は、黄色の花を咲かせる北米原産の外来植物です。繁殖力が異常に強く、ススキなど在来種の植物が群生するエリアにも平気で入り込んできます。

背丈が高いので日陰を作ったり、毒素を出したりして、周囲の植物を根絶やしにしていく特徴があります。繁殖性の強さが嫌われ、一時期は自衛隊や市町村役場が出動して火炎放射器で焼き払う対象になっていたようです。

それがいつの頃からか、背が低くなり、ススキなど在来種とも共生するようになってきたという話が、植物学的現象の馴化という言葉とともに出てきました。五木氏は、越境者が社会に順応していく例として、セイタカアワダチソウの例を引用しています。

自分も「馴化」している

私がこの章を読んで感じたのは、自分も年齢を重ねることで、知らず知らず馴化のプロセスにどっぷりと浸っているということでした。

意識的、無意識的に周囲の環境に合わせて馴化している気がしています。それは、私が日本社会で生き残っていく為に、ある程度避けられないことかもしれません。自分の本性剥き出しではやっていけません。一方でそれは、日々の経験の繰り返しと習慣の積み重ねによって、本来備わっていた自分らしさの特徴が消し去られて丸められていくプロセスとも言えます。

「馴化」が変える人間関係

気になったのは、「私の馴化は、親しく交わってくれている人達からプラスの評価を得ているのか?」ということです。離れていった人もいるので、マイナスと捉えた人もきっといることでしょう。

自分の変化とともに、付き合う人間が変化することは仕方ないと思います。関係が疎遠になってしまうのは、どちらか、あるいは、お互いの価値観や身を置く環境が変化したことで、何となく噛み合わなくなっていくからでしょう。

自分のステージを上げていくことに強く意識が向いている人は、自分からみて物足りない水準に留まり続ける周囲の友人を意識的に切り捨ててしまう傾向があります。私もそうでないとは言い切れないし、逆にそういう上昇志向の人から切り捨てられてしまう側の人間になる事も多いです。今現在の思いを共有できない相手と一緒にいると、お互い疲労感を感じるだろうし、精神衛生上もよくありません。

新年度はどう「馴化」する?

新年度は、今まで以上に外来種の刺激を積極的に取り入れて、価値観の書き換えを積極的に図っていきたいと思っています。出来れば、自分の馴化を、好意的に評価してくれて、信頼出来る人に出会いたいものです。

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