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実務が出来るオジサンの需要
明日は仕事がお休みなので、外食を楽しんできました。家に帰って来て、テレビでセ・リーグ三冠王・村上宗隆選手の技有りホームランを見て、「凄い選手だなあ...」と感心しつつ、本日昼間に考えていた『実務が出来るオジサンの需要』というテーマで、自分の「見栄」を記録に残したいと思います。
自分の強みと向き合う
果たして自分には、現代ビジネスに通用する仕事力があるのか……
という珍しく真面目なことを、昼間の休憩時間にふと考えていました。
私は、プチFIREを達成したという安心感もあり、仕事は、「自分を少しでも必要してくれる方のお役に立てるならそれでいい」という気持ちで、役職とか収入とかに拘泥しないように努めてきました。家族が食っていけるだけの収入を稼ぎながら、自分のエゴを押し出さなくてもいい心地好い環境で気持ち良く働き、ゆっくりと朽ちていきたい…… と本気で思ってきました。
ただ、まだ私の仕事力は完全には錆び付いていないはず…… という自惚れの気持ちも強く持っていることは否定できません。
自分の強みは?
自分の強みを…… という転職アドバイザーのお決まりの質問には、『私は50代の役職経験者にしては、地味に実務をこなせる能力があります』と答えます。これは、前職時代に味わった、数年間の下っ端仕事までこなさざるを得ない部下なし管理職時代の経験が糧になっています。
私は、2008年6月~2015年3月までの6年9ヵ月は、部下のいる室長職でしたが、この時期には、苦手かつ嫌いだった対人調整や根回しや折衝の仕事が増え、これまでの自分を支えていた課題の本質を察知して急所に斬り込む洞察力や、効率的な実務処理能力が衰退していく期間でした。もしも、このような仕事のやり方を続けていたら、本当に『口だけ達者な使えないオジサン』化していたように思います。
それが、2015年4月に移動した部署では、部下なし専門職次長になりました。チームのマネジメント責任からは解放された一方で、それまでならば、部下に
● これ調べといてくれる
● という訳らしいから、室内の意見を取り纏めておいて
● 今週中に、このデータ纏めておいてくれる
で済ませていた雑多な業務を、自分自身で全てこなす立場に逆戻りしました。最初は、戸惑いと憤りはありました。「こんなことまで自分でやらないといけないとは零落れたもんだなあ……」と不謹慎ながら、やさぐれて密かに溜め息もついていました。
実務処理能力の磨き直し
ただ、一兵卒時代の感覚が徐々に戻ってくると、業務全体を俯瞰して仕事の捌き方を設計し、実際に手を動かして処理していくことが苦にならなくなりました。調整や折衝、交渉のスキルも向上していたため、全体としての実務処理能力が、20代や30代の頃よりも向上している自信を得ました。
老眼が進み、細かい数字の羅列された資料を読むのに苦労する以外は、知識や肩書きがまだ十分ではない若手社員がやれば長時間かかるような仕事を、半分以下の時間で片付けられるので、楽勝状態でした。残業時間は大幅に減り、趣味のバーライフも謳歌しました。
50代の転機
そんな状態が数年続き、50歳を超え、もうこの会社には十分尽くしたよな…… という思いに強烈に囚われるようになってきました。自分としては高度な内容の仕事を次々こなしているという自負があったものの、会社からはどうやらそれは功績とは考えられておらず、『便利屋』扱いされているだけ、と悟るようになりました。
私がその生き方を尊敬する人物、五木寛之氏、松本隆氏、ヒロミ氏も、「自分が必要とされる流れではない。時代とずれている」と感じた40~50代の一時期、長期休暇を取っていることを知りました。当時の心の声は、多少の誇張はありますが、以下の通りでした。
ずっと働き詰めでいくといつか身体と精神にガタが来る。会社は、もはや私に期待も、評価もしていない…… そんな報われない相手の為に、これから先も身を粉にして働いて果たして楽しいかな? 人生百年時代に突入するらしいし、そろそろプランBに移るか……
尊敬する人生の先輩方と同じとはいいませんが、『私も二年くらい休養してもOKだろう。これまで、それなりに貢献してきたと思うし……』と、心を決めました。数年前から、副業的に金融投資もやっていたし、どうせ完全にリタイアすることはできないので、会社人として歩む人生はもう終わり、三度目のモラトリアム発動! という結論に到達しました。
オジサンである私の暴論
2年きっかりオフを堪能し、信州100年企業プログラムに拾われて、今の松本での生活があります。今お世話になっている会社では、自称『実務作業をテキパキこなせる気のいいオジサン』が目標です。これが、部下に指示するだけの中間管理職的な働き方を続けていたならば、変なプライドが邪魔をして、こうはいかないだろうと密かにうぬぼれています。二年間の空白は無駄ではなかったと思っています。
実務のできるオジサンの需要はあるのではないでしょうかねえ…… あまり、ステレオタイプに50代のオジサンを見下している余裕は、今の日本にはないと思うのですが......
『働かない高齢労働者』の問題は、私が若手の頃からずっとありました。私は、下の世代から疎まれがちなバブル入社組でしたから、「早く退いて欲しい」という空気感は感じており、年功に胡座をかいて組織に居座る気持ちなんてさらさらありませんでした。組織には新陳代謝は必要ですから、若返りはどんどんやったらいいと思いますが、これから若年人口はどんどん減っていきます。全体のパイが少なくなれば、優秀な人材の絶対数も少なくなる、と考えるのが自然でしょう。
突出したエースはいつの時代も出現するのですが、エースを盛り立てる周囲のサポート役がショボいとエースは活きませんし、妬まれて引きずり降ろされるか、潰されます。私のようなたいしたことのない人材を叩き上げてレベルアップさせておく必要があるのですが、今はブラックな働かせ方が出来ない職場環境なので、仕事の絶対量をこなせず、十分な実戦経験を積む議会も用意できません。コンプライアンスも厳しいので、才能はあるが、私生活がだらしなかったり、型破りで協調性の乏しい人間を抜擢出来ません。限られた人材でやり繰りしなければいけない組織としては、「優秀」と認定するレベルを限定せねばならないのが実情で、過去日本企業に勢いがあった時期ならば、閑職をあてがわれるレベルの人材を、要職に起用せざるを得ない場合もあるでしょう。そうなると、組織は不活性となって、相対的な劣化は止められす、国際競争でもなかなか厳しそうです。
なので、経験を積んだ気のいいオジサン・オバサンを簡単には斬り捨てず、気持ちよく働かせるノウハウを真剣に確立していく必要があります。確かに無駄にプライドが高く、不相応な権威や尊敬を求めてくるオジサン・オバサンの扱いは厄介です。だからといって、避けていては、本当に取り返しのつかない三等国に零落れるかもしれません。
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