マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)2023 観戦記
昨日の記事(箱根駅伝予選会)と連続で、中長距離関連の投稿になります。本日(2023/10/15)東京都心部で開催された、マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)の観戦記です。
※ 所用により、テレビ中継の生観戦ができたのは男子の20㎞付近くらいまでのため、後追いで結果を確認しての備忘録的な内容となります。
2024パリ五輪代表選考レース
MGCは、五輪のマラソン日本代表選考レースです。参加資格設定記録を突破した選手が一堂に介し、男女上位2名には無条件で代表内定が出ます。2020東京五輪のマラソン代表選考時から導入されており、前回は2019/9/15に実施されています。
過去の五輪マラソン代表の選考では、選考理由の透明性を巡って、何かと物議を醸してきました。シンプルでわかりやすいこの選考方式は、選手・ファンの間でも概ね好意的に受け取られており、今後も定着しそうです。今回は、参加有資格選手の内、男子65名、女子27名がエントリーしました。
雨の東京で繰り広げられた熱戦
国立競技場発着、東京都心部を巡回する42.195㎞で争われます。小刻みなアップダウンに加えて、7回の折り返しがあるタフなコースです。スタート時点の気温は14℃、風は1mとまずまずながら、激しい雨が降り、選手にとっては厳しいコンディションになりました。男子は8:00、女子は8:10にスタートしていきました。
男子レース寸評
競技場のトラックから、マラソン130回目出走のベテラン、川内優輝選手が飛び出します。5㎞の通過を、14分44秒のハイペースで入ると、25㎞では、後続の大集団を44秒も引き離し、独走状態を築きました。
この間、後方では日本記録保持者の鈴木健吾選手と2時間5分台のベスト記録を持つ其田健也選手が棄権、8月の世界選手権ブダペスト大会を走ってばかりの山下一貴選手も集団から遅れるなど、波乱含みです。
30㎞を過ぎて、快調に飛ばす川内選手のスピードがやや鈍り始めると後続集団が追い上げを開始。35㎞過ぎに吸収すると、38㎞過ぎにそれまで集団内で待機していた小山直城選手が一気に抜け出し、そのまま逃げ切って優勝を果たしました。2-4位は混戦となったものの、ラスト2.195㎞を6分30秒でカバーした赤﨑暁選手が、追いすがる大迫傑選手を振り切り、代表権を獲得しました。
東京農業大学出身の小山選手は、実業団のホンダ入り後にめきめきと力をつけたランナーです。ゲスト解説を務めていた元マラソン日本記録保持者の設楽悠太選手も期待の選手でした。2位に入った赤﨑選手は、拓殖大学出身で九州電工に入社して4年目の25歳。伸び盛りで勢いがあり、見事に五輪切符を掴みました。前回のMGCに続く3位の次点となった大迫選手は、実力での内定獲得を目指します。レースを盛り上げた川内選手は、後半でも持ち味の粘りを発揮し、4位でフィニッシュしました。
女子レース寸評
2020東京五輪代表の、前田穂南選手(33位)、鈴木亜由子選手(19位)、一山麻緒選手(8位入賞)が揃ってエントリーした他、新鋭、ベテランの有力選手が揃い、混戦が予想されました。
スタートから17分前後のイーブンペースでレースは進み、25㎞を前にして、一山選手と好調を伝えられていた細田あい選手が集団を抜け出して、先行します。33㎞過ぎからは一山選手が単独首位を走ったものの、後方から追い上げてきた、鈴木優花選手が好調な走りで一山選手を抜き去り、自己ベストをマークした優勝を果たしました。最後まで粘りの走抜いた一山選手が2位を死守し、3位には、最後追い上げた細田選手が入りました。
優勝の鈴木選手は、大東文化大学から第一生命に進んだ24歳。駅伝、トラックで活躍し、2019年のユニバーシアードでは金メダルを獲得しています。2位の一山選手は、東京大会に続く連続出場を手にしました。資生堂への移籍を経て見事に復活を果たしました。
勝手に寸評
激しい雨の降る悪コンディションの中、最後まで集中を切らさず、五輪切符を獲得した4名の選手、本当におめでとうございます。じっくりと強化を進め、本戦での活躍を期待します。
残る1枠を巡る争いは熾烈となりますが、チャンスのある選手達の切磋琢磨により、爆発的な記録が出るのではないかと楽しみです。